いわゆる、SDGs です。目標はいろいろありますが、省エネや省資源、ゴミの減少や環境負荷を減らすために求められるリサイクルもその一つです。我々が使ったり消費するものはたくさんありますが、それらを長く使ったり、有効にリサイクルすることが求められます。
自転車でも、リユースやリサイクルなどの取り組みはいろいろありますが、必ずしも上手くリサイクルできるとは限りません。自転車は金属以外の素材も使われていますが、その一つにタイヤやチューブなどのゴムがあります。このゴムは、一般的にリサイクル出来ないと言われています。
樹脂などの素材と違って、成形時に加硫(かりゅう)という化学反応を用いて製造するので、いわば別の化学物質にかわってしまいます。これによって大きな弾性が得られるわけですが、この反応を元に戻すのは困難なので、再びゴムの原料として使えないという性質があるのです。
廃タイヤを粉砕して再生ゴムにすると弾性が低下してしまうので再びタイヤとして使うのは問題があります。道路の舗装材などに使ったりする程度です。そこで、焼却して熱エネルギーとして利用したり、トレッド部分だけ削って表面だけ新しく貼って使う更生タイヤにするなどの方法がとられます。
なかなか効率的には再利用しにくい面があるため、多くのゴム廃材が発生することになり、廃棄物として埋め立て地の容量を圧迫します。もともと自然分解が難しいこともあり、不法投棄も含めて環境問題となっています。ゴミとして自治体などが回収しないのも処理が困難だからです。
自転車のタイヤは、クルマのタイヤと比べれば体積も重量も小さいぶん、環境負荷は相対的に低いとは言えますが、世界的にみれば膨大な量の自転車が使われているわけで、莫大な量のタイヤが消費されていることも確かです。全体としてみれば大きなものとなります。
クルマのタイヤが摩耗して生じる粉塵が、実は海洋プラスチックごみの大きな部分を占めていることもわかってきています。マイクロプラスチックです。この点でも自転車は相対的に少ないのは確かですが、不法投棄されたり放置されることによって、海洋汚染源になっていることは否めません。
さて、このタイヤのリサイクルの難しさに着目し、最初から今までの天然ゴムや合成ゴムなどの素材を使わないタイヤを開発した企業があります。ノルウェーの企業、
Retyre です。温暖化ガスの排出面でも環境負荷をかけないカーボンニュートラルタイヤです。これは世界初だとしています。
原料は、海から回収された廃棄物としての漁網、繁殖した藻類といった材料、100%再生素材を使用しています。製造過程で温暖化ガスは82%低減できます。さらに、藻類の繁殖によるメタンガスなどの発生が抑制され、これを使うことで海や湖の水生生態系の回復にも役立つと言います。
タイヤのビーズやパンク防止のためには、使用済みの防弾チョッキなどから、クローズドループプロセスでリサイクルされたパラアラミド (ケブラー) 繊維を使用するといった徹底ぶりです。海洋プラスチックごみやタイヤを燃やして出る温暖化ガスや有害物質を減らせることも含め、一石何鳥かわからないほどです。
さらにこの、
Retyre 社の製造するタイヤに使用されるバイオベースの高分子化合物・エストラマーは、回収して他の業界も含めた製品に簡単に再利用できると言います。同社は、ゴムを使わずに空気入りのタイヤを大量生産できる世界初の企業だとしています。
自転車のパーツとして、タイヤは絶対に欠かせません。でも、どの製品も大きな違いがないこともあって、あまり注目されません。製品としての変化も乏しいですし、ほかの目立つパーツやアクセサリーと比べても、ユーザーの関心は高くありません。大事なパーツですが地味な商品と言えるでしょう。
自転車用のタイヤも定番のメーカー・ブランドが決まっており、あまりこの分野に進出する企業は多くないと思います。そんな業界ではありますが、環境負荷を減らすという点では、決して小さくない効果が見込める分野と言えるでしょう。さすが環境意識の高いヨーロッパならではの会社と言えそうです。
自転車に乗ること自体が環境に優しい行動なのは間違いありません。ただ、そのパーツの素材まで環境に即した持続可能性の高い製品を選んでいる人がどれほどいるでしょうか。格安粗悪なママチャリが市場を席捲し、自転車そのものを使い捨てのようにする人の少なくない日本人がもっと考えるべき点なのは間違いなさそうです。
◇ 日々の雑感 ◇
与党に対し厳しい審判が下ったのに国民民主党は与党を結果的に助けるような行動はすべきでないと思います。
Posted by cycleroad at 13:00│
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