全世界で飲まれているコーヒーの消費量です。最近、コーヒー豆の価格が高騰しているという話を聞きます。コンビニコーヒーも値上げされましたし、行きつけのカフェの値段から実感している人も多いでしょう。他の輸入品と同じように円安も一つの要因ですが、それだけではありません。
生産国の天候不順により生産量が減っていること、コーヒー豆の先物市場で投機的な取引が増加していること、世界的にコーヒーの消費量が増えていることも背景にあると言われています。例えば、これまでお茶を飲んできた中国でコーヒーを飲む人が増え、カフェの店数が世界一に躍り出たと言います。
中国について言えば近年、果物の王様と呼ばれるドリアンが大ブームとなり、世界の生産量の9割を輸入するまでになっているそうです。この爆発的な需要により、東南アジアなどのコーヒー豆農家が、より儲けの大きいドリアンに転作する傾向が強まり、このことでコーヒー豆の生産量が減っていることも背景にあるようです。
さて、世界有数のコーヒー豆の生産国のインドネシアでも、近年消費量が増えています。GDPは世界16位ですが、人口が多いため、一人当たりのGDPはまだまだ多いとは言えません。しかし経済成長に伴ってジャカルタなどの都市部では個人の所得も増えており、コーヒーも飲まれるようになっているのです。
街では外国資本の有名なコーヒーチェーンの店が増えています。それだけでなく、地場のコーヒーショップチェーンが増加しています。日本人には全く馴染みはありませんが、“Janji Jiwa”“Kopi Kulo”“Kopi Kenangan”といったチェーンで、店舗数も大きく増えています。
そんな中で、さらに新興のチェーンが市場に参入しています。新しいスタイルで販売を展開し、シェアを奪おうとするところもあります。“
Jago Coffee”は、出張式のカフェサービスを始めました。必要な装備を搭載したカーゴバイクで、お客の元へ行ってコーヒーを入れるという出張カフェを展開しています。
このブログでも、カーゴバイクにコーヒーを入れるための道具を搭載して街で売る方式の移動カフェは、いろいろ取り上げてきました。欧米などでは、個人でも気軽に始められる商売として一部の街で見られます。デリバリーバンやトラックなどを改造して、路上で料理を売るフードワゴンの自転車版です。
しかし、このフードワゴンのカフェの自転車版とは少し違います。フードワゴン的な営業をしているカーゴバイクカフェは、オフィス街とかイベント会場、人が集まりそうな場所へ走って行き、そこに留まって営業をします。トラックによるフードワゴンと同じです。しかし、こちらは注文されて初めて客の元へ行くスタイルです。
また、世界各地で拡大しているフードデリバリーとも違います。フードデリバリーは、既存のカフェやファーストフード店などから、料理や飲料を注文者の家まで届ける形です。これと似てはいますが、フードデリバリーは店から注文者の家まで運ぶだけです。
この“Jago Coffee”は、訓練を受けたバリスタが、カーゴバイクに商売道具を載せて、注文者の元まで出かけ、そこでコーヒーをいれます。注文した人は、入れたて、アツアツのコーヒーを飲むことが出来るわけです。冷めてぬるいコーヒーになりがちなフードデリバリーとは違います。( ↓ 動画参照)
なるほど、どうせコーヒーを自転車で運ぶなら、電動アシストのカーゴバイクを使って商売道具ごと運び、その場でコーヒーを入れたほうが、出来立ての美味しいコーヒーを提供できるわけです。その点で、これまでにありそうでなかった新しいカフェ・サービスと言えるでしょう。
もちろん、今どきですから専用のアプリで注文や決済を行います。注文する人にとっては、フードデリバリーでコーヒーを頼むのと同じ手間で、より入れたてのコーヒーが飲めるわけですから、従来サービスから乗り換える人も期待できるでしょう。従来のサービスとの差別化です。
もちろん、スターバックスのような世界的に有名なチェーンも人気がありますが、“Jago Coffee”とは価格帯も違います。メニューにもよりますが、有名チェーンの1/3とか1/4といった値段です。しかも出張して入れてくれるのですから人気も出るでしょう。もちろん、イベント等に呼ぶことも出来ます。
インドネシア産のコーヒー豆の使用にもこだわっています。同社のサイトによれば、これまでインドネシアで飲まれているコーヒーの9割がインスタントコーヒーであり、レギュラーコーヒーの価格は高かったわけですが、この常識を打ち破り、自国産の美味しいコーヒーを飲んでもらいたいとしています。
こうした電動アシストカーゴバイクによる出張式カフェ・サービス、当然ながら場所を選びそうです。コンビニコーヒーなどの競合が多い日本で、商売を展開するのは難しいかも知れません。コーヒー豆を直接仕入れられ、レギュラーコーヒーがまだあまり飲まれていない、これからの市場という背景もありそうです。
“Jago Coffee”は、新規資金を調達し、台数を300台から1500台に増やし、首都ジャカルタでの配達エリアを7倍に増やす計画です。しかし、他の新興チェーンも、同様のサービスを展開し始めており、今後は激しい競争となることが予想されています。
どこであっても商売を始めるのは簡単ではないでしょう。ただ、フードワゴン式でもフードデリバリー式でもない、カーゴバイクのカフェ出前サービスというのは、また新しいスタイルと言えそうです。同様のスタイルは、他の自転車を使ったサービスにも応用できるかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
関東東海などで梅雨明けが宣言されました。ここのところ梅雨らしい天気でしたが、一転して猛暑となりそうです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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