季節が確実に進んでいます。
「飲んでいるがそれがどうした」警官に自転車酒気帯び運転指摘され”公務執行妨害”
自転車の酒気帯び運転を指摘され「この程度でごちゃごちゃ言うのはおかしい」と立腹したということです。20日未明、春日市で警察官の胸を殴打したとして男が現行犯逮捕されました。
警察によりますと、愛知県豊山町の自称自営業・金子浩一容疑者(61)は20日午前1時15分ごろ、春日市春日原北町の路上で、春日警察署地域課の男性巡査部長(47)の胸を手のひらで複数回殴打し、職務の執行を妨害した疑いがもたれています。
「胸を押したことは間違いないが、仕事を妨害するつもりはなかった」と容疑を一部否認しています。金子容疑者は無灯火で自転車を運転していたところを巡査部長らに見つかり、呼び止められたということです。
酒の臭いがしたため、巡査部長が酒気帯び運転を指摘したところ、「飲んでいるがそれがどうした。この程度で警察がごちゃごちゃ言うのはおかしい」と怒り出し、犯行に及んだということです。呼気からは基準値の4倍のアルコールが検出されていて、警察は自転車の酒気帯び運転容疑での立件も視野に調べを進めています。(11/20 KBC)
友人が酒を飲んだ状態で乗ると知りながら“自転車”貸した疑い 20代男性を書類送検 友人にも赤切符を交付
友人が酒を飲んだ状態で乗ることを知りながら自転車を貸した疑いで、岐阜県養老町の20代の男性が書類送検されました。養老町に住む20代の男性は11月3日、友人が酒を飲んだ状態で乗ることを知りながら自転車を貸した疑いで、19日に書類送検されました。
男性は一緒に酒を飲んでいた友人に「酔っぱらっていて自分では乗れない」などと自転車の運転を頼み、二人乗りしていたところを警察に見つかっていて、容疑を認めているということです。
道路交通法の改正で、2024年11月から自転車の酒気帯び運転に関する罰則が強化されていて、運転していた友人も刑事罰の対象となる赤切符を交付されています。(2024/11/19 東海テレビ)
「改正道交法バンザイ!」自転車の罰則強化に歓声を上げる人々が、かくも多いワケ
今月から施行された改正道交法では自転車の「スマホのながら運転」や「酒気帯び運転」が罰金を伴う罰則対象となり、来年5月までには右側通行や歩道の徐行違反などに“青切符”が導入される予定となっている。
この自転車への罰則強化に、多くの歩行者やドライバーが歓声を上げている。なぜ自転車は、ここまで煙たがられているのか。(中略)
取り締まり強化に相次ぐ喜びの声
自転車が人を「いや〜な気分」にさせる理由
この道交法改正を受けて、ネット世論を含む世間は大変喜んでいる。道路を利用する人なら誰もが当事者となるほぼ全国民を対象としたトピックであり、その反応の大きさに、いかに多くの人が危険な自転車が醸す不条理に悩まされてきたかが伝わってくる。自転車利用者にとっては縛りが増えることになるわけだが、ルールを遵守することでお互いの危険を減らせるので、ぜひ協力してほしいところである。
危険な自転車は、見る人に2つのネガティブな気持ちを催させる。ひとつは恐怖である。歩行者ならぶつけられて怪我するのが怖いし、車のドライバーなら怪我をさせるのが怖い。ドライバーの、もっと保身寄りの本音をつまびらかにするなら、もはや「当たり屋」みたいな自転車との事故に巻き込まれて、大きな過失割合を背負わされるのがすごく嫌である。
もうひとつのネガティブな気持ちは、公共の場でマナーに違反している人を見るときのモヤモヤである。自転車の交通違反は、「マナー」違反ではなく「ルール」違反なのだが、青切符などの罰則が具体化されていない間はルールを守らずとも罰せられないため「マナー違反」的であり、それらを目撃するだけの傍観者はただモヤモヤするしかなかった。
危険な自転車が事故に合わないよう、歩行者、およびドライバーが注意して守っているようなシーンも、道路上ではしばしば見られる。対自転車で事故を起こせば大きく過失割合を負わされる車にとって、特に自転車は「守ってあげるもの」であり、危険な運転の自転車にはとりわけ動向を警戒して保護するように走行してあげねばならない。
