毎年、多くの自転車が廃棄されます。November 24, 2024
最悪になる前に改善を始める
毎年、多くの自転車が廃棄されます。 日本の自転車市場では格安・粗悪なママチャリが席捲しており、修理やメンテナンスをせずに乗り潰し、使い捨てのようにして駅前などに放置する人が少なくありません。ただ、そういう事情は別としても、世界では膨大な数の自転車が廃棄されています。
この自転車の廃棄を減らせないかと考えた人たちがいます。そこで、Gro Club というスタートアップを立ち上げ、自転車のサブスクリプションサービスを展開することにしました。このように書くと、ヨーロッパかアメリカでのことだろうと思う方が多いと思いますが、実は違います。インドでの話です。
インドは近年、高い経済成長を遂げています。人口も中国を抜いて世界一となりました。中国に変わる世界経済の新たな成長センターとしても期待されています。Apple などもインドで製品の製造を始めましたし、米中対立でサプライチェーンが見直されている中国に替わる世界の工場としても注目されます。
しかし、一方でさまざまな環境問題を抱えています。世界最悪とされる大気汚染では、ＰＭ２．５の濃度がＷＨＯ基準の６５倍を記録するなど深刻ですし、農村部などでは、下水道どころか各戸にトイレがないため、土壌汚染や工業廃水も含めた河川の水質汚染も酷いことになっています。
経済成長に伴って自然破壊も広がっていますし、ゴミの回収などのインフラ基盤のない地域も多いため、ゴミ問題も深刻です。温暖化ガスの排出量は、中国、アメリカに次いで世界第３位ですし、生物多様性の喪失、水資源の減少、騒音など、ありとあらゆる公害が問題となっているのです。
日本でも高度経済成長期の公害は酷かったわけで、高い経済成長を続けるインドでは今、それに伴う痛みが出ている形です。しかし一方で、先進国の経験を参考にして、少しでも環境問題を解決しようとする人たちもいます。この、Gro Club を立ち上げた人たちも、その一例です。
排気ガス等による大気汚染、ゴミ投棄、無駄な廃棄物が増えることによる温暖化ガスの排出、サスティナブルな交通、多方面で自転車はインドでも有効だと考えています。しかし、これまでのように大量生産、大量消費、大量廃棄をして、インドの深刻な環境問題を悪化させたくないと考えたわけです。
例えば、固定電話のインフラ整備・普及を飛び越えて、携帯電話の普及が進むことをリープフロッグ現象と言ったりしますが、ゴミや省資源、省エネルギー、環境問題の解決においても、大量廃棄の時代を飛び越して、循環型の経済を実現するため、サブスクリプション方式による、製品の有効活用を推進しようと考えました。
子供用の自転車は、成長ですぐサイズが小さくなるのでサブスクリプション方式は便利です。購入ではなく定額の料金を支払って使う方式なので、すぐに必要なサイズに交換してもらえます。大人であっても、修理やメンテナンスを頼める店が近くになければ、それを提供してくれる、Gro Club のほうが便利と考える人もいるでしょう。
消費者直販型なので、直接製品を届けてくれ、必要に応じ、いつでも修理や機材の交換をしてくれます。常に快適な状態で新しい自転車に乗ることが出来ます。年齢に合わせた自転車と、自転車用アクセサリー類、チャイルドシートなどの関連用品、一部、子供用の二段ベッドなども扱っています。
必要に応じて新しい自転車を届けるとなっていますが、実は新品ではありません。返却された自転車は、全て分解して洗浄し、必要に応じて塗装し直されます。ですから見た目は新品同様になりますが、繰り返し使われるのです。これによって廃棄物を減らすという仕組みです。
廃棄物を直接的に減らすことに加え、温暖化ガスの排出を削減します。自転車１台の製造で生まれる温暖化ガスは、約３３０�圓砲覆蠅泙后�コンディションにもよりますが、最低でも５回は再利用することで、長期的にはおよそ６０％の排出量削減が見込めるとしています。
契約数は現在まだ５千台に過ぎませんが、これだけでも将来にわたり、３８４０トンの排出量削減になる計算です。これは１４０万本の木の苗木が１０年間で吸収する二酸化炭素の量に匹敵すると言います。これから事業が拡大するにつれ、さらに多くの温暖化ガスの排出削減にも貢献できると考えています。
どんどんサイズが小さくなる子供用、修理やメンテナンスを頼める点、購入するより安くなり、環境にも優しいという点で、少なくともインドでは、自転車はサブスクリプション方式に向いていると言えるでしょう。ムンバイからバンガロール、ハイデラバード、マイソールなど、サービスを展開する地域も拡大しています。
もちろん、この事業だけでインドの環境問題が解決されるわけではありません。しかし、年間１千５百万台もの自転車が廃棄され、３．４トンが埋め立て処分されています。自転車の廃棄を少しでも減らしたいと考えているのです。小さな一歩かも知れませんが、出来ることから進めていくしかありません。
多くの先進国でも高度経済成長の時代に発生したような、公害やゴミ問題に悩まされているインドですが、それを解決したり、軽減しようとする取り組みも、同時に出てきています。このあたりも渾然一体となって、インドの高度成長を支えているということなのかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
