October 07, 2024

再利用やリサイクルのために

前回はバッテリーについて取り上げました。


電動アシスト自転車や、e-bike などのバッテリーによる火災が起きており、世界の都市で問題となっています。その原因は、バッテリーの間違った使い方、自分での改造や修理、ネットなどで流通する純正ではない格安の互換品の使用などと目されているという話でした。

バッテリーのメーカーは、火災防止のため純正以外のバッテリーを使えないようにしたり、勝手に開封や分解、修理や改造が出来ないようにするのが一般的です。その一方で純正の替えのバッテリーは高価であり、格安粗悪な互換品を購入する理由となっていることも問題でした。⇒「むしろオープンにするやり方

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今までのバッテリーメーカーのやり方とは正反対、つまりユーザーが自分で分解したり、バッテリーのセルを交換したり、修理したり出来るようにした、Gouach 社について取り上げました。これにより、バッテリーごと交換しなくても済み、粗悪な互換品を使う理由もなくなって、火災の減少にも役立つことが見込まれています。

実は、それ以外にも、この、Gouach 社のようなやり方にはメリットがあります。それはリチウムイオンバッテリーのリサイクルです。e-bike などのバッテリーについては、まだまだリサイクルが進んでいません。正確な統計を取るのは困難ですが、全体の5%にも満たないと見られています。

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その理由はいろいろあります。技術的に難しい部分があることや、リサイクルのための流通経路が確立されていないこと、扱いが難しいということもあります。個人宅で火災が発生するのと同じように、収集業者のストックヤードやリサイクル工場で出火することもあります。

そして、やはりバッテリーに互換性がなく、修理やセル単位での交換が難しくなっているのが問題でしょう。現状ではバッテリーごと交換しなければならないので、使えなくなったバッテリーを回収に出すのではなく、不法に廃棄する人も少なくありません。

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セルが簡単に交換できない構造はリサイクルにも手間がかかります。自社のバッテリーを回収してリサイクルしているとするメーカーもありますが、いかんせん集まる数は少なく、また電動自転車のメーカーは非常にたくさんあり、それぞれメーカーごとに分かれていて効率もよくありません。

これが、クルマのEVのメーカーならば、それほど会社数は多くなく、1台あたりの容量も大きく、会社同士提携していたりするので、ある程度の規模で再利用やリサイクルが出来るでしょう。EVの使用済みの電池がまだ少ないこともあり、必ずしもリサイクルが進んでいるとは言えませんが、自転車よりはやりやすいはずです。

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自転車メーカーや、その周辺団体によるリサイクルに向けた取り組みもありますが、やはりメーカーの数が段違いに多いということもあって、なかなかバッテリーの規格基準を統一したり、互換性を持たせるなどの取り組みは遅々として進んでおらず、結果としてリサイクルも進んでいません。

電動自転車のバッテリーを使い捨て、そのまま廃棄すると、原料の中には環境に有害な物質も含まれているので、環境汚染になります。リチウムやコバルトなど希少金属の資源が捨てられるのは省資源の観点からも問題です。廃棄ではなく、回収に出すメリットもなく、自治体なども回収も進んでいません。

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しかし、Gouach 社のようなスタイルが進んでいけば、ずっとリサイクルもやりやすくなることが見込まれます。ハンダ付けでなく交換しやすいセルなら集めやすいですし、処理の手間も減ります。自分で開封したり分解できれば丸ごと捨てるケースは少なくなり、廃棄物も減るはずです。

Gouach 社は、バッテリー管理のスタートアップ企業、Bib Batteries、電動キックボードや、e-bike などのシェアリングサービスを手掛けるオペレーター企業、Dott 、バッテリのアップサイクリングの先駆者でもあるポーランドの、Manufacturing Partners 社などと連携し、バッテリーのリユースやリサイクルを進めています。

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EVのバッテリーならば容量も大きいので、中古でも活用の用途がいろいろあります。しかし電動アシスト自転車のバッテリーは小さく、単体ではリユースも簡単ではありません。しかし、バッテリー単体ではなく、その中のセルの単位で集めれば、例えば1200個で電動ボートの動力として再利用するようなことも可能です。

マイクロモビリティの会社、Voi 社の電動自転車用のバッテリー450個分で、水、土壌、空気などをモニタリングする無線環境監視ステーションに電力を供給するために再利用されたりもしています。リサイクルする前の、この再利用も重要な活用になります。

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電動スクーターなども含めたマイクロモビリティでは、使用済みとして回収されたバッテリーの残存容量が平均で70〜80%であることがわかっています。モビリティのモーターを動かすためには容量が足りない場合でも、他の用途のリユースには十分使えることもあるわけです。

その場合も、各社バラバラのバッテリーパックを集めてきてつなぐのでは手間もかかりますし現実的ではありません。リユースする際にも、セル単位で集めたり、用途に応じて数を変えるなどがすぐ出来れば、活用先も大きく広がるに違いありません。

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1個1個の容量は小さかったとしても、集めれば用途はあります。何しろ、デロイト社の調査によれば、2020年からの3年で1億3千万台の電動自転車が新たに道路を走ったと推定されています。それだけ、あるいはそれ以上のバッテリーも製造されたことになります。

マイクロモビリティは、2030年までに、さらに4倍に増えると予想されています。この小さくても膨大な数のバッテリーを使い捨てにさせず、有効にリユースやリサイクルすることは、重要な課題になるのは間違いないでしょう。そのために、自分で修理できるバッテリーは有効な策となる可能性があります。

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セル単位で交換出来れば無駄に捨てなくなり、丸ごと粗悪な互換品を使う必要も減ります。セル単位で規格の標準化が進み互換性が出てくれば、バッテリーはもっとリーズナブルな価格になり、劣化したセルもリサイクルで集めやすくなり、回収の効率も高まるに違いありません。

やはり、電動自転車も含めたマイクロモビリティのバッテリーについては標準化して、セル単位の互換性確保が必要です。これからのバッテリーの急増を考えたら、リサイクルの確立は喫緊の課題であり、マイクロモビリティ業界全体で、バッテリーのセル単位での規格化を進めることが必須なのではないでしょうか。


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◇ 日々の雑感 ◇

石破新首相、裏金議員の一部の非公認はしましたが、豹変、有限不実行、ウソつきなどと不評です。党内事情と板挟みはわかりますが、せっかく5度も挑んで首相になったのですから怯まず持論を通せばいいのにと思います。

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