December 15, 2024

災難から生まれたリサイクル

あれから5年の月日が過ぎました。


2019年12月の新型コロナウイルス感染症の発生から5年です。その後のパンデミックやロックダウンは世界中に大きな影響を及ぼしました。このパンデミックの影響で、いいか悪いかは別として大きく生活や仕事のやり方などが変わった人も少なくないでしょう。

アメリカ、アーカンソー州ベントンビルで自転車店を営んでいた、ZACH Springer さんと、Elysia さん夫妻も商売が大きく変わりました。当時、ロックダウンで自転車に乗る人が急増した一方で、世界的に自転車の在庫が不足し、注文しても品物が全く入って来なくなりました。

Gnargo Bike CoGnargo Bike Co

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ロックダウンで来店客が少なくなったこと以上に、売るものがなくては商売になりません。ベントンビルは、世界最大の流通企業、ウォルマートの創業の地であり、現在も本社があります。ZACH さんも店が開店休業状態なので、そのウォルマートで働いて収入を得るしかありませんでした。

もう一つ、閑古鳥が鳴く店のガレージで始めたことがあります。それはカーゴバイクを製作することです。もともと夫婦は自転車好きで、MTBなどに乗っていました。それが高じて世界のMTBの中心地とも呼ばれるベントンビルに引っ越してきたくらいです。

Gnargo Bike CoGnargo Bike Co

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2000年代の初め頃から、アメリカにもヨーロッパからカーゴバイクが入ってきており、Elysia さんも1台欲しいと思っていたのです。しかし、まだ近くに扱うところがなく、希望するタイプのカーゴバイクを入手することが出来ていませんでした。そこで自分たちの店で作ってみようと思い立ったのです。

おそらく、コロナで時間があったからであり、そうでなければ自分で作ろうとは思わなかったはずです。仕入れていたでしょう。しかし、当時はコロナによる在庫払底で普通の自転車も仕入れるのが困難でした。そのような条件が重なったため、カーゴバイクをつくることにしたのです。

Pedal It ForwardPedal It Forward

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パンデミックの前、ZACH さんは“Pedal It Forward”でボランティアで働いたことがありました。この団体は、アメリカの内国歳入法、501(c)の規定による非営利団体で、中古の自転車を集めて修理し、困っている人に無償で贈呈する活動をする団体です。

ここには、廃棄されたり使われなくなった自転車のフレームがたくさん持ち込まれていました。それを知っていた、ZACH さんは、この団体からフレームを仕入れ、切断したり溶接したりしながら、カーゴバイクにビルドし直したのです。そして電動アシスト機構を追加し、e-CargoBike にしました。

Gnargo Bike CoGnargo Bike Co

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古いフレームは完全に塗装を剥がし、全てペイントし直して新品同様にしました。そして希望を全て取り入れたカスタム仕様に仕上げたのです。“Gnargo eCargo Bikes”の誕生です。最初の購入客は、そう、Elysia さんでした。以前から子どもを乗せたり、荷物を運んだりするのに欲しいと思っていたカーゴバイクを手に入れました。

その後も改良を加えて乗っていると、地域の人から注目されるようになりました。そして欲しがる人が出てきたのです。そこで、この“Gnargo eCargo Bikes”を製造販売する仕事を始めました。大量に生産は出来ませんが、顧客の要望に応じて、カスタマイズしながら製作しています。

Gnargo Bike CoGnargo Bike Co

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材料は相変わらず、“Pedal It Forward”から1台分を50ドルほどで仕入れています。新品のフレームを仕入れることも出来ますが、あえてリサイクルしています。もともと、自転車によって環境負荷を減らし、持続可能性な社会にすることに共感していた夫妻にとって、リサイクル素材を使うのは当然の選択肢でした。

Pedal It Forward”に支払う代金は、同団体が修理して無償する自転車、2台分の経費に充てられます。無駄な廃棄物を減らすとともに、生活に困っている人への援助にもなる仕組みです。コミュニティにも還元されるわけで、この部分は隠れた貢献にもなっているのです。( ↓ 動画参照)



ほかに必要となる部品については新品を使わざるを得ないものもありますが、なるべく標準的なパーツで、もし修理や交換が必要になった時でも、簡単に入手可能なものを使っています。そして、クルマの代わりとして使えるカーゴバイクとして、信頼性と耐久性にこだわって製造しています。

自分たちもユーザーですから、細かい部分にもこだわっています。例えば、スタンドを立てた状態で、前方の荷台にだけ人が乗っても倒れません。なんならダート走行やジャンプも出来るくらいのバランスの良さを実現しています。要望によってホイールベースを伸ばすなどした場合にも必ず試乗して検証しています。( ↓ 動画参照)




Elysia さんは、子どもを乗せて走ることで、子供たちとの関係もすっかり変わったと言います。前に乗る子どもの姿が見え、大声で叫ぶのではなく会話を交わし、一緒に移動するのは素敵な体験です。子どもの送迎だけでなく荷物を運んでの移動や、通勤にも使います。彼女はこのバイクが気に入り、私のミニバンと呼んでいます。

子どもだけでなく、なんなら大人を運ぶことも出来ます。畑で収穫した野菜とか、ビールケース、作業用の工具など重い荷物を積んでも、20インチの前輪のおかげで重心は低く安定感があります。フロントローダー式は専用に設計を見直すことでハンドリングも向上し、電動アシストとの組み合わせでスムースに走行可能です。

Gnargo Bike CoGnargo Bike Co

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地域の人に加え、遠方からネットで注文する人もいます。もともと普通の自転車と比べ、既製品でもカーゴバイクの種類は限られます。この“Gnargo eCargo Bikes”ならば、必要や好みに応じてカスタマイズが可能です。既製品のサイズでは足りないとか、このような荷台が欲しいなど、個々の要望に応えられるのも魅力でしょう。

作り手としても、顧客から直接のフィードバックが得られます。今後もベースとなるモデル設計は更新していく予定です。モーターやコンポーネントは1年の保証ですが、フレームについては永久保証をつけています。現在は6〜8週間の納品待ちが発生していますが、こうしたポリシーを崩すつもりはありません。

Gnargo Bike CoGnargo Bike Co

もともと“Gnargo Bike Co”は自転車販売店であり、手間もコストも余計にかかるオリジナルのモデルを製造販売するなんて考えてもいませんでした。これもコロナのパンデミックによる思わぬ副産物と言えますが、夫妻は、結果として地域社会に笑顔と前向きな変化をもたらしていると感じています。


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