トランプ次期大統領がウクライナ戦争終結に向け特使を検討など動き始めています。早期に実現するでしょうか。
この自転車の廃棄を減らせないかと考えた人たちがいます。そこで、Gro Club というスタートアップを立ち上げ、自転車のサブスクリプションサービスを展開することにしました。このように書くと、ヨーロッパかアメリカでのことだろうと思う方が多いと思いますが、実は違います。インドでの話です。
インドは近年、高い経済成長を遂げています。人口も中国を抜いて世界一となりました。中国に変わる世界経済の新たな成長センターとしても期待されています。Apple などもインドで製品の製造を始めましたし、米中対立でサプライチェーンが見直されている中国に替わる世界の工場としても注目されます。
しかし、一方でさまざまな環境問題を抱えています。世界最悪とされる大気汚染では、ＰＭ２．５の濃度がＷＨＯ基準の６５倍を記録するなど深刻ですし、農村部などでは、下水道どころか各戸にトイレがないため、土壌汚染や工業廃水も含めた河川の水質汚染も酷いことになっています。
経済成長に伴って自然破壊も広がっていますし、ゴミの回収などのインフラ基盤のない地域も多いため、ゴミ問題も深刻です。温暖化ガスの排出量は、中国、アメリカに次いで世界第３位ですし、生物多様性の喪失、水資源の減少、騒音など、ありとあらゆる公害が問題となっているのです。
日本でも高度経済成長期の公害は酷かったわけで、高い経済成長を続けるインドでは今、それに伴う痛みが出ている形です。しかし一方で、先進国の経験を参考にして、少しでも環境問題を解決しようとする人たちもいます。この、Gro Club を立ち上げた人たちも、その一例です。
排気ガス等による大気汚染、ゴミ投棄、無駄な廃棄物が増えることによる温暖化ガスの排出、サスティナブルな交通、多方面で自転車はインドでも有効だと考えています。しかし、これまでのように大量生産、大量消費、大量廃棄をして、インドの深刻な環境問題を悪化させたくないと考えたわけです。
例えば、固定電話のインフラ整備・普及を飛び越えて、携帯電話の普及が進むことをリープフロッグ現象と言ったりしますが、ゴミや省資源、省エネルギー、環境問題の解決においても、大量廃棄の時代を飛び越して、循環型の経済を実現するため、サブスクリプション方式による、製品の有効活用を推進しようと考えました。
子供用の自転車は、成長ですぐサイズが小さくなるのでサブスクリプション方式は便利です。購入ではなく定額の料金を支払って使う方式なので、すぐに必要なサイズに交換してもらえます。大人であっても、修理やメンテナンスを頼める店が近くになければ、それを提供してくれる、Gro Club のほうが便利と考える人もいるでしょう。
消費者直販型なので、直接製品を届けてくれ、必要に応じ、いつでも修理や機材の交換をしてくれます。常に快適な状態で新しい自転車に乗ることが出来ます。年齢に合わせた自転車と、自転車用アクセサリー類、チャイルドシートなどの関連用品、一部、子供用の二段ベッドなども扱っています。
必要に応じて新しい自転車を届けるとなっていますが、実は新品ではありません。返却された自転車は、全て分解して洗浄し、必要に応じて塗装し直されます。ですから見た目は新品同様になりますが、繰り返し使われるのです。これによって廃棄物を減らすという仕組みです。
廃棄物を直接的に減らすことに加え、温暖化ガスの排出を削減します。自転車１台の製造で生まれる温暖化ガスは、約３３０�圓砲覆蠅泙后�コンディションにもよりますが、最低でも５回は再利用することで、長期的にはおよそ６０％の排出量削減が見込めるとしています。
契約数は現在まだ５千台に過ぎませんが、これだけでも将来にわたり、３８４０トンの排出量削減になる計算です。これは１４０万本の木の苗木が１０年間で吸収する二酸化炭素の量に匹敵すると言います。これから事業が拡大するにつれ、さらに多くの温暖化ガスの排出削減にも貢献できると考えています。
どんどんサイズが小さくなる子供用、修理やメンテナンスを頼める点、購入するより安くなり、環境にも優しいという点で、少なくともインドでは、自転車はサブスクリプション方式に向いていると言えるでしょう。ムンバイからバンガロール、ハイデラバード、マイソールなど、サービスを展開する地域も拡大しています。
もちろん、この事業だけでインドの環境問題が解決されるわけではありません。しかし、年間１千５百万台もの自転車が廃棄され、３．４トンが埋め立て処分されています。自転車の廃棄を少しでも減らしたいと考えているのです。小さな一歩かも知れませんが、出来ることから進めていくしかありません。
多くの先進国でも高度経済成長の時代に発生したような、公害やゴミ問題に悩まされているインドですが、それを解決したり、軽減しようとする取り組みも、同時に出てきています。このあたりも渾然一体となって、インドの高度成長を支えているということなのかも知れません。
トランプ次期大統領がウクライナ戦争終結に向け特使を検討など動き始めています。早期に実現するでしょうか。
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Posted by cycleroad at 13:00│Comments(0)
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