だが、ドライバーからすると「現行法でちやほやされているだけのマナーのなっていない自転車を、なぜ自分がこうも保護してやらねばならぬのか」と感じることがないわけでもなく、またその保護されている自転車は保護されている自覚がなさそうにツルッとしているため、ドライバーは余計にやきもきするのである。
はっきり言って、こうしたドライバーや歩行者の自転車に対するネガティブな気持ちは、安全運転の意識が希薄な自転車本人にも当然原因があるが、構造的な原因や世の中的な原因もある。
構造的な原因は、先にも書いたが、自転車の交通違反に対する具体的なペナルティがなかったことである。自転車の交通違反に遭遇した人は、「嫌なことに合った」「嫌なものを見た」と思うだけで、溜飲を下げるよすががまったくなかった。
しかし、改正道交法で取り締まりが強化されれば、少なくとも取り締まられた分はスッキリすることができる。自転車がただ裁かれないだけの構造が大きく変わりつつある。
「自転車は歩行者の仲間」という甘えは許されなくなった
世の中的な原因は、これまでの当たり前だった「自転車は歩行者の仲間」というモラルである。筆者は1980年生まれだが、完全に「自転車は歩行者の仲間」という共通意識の中で育ち、近年「自転車がどうやら段々『車両』扱いされるようになってきた」と感じ、そう思おうとし、実際に自転車に乗る際は車道を走るようになった。
しかし、「自転車は車道走行」と法律だけ変わったものの自転車の走行に適していないと思われる未整備の道路はまだたくさんあることもあってか、なんならまだ「自転車は歩行者の仲間」というイメージの方が自分にとってはしっくり来る。これが「世の中」がもたらす自転車のネガティブイメージの原因である。
かつての共通意識だった「自転車は歩行者の仲間」と、現行の「自転車は車両」の意識に乖離があり、かつ両方の意識が混在している過渡期であるため、自転車に接する自転車以外の人はもやもやしやすいのである。
自転車の取り締まりを目的とした道交法改正は、事故を減らすとともに、世の中の不満を晴らす役割を持っているのであった。(後略 2024.11.16 ダイヤモンド・オンライン)
自転車で信号無視の10歳児が車と衝突 「過失割合100%」 保護者に賠償リスク
10歳児童が運転する自転車と乗用車の衝突事故で、過失割合は自転車が100%−。修理費用を巡る訴訟で、こんな判決が下された。
幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層に利用される自転車だが、道路交通法上はれっきとした「車」。今月1日施行の改正法では16歳以上の違反運転に厳罰が科されるようになった。最も身近な交通手段ともいえる自転車の運転マナー向上につながるか。
3つのポイント
事故現場は信号機のある交差点。男性が運転する乗用車の対面信号は青を示していた。向かって左側に塀があり、見通しは悪い。男性はアクセルペダルを踏まず、徐行して進入。すると左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車とぶつかった。車はほぼ停止状態だったため、児童にけがはなかった。
乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴。大阪簡裁は「本件事故の原因は児童にある」との判断を示し、児童側の過失を認定した。判決のポイントは3つ。1つ目は乗用車側が交差点の手前で速度を落とし、徐行していた点。
2つ目はドライブレコーダーの映像から認定した児童側の運転の状況だ。自転車は歩道上を徐行せずに走行し、児童は前方の信号が赤であることを確認しなかった。3つ目は、車側の事故の予見可能性。この点について裁判所は、現場が見通しの悪い交差点で、赤信号を無視して自転車が飛び出してくることを予見できるとはいえないと指摘した。
児童側は判決を不服として控訴したが、大阪地裁で行われた控訴審でも「児童と男性の過失割合は100対0」と認定された。児童側は上告している。
「まず家庭内で教育を」
