November 30, 2024

アウトドアを移動できる能力

アウトドア好きの人はたくさんいます。


イギリスはスコットランドに住む、Ben Kilner さんもその一人です。ハイランド地方のフォートウィリアムあたりは、観光の中心地となっており、登山やハイキングも盛んでイギリスのアウトドアのメッカと呼ばれています。MTBのコースや魅力的なサイクリングロードが多いことでも知られています。

緯度は北緯49度から61度くらいと、北緯41〜45度の北海道と比べるてはるかに北にありますから、寒いイメージがありますが、近くを暖流が流れる典型的な西岸海洋性気候のおかげで、緯度のわりには寒くなく、夏は涼しく過ごしやすい気候です。アウトドアを楽しむのにも向いていると言えるでしょう。

Ben KilnerBen Kilner

Ben Kilner さんは、カヌーで川を下ったり、自転車でサイクリングするのが好きです。ただ、カヌーでのんびりと川を下るのは最高ですが、遡るのは意外にたいへんです。使ったカヌーを川下でクルマに積んで戻るという手もありますが、それでは面白くありません。

彼のモットーは、オリジナリティを大切にすることです。そのためにアウトドアで使う道具を新しく創り出したり、それを改良したりしつつ、冒険に出かけるスタイルを貫いています。ありきたりのことで満足するのではなく新しいことに挑戦し、周囲の人にもインスピレーションとして感じてほしいと思っています。

Ben KilnerBen Kilner

彼は新しいアウトドアの移動の道具として水陸両用車をつくることにしました。カヌーと自転車を合わせたような乗り物を考えました。カヌーをベースにしてBMXのパーツなどを使ってトライクにして、川ではカヌー、陸上では自転車として走れるようにしたのです。

タイヤやハンドル、ペダルなどを移植した、陸上を走行できるカヌーです。ベースがカヌーなので自転車としては不格好ですが、リカンベントのようなスタイルでペダルをこぎ、のんぴり走るには問題ありません。そんなに速くは走行できませんが、十分に自走できます。問題は水上です。

Ben KilnerBen Kilner

川下りとは言っても、急流を下るわけではないので、なんらかの推進力が必要です。最初はスクリューを考えましたが、製造が難しく、費用もかかります。おまけに水面に水草や藻が生い茂ったような水域ではスクリューに絡んでしまいます。水中のスクリューは浅瀬では損傷してしまい、上手くいきませんでした。

水車のようなものを両側に取り付けることも考えました。しかし、水車の径が小さいとたいして推進力が得られず、大きくすると重心が高くなってしまうなど、上手くいきません。少なくともカヌーのような喫水が浅く幅の小さい舟には向いていないことがわかりました。

Ben KilnerBen Kilner

そのほかいろいろ試しましたが、たどり着いたのはパドルです。カヌーにパドルなんて当たり前ですが、やはりこれが一番うまくいきました。ただ、パドルを手に持って漕ぐのではなく、せっかく自転車のペダルとギヤなどがあるわけですから、足でペダルをまわすと、アヒルの脚を模したパドルが水を掻くようにしたのです。

@ben_kilner The viral clip ?? #viralvideo ? original sound - Ben Kilner


名付けて、“Pedal Paddle”システムです。 水草や藻に悩まされず、浅瀬でも平気、パーツも自転車のものを流用できますから制作もラクです。中古の自転車パーツは手に入りやすく、安価なので費用も抑えられます。足で漕ぐぶん、パワーと持久力が得られやすいのも利点でしょう。



川を下るためにカヌーがベースとなっていますが、これは荷物を載せるスペースを確保できることにもなります。1人乗りですが、想定する冒険旅行に出かけるには、いろいろと荷物が必要です。当然ながら野営しますので、食料や道具を積むと意外にかさばりますが、カヌーならば荷物スペースが確保できます。



Ben Kilner さんは、スコットランド西海岸のフォートウィリアムから東海岸まで、グレート・グレン・カヌー・トレイルを通ってウィー ハン川をこれで下りました。全長は97km です。帰りは陸上を126km 走行して戻りました。水陸222km、10日間の旅でした。

Ben KilnerBen Kilner

書くと簡単ですが、水上と陸上の両方でトラブルや故障に見舞われ、危険な目にも遭い、波乱に満ちた旅だったようです。同時にこの挑戦をチャリティとして、スポンサーを通じて4千800ドルを集めることが出来ました。こればNPOの、“A Leg To Stand On”に寄付をしました。



このNPOは、途上国で足に障害を負った子供たちに義肢などを提供することを目指す団体です。途上国や新興国では障害を持つ子どもの10人中9人が必要なケアを受けられません。一人でも多くの子どもに自分の足で立ち、学校に通い、そして外の世界へと踏み出してほしいと願っています。

A Leg To Stand OnA Leg To Stand On

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なかなか素敵な挑戦です。水陸両用車を自作してしまうのもそうですが、家から出ることも困難な低所得国の障害を持つ子どもたちに、アウトドアへ踏み出す義肢を届ける寄付活動でもあるのです。屋外を自由に移動できる能力は、それを失うまで気がつきませんが、それ自体が贈り物のようなものだと感じているのです。


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◇ 日々の雑感 ◇

日本海側で降水降雪の多い冬型の天気になってきました。太平洋側は乾燥していますが出かけやすいですね。

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