December 06, 2024

新しい人生を最大限に生きる

人間が出来ることに驚くことがあります。


イギリスはハンプシャー州を拠点に活動をする、Alex Lewis さんもその一人です。前回は、画期的な義手を開発した“Koalaa”という義肢装具メーカーを取り上げました。創設者は、Nate Macabuag さんという方ですが、その、Nate さんにも大きな影響を与えた人です。

Nate さんは大学時代に義肢装具のエンジニアを目指していました。でも、その時には困っている人を助けるといった崇高な目的はありませんでした。義肢装具の技術的な部分、最先端のセンサーと電子機器、3Dプリントなどのメカニズムに興味を持ち、それをエンジニアとしてクールだと感じていただけだったと言います。

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でも、大学で義肢装具のプロトタイプを制作していた時、Alex さんに会った瞬間に変わったと言います。彼はそれが素晴らしいと称賛し、これは世の中に広く普及させるべきだと言いました。この言葉が世界中で義肢を利用できるようにするための会社、“Koalaa”設立のきっかけになりました。

当時、義肢制作の業界では、最先端の技術を使った義肢が主流となっていました。例えば、筋電義手と呼ばれるような種類です。残った腕の神経から発せられる微弱な信号を検知して、装着者が指先まで動かしたいように動かせる義手です。当然のようにハイテクを駆使した開発が進められていたのです。

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しかし、義手の必要な人は、必ずしもそれを望んでいるわけではないことを知りました。第一、そのような義手はコストが高すぎます。見た目や機能は素晴らしくても、実際に生活のなかで使う実用性とは別です。義肢のデザイナーは、実際に必要としている人の望みより、ハイテク方向の開発に行きがちだったのです。

本当に必要とされる義肢は、もっと違うところにあることに気づかされました。Nate さんはハイテク義手がカッコいいと考えていた自分の思い込みを反省しました。そして、謙虚になったのです。Alex さんに会ったことで、それまでの考え方から目指すものまで、全く変わったと話します。

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Nate さんは、市場に出回っていた従来の義手と比べて、少ないコストで、誰でもアクセスできて使いやすい義手が必要とされていることを知りました。それが“Koalaa”設立につながりました。Alex さんは、設立前も現在も、彼らが設計し試作する義肢をテストし、鋭い意見を提供してくれています。

なぜ、Nate さんが、Alex さんにそれほど影響されたのかは、Alex さんの身に起きたことを知る必要があります。2013年、Alex さんは風邪をひきました。パートナーの、Lucy さんは「男の風邪」“Man flu”(マンフル)だと思っていました。男性が風邪をひくと、その症状を大げさにアピールする傾向を揶揄するジョークです。

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しかし、それはとんでもない間違いでした。高熱が出て、血尿が出始め、皮膚が紫色に変色し始めました。彼は、劇症型のA型溶血性レンサ球菌感染症だったのです。近年日本でも、人食いバクテリアなどと呼ばれて恐れられている感染症です。すでに敗血症と多臓器不全を起こしていました。

劇症型というだけあって、急速に病状が悪化します。彼が救急車で病院に運ばれた時、すぐに蘇生処置が行われましたが、医師は家族にさよならを言うように言いました。家族は生存確率は1%未満、余命は数時間と告げられたのです。まさに瀕死の状態でした。( ↓ 動画参照)



その後、一週間昏睡状態でしたが、医師団の懸命の努力により奇跡的に生き延びました。しかし、四肢は切断され、顔の一部も切除せざるを得ませんでした。風邪をひいて、わずか10日後には手足と顔の一部まで失うという事態になり、3歳の息子は怖くて彼に近づくことも出来ませんでした。

恐らく、ほとんどの人は絶望に打ちひしがれるでしょう。生きる気力を失くしても不思議ではありません。つい10日前までは何ともなく、アウトドア好きの健康な青年だったのに、手も足も顔の一部も失うなんて、なんて過酷な運命かと、神を呪ってもおかしくないでしょう。しかし、Alex さんは違いました。

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余命数時間と言われたのに生きている、そのことが信じられないほど幸運だと感謝したのです。突然人生は変わりましたが、生まれ変わったような感覚を持ちました。そして、幸運にも与えられた新しい人生を最大限に活かす方法を探すべきだと決心しました。

もちろん、何度か深く落ち込んだこともあります。しかし、九死に一生を得たことをポジティブに考えることが出来るようになりました。手足は全て無くなり、当初、顔は彼とわからないほどでしたが、シンプソンズのキャラクターのようだと笑いとばすなど、持前の明るさを失いませんでした。

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手も足も失って、出来ないことはたくさんありました。33年間慣れ親しんできた身体が全く変わってしまい、困難な場面も多いはずです。常人には想像のつかない状況ですが、彼は『気が動転することもあるが、人間の体が克服できるものは信じられないほど素晴らしいと思う』と語っています。

その後も大がかりな再建手術と継続的なリハビリに取り組みました。片腕は肘が残ったため、義手をつけて出来ることも増えました。元の生活に復帰するだけではなく、精力的に新しい活動を始めました。ファルマスからドーバーまでボートを漕いで渡ったり、ハンドサイクルで何百マイルも走破しました。( ↓ 動画参照)



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アフリカの最高峰登頂にチャレンジしたり、スカイダイビングもしました。ゴビ砂漠の横断もしたいと考えています。そうした挑戦に加え、財団を設立して、義手の技術研究に協力したり、“Koalaa”の設立のための資金集めにも奔走しました。最近では、ウクライナで新たに四肢を失った人を励ますため、現地にも入っています。

いろいろな組織や会議、教育機関などで講演活動も行っています。自分の経験も踏まえ、逆境を乗り越えて人生で新たな挑戦をするように他の人を動機付けること目的としています。モチベーションを高め、人生を最大限に生きることを促したいのです。( ↓ 動画参照)



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エチオピアに車イス工場を設立したり、革新的な“Koalaa”の義手を、必要とする全ての子供たちに贈るための資金集めも進めています。活動の一つひとつは書ききれませんが、四肢が不自由な身であるのに健常者でも出来ないような挑戦をし、精力的にさまざまな活動を展開しているのです。

まさに、人間が出来ることに驚くとは、この人のようなことを言うのでしょう。前回取り上げた“Koalaa”の義手の話も活動の一部に過ぎません。凄い人がいるものです。彼の話を聞くと、みな元気になると言います。義肢の支援に加えて、この人の生き様や存在そのものが、切断者に勇気を与えているに違いありません。


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◇ 日々の雑感 ◇

韓国尹錫悦大統領の突然の非常戒厳発令には驚きました。まだ流動的ですが弾劾訴追案が可決される公算も高まっています。場合によっては日本にも大きな影響が及ぶだけにその動向が注目される状態が続きそうです。

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