11月1日に施行された改正道交法では、16歳以上による自転車の「ながら運転」の罰則が強化され、酒気帯び運転に対する罰則が新設された。ながら運転で事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役か30万円以下の罰金。酒気帯び運転は3年以下の懲役か50万円以下の罰金とした。
こうした罰則強化の背景には、自転車が絡む交通事故の増加がある。警察庁の統計によると、令和5年に発生した自転車関連の事故は7万2339件で、前年より2千件以上増えた。
自転車の事故に詳しい大阪弁護士会の杉田章弁護士は「自転車が加害側となる交通事故が認知され始めた」とし、厳罰化が事故抑止につながると評価する。
一方、今回の訴訟で加害側とされた10歳児のような、処罰対象とならない年齢層でもマナー向上は必須。だが免許制度のない自転車では、利用者への周知の機会がどうしても限られる。杉田弁護士は「まずは親世代への呼びかけを進め、家庭内での教育を促す必要がある」と話した。(2024/11/18 産経新聞)
「親の監督責任だろ」「痛い目見ないと理解しない」10歳児童が自転車事故で“全過失”判決にネット賛同続出…背景に“チャリ”嫌悪の高まり
11月18日に「産経新聞」が報じた記事が話題になっている。《自転車で信号無視の10歳児が車と衝突 「過失割合100%」 保護者に賠償リスク》と題されたものだ。
11月1日施行の改正道路交通法で、「ながら運転」や「酒気帯び運転」への罰則が新設された。対象は16歳以上だがマナー向上が必要として、記事は10歳児が運転する自転車と乗用車の衝突事故を取り上げた。
記事によると、事故は信号機のある交差点で起こった。乗用車側の信号は青だったが、見通しが悪かったために運転手は徐行して進入。左側から赤信号を無視した10歳児の自転車が飛び出してきて、車と衝突した。車はほぼ停止状態だったため、児童に怪我はなかったという。
乗用車の運転手は児童側に修理費用を求めて提訴すると、大阪簡裁は自転車と乗用車の過失割合を「100対0」と認定。その後、児童側は控訴したが、大阪地裁での判決も同様で、児童側は上告しているという。
社会部記者がこう話す。「信号機のある交差点での直進車同士の事故の場合、乗用車側の信号が青で、自転車側の信号が赤だった場合でも、乗用車の運転手は自転車が飛び出してくるかもしれないということを予見した上で、できる限り安全に運転する義務があるため、基本過失割合は自転車80%、乗用車20%が相場でした。
また、子供が事故を起こした場合は、過失割合が抑えられるケースが多かった。しかし今回、大阪簡裁は、乗用車側が交差点の手前で徐行していたこと、ドラブレコーダーの映像では自転車が徐行せず赤信号を確認しなかったこと、現場は見通しが悪く赤信号を無視した自転車の飛び出しを予見できるとはいえないことから、事故の原因は児童にあるとしたのです。
子供とはいえ、飛び出してはいけないという判断能力が十分にあるとされたのだと思います。画期的な判決ではないでしょうか」この報道を受け、Xでは判決を支持する声が相次いでいる。
《朗報。ルールを守らないチャリンカスは痛い目見ないと理解しないからな》
《これはいいニュース。車が気をつけた上での事故であれば、きちんと相手側も責任を負うと言う認識が必要。》
《親の監督責任だろ。『子供なら法律を守らなくても良い』なんてワケないし、親がちゃんと教えないでどうする、って話。子供が死んでから文句を言っても遅い、って理解してるんだろうか?》
《やっとこういう判決が出た!今までの車が一方的に悪いとか理不尽すぎるもんね》
《よしよし、アホな自転車にはどんどん責任取らせてほしい ほんまにマナー悪すぎるからね 子供のルール違反は親の教育の責任やからこれは当然》
近年、自転車による悪質な交通違反が繰り返されており、それらに向けられる「チャリカス」「チャリンカス」という“スラング”がインターネット上で流行している。それだけ、腹に据えかねている自動車ユーザーは多いのだろう。
警察庁の統計によると、2020年まで年々減少していた自転車関連事故件数は、2021年から2023年までに増加傾向に転じ、2023年は7万2339件で前年より2354件増加した。また、全交通事故に占める割合も2019年に21.1%と2割を超え、2023年は23.5%と年々増加傾向にある。
