February 16, 2025

すでにある道具に満足しない

自転車はたくさんのパーツで出来ています。


自転車の部品を全て自社生産で網羅しているメーカーはありません。有名ブランドのモデルだったとしても、それぞれのパーツは別のメーカー製であり、それらを組み合わせで出来ています。例えばクルマだって、部品ごとに別々のメーカーが製造しているのが普通で、それは現代の工業製品の多くが当てはまります。

ただ、クルマは下請け、孫請けとピラミッド型に部品メーカーが連なることも多く、そのトップに位置する完成車のメーカーが統合する形です。もちろん汎用の部品がないわけではありませんが、自社のモデルにはそれ専用の設計があり、いわゆる系列が出来ているのが一般的でしょう。

Smart LeverSmart Lever

自転車の場合、パーツメーカーが系列で垂直に統合されているわけではなく、同じパーツを作っているどのメーカーの製品でも代替できるのが普通です。パーツにも選択肢があるわけです。コンポなどの一部の重要部品は何社かの寡占状態にあるので選択肢は限られますが、その他のパーツは自由に組み合わせることが出来ます。

完成車を購入した時とは別のブランドのパーツに交換することも出来ます。当然規格があるので、それが適合しているパーツ同士なら互換性があります。例えば、“ETRTO”という規格はタイヤやリムなどの技術規格ですが、それに合わせたサイズを選べば、問題なく交換できます。

ただ、実際にタイヤを交換しようとすると、互換性があっても交換しにくい場合があります。メーカーによってサイズの許容差の小さいものがあり、組み合わせによっては、脱着に非常に難儀することがあるわけです。タイヤのパンク修理などの時に苦労した人もあるのではないでしょうか。

タイヤをリムに装着しようにも、余裕が無さすぎて、ビードがリムより小さく感じて交換できるのかと疑うようなことがあったりします。問題なく交換できるのが普通ですが、なかには非常に交換するのに力がいる場合があります。そんな経験をしたことのある人も多いのではないでしょうか。

Smart LeverSmart Lever

私も経験があります。個人的には指先の力は強いほうなので、タイヤを脱着出来なかったことはありませんが、ずいぶん硬いなと感じたことはあります。友人の女性で、パンクして何とかタイヤを外したのはいいですが、元に戻せなくて自分での修理を断念したという話を聞いたこともあります。

もちろん、そのためにタイヤレバーという道具があります。単純な道具なので何かで代用できそうに思えてしまいますが、さすが専用にできているだけあって、リムにひっかかるようになっており、テコの原理でタイヤをはめるのが容易になります。しかし、このタイヤレバーを使っても友人の女性は出来なかったそうです。

先の尖ったネイルをつけていて出来なかったわけではありません。規格の問題やタイヤの構造上、仕方ないのかも知れませんが、とても力のいる場合があるようです。どうしても相対的に力が弱い女性には不利です。このあたりにも意図的ではないにせよ、ジェンダーギャップを生む要因があるのかも知れません。

近年はチューブレスタイヤなどもあり、余計に交換に力が必要な場合があるようです。そう頻繁にタイヤを交換したり、パンク修理で外したり入れたりするわけではないので、私は特に不便とは感じていませんでしたが、パンク修理を高いハードルに感じている人もあるのでしょう。

Smart LeverSmart Lever

それを解決すべく、新しいツールを開発した会社があります。イギリスはハンプシャーに拠点をおいて展開する、Bicycle Innovations 社です。このツールの製品名は“Smart Lever”、サイドウォールをリムにスライドさせて挿入することができます。

Smart LeverSmart Lever

使い方を言葉で説明するのは難しいので動画を参照してください。実際に使ったことはないので評価は難しいですが、動画を見る限り、一本のレバーでスムースに脱着できています。部品は全て英国製、組み立てもイギリス国内で行っている、純イギリス製というところもアピールしています。



同社の工業デザイナー、Mark Searles さんが発明し、特許を出願しています。女性を含めたサイクリスト仲間に聞いてみると、この問題を感じている人が少なくないことに気づいたと言います。今まで一般に使われているようなタイヤレバーでは不十分ということに気づいたそうです。

これまでのタイヤレバーよりは複雑ですが、比較的簡単な構造であり、出先でのパンク修理に対応するため、コンパクトになっているのも特徴です。今までのタイヤレバーの代わりに、チューブなどと一緒にサドルバッグ等にいれておいても全く場所をとらない大きさです。

Smart LeverSmart Lever

クリンチャー、チューブレス、チューブラーなど、あらゆる自転車タイヤで使えます。オプションで、スマートレバーと組み合わせて使う、ビードレバーというのもあります。このビードレバーは必ずしも必要ではありませんが、さらに効果的にタイヤを外すことが可能としています。

Smart LeverSmart Lever

値段は、£22.50(ポンド)です。イギリスから世界各国に発送可能となっています。直接、自転車を構成するパーツではありませんが、パンク修理という面倒を軽減、あるいは修理が出来ないためにクルマに積んで移動せざるを得ない状況を回避することで、サイクリストに貢献したいと考えています。



空気を入れるポンプとかケミカル、各種の道具類などもそうですが、自転車のメンテナンスや保管、その他自転車生活全般を支えるような自転車用品にもたくさんの種類があります。それらを製造・供給、そして改良するメーカーも、私たちの自転車生活を支えてくれていると言えそうです。





◇ 日々の雑感 ◇

月末にもウクライナ停戦に向けた米ロ首脳会談かとの報道、トランプ大統領が前のめりに見えるのは確かです。

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