September 04, 2024

自転車販売の現場を変革する

自転車の購入には気をつけたい点があります。


それは自分の身体にあったものを買うことです。特にロードバイクなどの場合は、フィッティングが重要になります。初心者で、そのことを知らない人もいますが、サイズが合っていないとパフォーマンスが発揮できないだけでなく、身体に痛みが出たり、トラブルの原因になります。

これがクルマであれば、座席を前後にスライドしたり、背もたれの角度を変えるなどして、運転しやすい姿勢がとれれば十分でしょう。しかし、自転車の場合は自分の力で走るしかありません。サイズ的にフィットしていなければ、筋力を効率的に使えなかったり、疲れやすくなるなど、体力のロスになってしまいます。

Smartfit Q2Smartfit Q2

最近は電動アシストもありますが、基本的に人力しか使えないからこそ、よりフィッティングが重要になるわけです。力を効率的に発揮するだけでなく、少しサイズが合っていないだけで、後々痛みが出たり、身体の各部の故障につながったりします。せっかくのサイクリングが楽しくなくなってしまう要因にもなりかねません。

自転車店の店頭で身長を聞かれ、「何センチなら、フレームサイズは何インチサイズですね。」くらいでフィッティングは意識せず、後はカラーリングやデザインの好みなどで選ぶ人もありますが、それでは自分の身体に適切なサイズのものを買うことにはなりません。

Smartfit Q2Smartfit Q2

身長だけでなく、肩幅、腕の長さ、座高、股下、といった身体のサイズは、人それぞれ違います。たまたま身長だけは同じだったとしても、そのほかのサイズまで一緒なことはありません。それらによって選ぶべき自転車のサイズやパーツは変わってくるはずです。

実車にまたがってみたフィーリングで決めるのもNGです。走行してみたら違ってくることもあります。洋服ならば、鏡を見て自分に合うか判断できますし、多少大きさがあわなくても許容できます。しかし自転車の場合は、そういうわけにはいきません。やはり、専門のスタッフにフィッティングしてもらうしかありません。

Smartfit Q2Smartfit Q2

さらに、その人にあった乗車姿勢やライディングポジションまで考慮して、パーツを変えたり、調整したりする必要があります。面倒だと思うかも知れませんが、こうしたフィッティングを疎かにしてしまうと、あとあと快適な走行に支障が出ることになりかねないのです。

ただ、そのような専門的なフィッティングが出来る店ばかりとは限りません。スタッフによって技術力が違うこともあるでしょう。自転車店側としても、人材の雇用や育成、配置などの問題があります。時間もかかるので、お客への対応が困難なこともあるでしょう。

Smartfit Q2Smartfit Q2

そこで、AIを利用して、こうしたフィッティング作業を的確かつ適切、迅速に行う機器を開発した企業があります。ドイツの企業、Radlabor 社です。生み出した製品が“Smartfit Q2”です。必要な測定を行い、画面をタップするだけで、誰でもサイジングや人間工学のエキスパートになれると言います。

これを導入すれば、顧客の個々の体格に完全にフィットし、人間工学的に最適に調整された自転車のみを販売することが出来るという触れ込みです。時間のかかるフィッティング作業時間を大幅に短縮することも可能です。スタッフの技量の違いによってバラつきが出ることもありません。

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機器の指示により、レーザーでマークされた床の上の点に真っ直ぐ立ったり、股下を測る装置を挟んだりといった作業は必要ですが、誰でも使えるようになっています。お客の全身写真から、体型や体格、胸骨の高さといった細かい情報まで読み取り、AIが処理します。

測定と計算が終わると、店舗の在庫から最適な自転車の候補をいくつか選び出します。もちろん複数のメーカーのラインナップから候補を提示し、お客の要望に応じ、在庫がなければ注文まで出来ます。これは、自転車を販売する時に販売員の行う作業を効率的にしてくれるシステムでもあるのです。



測定精度は+-2mm以内、理想的な乗車姿勢をAIが仮想画像にして出力したりも出来ます。120以上のブランドと5万以上のモデルを網羅し、包括的なジオメトリデータベースを内蔵しています。ベテラン店員の技術を疑うものではありませんが、より科学的でブレのないサイズや設定を推奨できるわけです。

これは自転車を購入するお客だけでなく、販売店の店員や経営者にとってもメリットのあるシステムと言えるでしょう。サイズの計測やパーツの選定、調整などの作業に、正確性と信頼性を実現したことで、販売員の採用や教育に悩む必要もなくなります。

Smartfit Q2Smartfit Q2

この“Smartfit Q2”は、ヨーロッパで行われる有名な見本市、Eurobike 2024 でベストデジタルソリューション賞を受賞し、すでに多くの店舗で使用され始めています。自転車販売の場面にもAIが導入されることによってフィッティングが身近で手軽になり、多くのサイクリストのパフォーマンスや快適性が向上しそうです。


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◇ 日々の雑感 ◇

自民党の総裁選挙、表紙の変更に惑わされず裏金疑惑の解明や政治改革の本気度に注目したいと思います。

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