大人から子供まで乗れるとはいえ、自転車はれっきとした「車」であることを忘れてはならない。(2024.11.19 SmartFLASH )
ベンツにはねられ、顔の下半分がグジャグジャに…自転車乗りの息子の命を救った「ヘルメットの奇跡」
前歯が吹っ飛び、顎は4つに砕けたが脳は無事だった
2023年の道交法改正で、自転車に乗るときはヘルメットを着用することが努力義務となったが、街中でヘルメットをかぶっている人は少数派だ。なぜヘルメットが必要なのか。自転車評論家の疋田智さんは「私の息子が自転車で交通事故に遭い大怪我をしたが、ヘルメットをしていたおかげで頭蓋骨の上半分はほぼ無傷で済んだ」という――。
ヘルメットのおかげで息子の命が助かった
まず最初にこの写真を見ていただきたい。これは高1の長男あきが手術後に私に書いたメッセージだ。手術後、彼ののどからは気道チューブが出ていて口がきけないので筆談で。「PP」とは「パパ」のこと。「パパは、ヘルメットの重要性を(みんなに)伝えなさい」と言っている。
あきは10月30日の朝、いつものように自転車で高校に通学する途中だった。その道すがら交通事故に遭った。相手はクルマ。ひとつでも何かが間違えば死ぬほどの大事故だったが、後述するようにヘルメットのおかげで助かったといえる。
救急車で搬送され、気道確保、止血、応急手当ほかの後に、緊急手術となった。手術は午前1時までかかった。頭蓋骨のCT写真を見ると、上半分は無事だが、下半分は前歯が吹っ飛び、顎が4つのピースに砕けているのが分かると思う。当初は舌が裂けて大量出血し、食道・気道が詰まり、要するにそのまま放っておいたら死んでいた。
駐車場からバックしてきたベンツと衝突
なぜこんなにひどい事故になったのか。事故の構図は信じがたいものだった。現場は片側1車線のバス通り。あきはいつも通り車道の左端をまっすぐに進んでいった。すると、逆車線側の駐車場から、いきなり中型のベンツがバックで出てきたという。後方確認もなく。
加害車両が後方確認をしておらず、自転車の存在を認識していなかったことは、後にドライブレコーダーで確認した際に明らかになっている。衝突の際、ドライバーはさも「意外」であるように驚きの声をあげているのだ。(以下略 2024/11/19 PRESIDENT Online)
折りたたみ自転車が前後に破断、溶接されていなかったアルミ製フレーム
2023年4月、男性が折りたたみ自転車で走行中、フレームが破損し転倒するという事故が発生した。男性は歯が折れ、あごを5針縫うけがをした。
自転車は折りたたむためのヒンジ部とフレームをつなぐ箇所で折損し、前後に破断していた。依頼を受けた国民生活センターが調査したところ、折損したアルミニウム(Al)合金製フレームのヒンジ付近の溶接が極めてずさんなものだと判明。同センターはフレームの強度が不足していると結論付けた。
事故を起こしたのは、米DAHON製の折りたたみ自転車「Horize Disc(ホライズ ディスク)」(図1)。自転車やバイクなどの輸入・販売を手掛けるアキボウ(大阪府堺市)が、2021年8月から2024年1月ごろまでに出荷していた。事故を受けて同社は、計734台のリコールを発表した*1。
*1 消費生活用製品安全法の重大製品事故、消費者安全法の重大事故等として消費者庁のウェブサイトにも掲載されている。なお、HorizeDiscは中国で生産されており、当該モデルは日本国内のみに流通している。フレームの他車種への流用もないという。
破断部に多数の溶接不良
破断したのは、ヒンジ部と中空の後方フレームを溶接で接合していた箇所。国民生活センターが、その破断面を詳しく調べたところ、溶接の欠陥が多数認められた。
具体的には、破断面には後方フレームとの合わせ面の全域で溶接痕がない様子が観察できた (図2)。加えて、ヒンジに接していたにもかかわらず溶接されていない箇所や、溶接ビードとフレームの間に空洞ができている箇所など多数の溶接不良が見られた。溶接ビードが母材である後方フレームおよびヒンジ部の素材に十分に溶け込んでいなかったのだ。総じて、融合不良や溶け込み不良により溶接部は十分な強度を有していなかったと考えられる。
調査の依頼を受けた同センターは、さらに同型の自転車を新たに購入して「JIS D 9301:2019 一般用自転車」に定められた「フレーム体のペダル力による疲労強度」に基づいた試験を実施した。この試験は、フレームに取り付ける専用の治具を介してペダル軸に1000Nの力を上方から左右交互に10万回加え、目視できるき裂や折損がないか確認するというものだ。(以下略 2024.11.19 日経クロステック)
【不起訴処分】廃品回収業者装い…自転車など持ち去った疑いの3人「十分な証拠を確保できなかった」〈仙台地検〉
不起訴処分となったのは住所不定の女性(43)と、いずれも岐阜県岐阜市に住む中国籍の女性(40)と中国籍の男性(48)の3人。
警察によると、3人は10月15日午前10時ごろ、廃品回収業者を装い、栗原市に住む会社員の男性(40代)の自宅を車で訪れ、男性の同意を得ずに自転車1台とコードリール1個(合計8000円相当)を盗んだ疑いで逮捕されていた。
仙台地検は3人を19日付で不起訴処分とし、不起訴の理由として「起訴して公訴を維持するに足りる十分な証拠を確保できなかった」とコメントしている。(2024年11月19日 宮城テレビ)
今春、東京まで自転車で600km走破した神戸の90歳男性「もっと遠い所へ行ってやろう」 今度は鹿児島へ、12日間で910km走破
90歳の元写真店主、谷上満夫さん(神戸市西区)が、電動アシスト自転車で自宅から鹿児島まで、通算12日かけて約910キロを走り抜いた。春には東京まで約600キロを走破したばかり。
もっと遠い所へ行ってやろう−。そんな思いに駆られ、今度は九州を目指した。途中、台風の接近で一時帰宅を余儀なくされたが、家族の支えもあり、最後まで諦めることはなかった。
谷上さんは明石駅南の明石銀座商店街で2017年まで60年以上にわたり、写真店を営んだ。90歳近くになって電動アシスト自転車の便利さに気付き、1年ほど前から遠出をするように。今年3月、東京に住む長男の直也さん(62)の自宅まで、9日間かけて1人で約600キロを走った。
■試練
国道では白線の外側を走り、脇道にも入った。谷上さんは「アップダウンもあり、きれいな道ばかりではなかったが、自転車で走る道は気持ちいい」。時には道端で大の字に寝転び、上原さんに見守られながら体力を回復させた。ホテルや旅館に着くと「風呂に入れる」と喜び、睡眠はよく取ったという。
岡山、広島を通り、関門海峡は海底トンネルを自転車を押して通行。30日に北九州市門司区に入った。しかし、その段階で台風が近づいており、再開の見通しが立たなくなった。趣味の彫刻の作品を展覧会に出品する作業が控えていたこともあり、いったん新幹線で自宅に引き返すことに。自転車をホテルに預かってもらい、10月14日に門司から再スタートを切った。
試練は他にもあった。今回、転倒は3回ほどと大幅に減ったが、下り坂でスピードが出過ぎて、派手に転んだことも。左のひじやひざから出血したが、「こんなことでやめられるか」と、ペダルをこぎ続けた。
■反発心
目的地の鹿児島市に着く前日、帰りの段取りをしている上原さんの姿を見て「1人やったら、ここまで来られなかった」と感謝の気持ちがこみ上げた。同市内に入ったのは19日の昼過ぎ。国道3号終点のモニュメント前などで写真を撮り、喜びを分かち合った。
帰りはレンタカーで移動し、宮崎港からフェリーに乗って神戸に戻った。帰宅後、特に疲れが出ることもなく元気に過ごしている。
今回の旅を振り返り、谷上さんは「心配していたパンクがなく、泣けてくるくらいうれしい」と涙ぐむ。自転車で見る景色も格別だった。「山がいっぱいあってきれいやな、と。形もいろいろで海も見える。日本はすごいなと思った」
上原さんは「無事帰ってこられてほっとした。(谷上さんは)上り坂の途中で止まっても、ガードレールにもたれて数分休んだらまた出発する。絶対に諦めない」と感心する。谷上さんは「(高齢になった)自分の体に負けなかった。やってやろう、という反発心があるので、しんどさよりもうれしさが大きい」と話す。(2024/11/20 神戸新聞)