April 11, 2025

自転車利用者も主張している

ニュースなどで海外でのデモ行進を見ることがあります。





移民排斥、ガザ攻撃非難、人種差別への抗議、トランプ関税反対など、その主張はさまざまですが、プラカードを掲げ、シュプレヒコールを上げながら道路を行進するなどが、よく見る光景です。日本でもその規模はともかく、デモが起きることはあります。

同じデモでも、サイクリストによるものとなると趣きが変わります。自転車に乗って大勢で走行するライドイベントというスタイルが一般的です。自然発生的に始まるクリティカルマスもありますが、団体・提唱者がネットなどで参加を呼びかけて賛同者が集まる形で行われます。

IBikeLondonIBikeLondon

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IBikeLondon”も年に何度かライドイベントを企画しています。主張するのは、全てのロンドン市民に安全にサイクリングを楽しむ機会を与えてほしい、というものです。道路は「クルマだけ」のものではなく、歩行者や自転車に乗る人にも安全に利用する機会があってしかるべきという主張です。

ロンドンでも最近は自転車に乗る人が増えていますが、必ずしも自転車にとって乗りやすい環境ではありません。イギリスでも戦後のモータリゼーションによって、クルマの爆発的普及に対応するため道路が整備されてきたわけですが、近年までは当たり前のようにクルマ優先の整備が進められてきました。

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クルマ優先が合理的であり、経済的にもコンセンサスであったわけですが、近年はその弊害の大きさが注目されるようになりました。渋滞、交通事故、大気汚染、温暖化ガス排出などです。渋滞や環境負荷を減らすため、渋滞税のようなものを導入する都市も増えてきました。都市へのクルマの流入を減らすための規制です。

多くの点から自転車が見直され、乗る人が増えてきた傾向があります。ロンドンでは2005年の地下鉄とバスの同時多発テロや、コロナのパンデミックで公共交通が忌避されました。ウクライナ侵攻によるガソリン価格高騰もありましたし、自転車に乗るという選択肢が一般的なものとなりつつあります。

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しかし、相変わらずクルマ優先の道路が多く、もっと自転車用に安全な走行空間を整備してほしいという声が多くなってきています。このことに共感する自転車利用者は多く、誰でも自由に参加できるライドイベントを開くと多くの参加者が集まります。

これまで、なかなか自転車利用者の主張に関心が集まることはありませんでした。でも、日々の生活のなかで不満を感じる人が増えており、自転車利用者ももっと権利を主張すべきとの考え方が自然になってきているのです。少なくとも、クルマ優先ではなく、人間の命を優先すべきとの主張には共感が集まっています。

@ibikelondon


ゆっくりとした速度で巡行しますので家族連れでも参加できます。政治的な主張を叫ぶデモとは違い、無料で参加できる楽しく一緒にサイクリングするイベントというスタンスです。“IBikeLondon”に限らず、こうした自転車にも権利をと、緩やかに訴えるスタイルのイベントは増えています。

ヨーロッパ各地で行われている、“KIDICAL MASS”も同様のライドイベントです。子どもや若者が、徒歩や自転車で安全かつ自立して移動できる社会というビジョンを掲げて自転車に乗ります。イギリスやEUだけでなく、カナダやオーストラリアまで広がっています。ちなみに次のアクションは地域ごとに5月5日〜25日です。

KIDICAL MASSKIDICAL MASS

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やはりクルマ優先の道路に疑問を呈しているわけで、小さな子どもでも安全に安心して移動できる道路を求めています。そのほかにもクルマ優先、クルマ社会に対する批判、意見を掲げる場合もあります。例えば、近年増えているクルマの種類、SUVに対する疑問です。

クルマメディアのデータによれば、過去7年間の新車の平均重量は400キロ近くも増えました。SUVの人気で乗り換える人が増えているからです。このことで、購入する新車の平均車両重量が1,553kgから1,947kgに増加しているのです。

KIDICAL MASSKIDICAL MASS

もちろん、クルマの購入者が自分の好きなタイプを選ぶ権利はあります。しかし、好みや流行りだけで大きくて重いSUVを選ぶのが社会的に好ましいとは言えません。環境負荷も増えますし、駐車スペースが増えることで貴重な都市部の公共空間の占有面積が増えることも確かです。

そして、事故が起きた場合の被害が大きくなります。事故が発生した場合、車内の乗客の安全性は高まっていますが、歩行者や自転車など、相対的に道路上での弱い立場の利用者については、逆に危険性や事故が起きた時の被害が大きくなっているのです。

KIDICAL MASSKIDICAL MASS

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車体重量だけでなく、SUVはその車体形状からボンネットの位置も高くなります。調査・分析では、ボンネットの高さが平均より10cm高い車に衝突された場合、歩行者や自転車の乗員が死亡する可能性が30%高くなることがわかっています。 SUVは事故の直接被害が大きいのです。

重量が重くなれば、道路へのダメージも大きくなり、舗装費用も上がります。駐車スペースの増加もそうですが、一台一台の差は少しであってもSUVの増加全体では、大きな違いが出てきます。こうした公共の利益が、クルマメーカーの利益のために犠牲にされていることになります。( ↓ 動画参照)



これらは各種の事故の調査や分析から明らかです。クルマによって多くの人命が失われている中で、さらに危険度を上げるのは明らかに時代のニーズに逆行しています。単に流行やクルマメーカーのマーケティングに従ってSUVに乗り換えることが倫理的かということをアピールしているのです。

このような自転車や歩行者の権利を主張する動きがヨーロッパを中心に広がっており、その主張を理解し共感する人は増えています。クルマを使わなくてはならない人でも、歩行者や自転車利用者になることもあるわけですし、クルマばかりを優先するのは変えていくべきだと考える人も増えつつあるのです。( ↓ 動画参照)



ひるがえって日本では、まだまだ道路でのクルマ優先に対する疑問は高まっていません。社会的なデモも少ないですが、自転車の権利を主張するライドイベントは、ほぼ皆無に近いでしょう。日本では歩道走行という特殊な環境もあって、むしろ自転車に対する風当たりは強くなっています。

ルール無視やマナーの悪さは非難されるべきです。安全確認もせずに車道に飛び出したり、傍若無人に信号無視や逆走する人を擁護するつもりは全くありません。そこが自転車の権利などおこがましいと思われる背景でしょう。その点で、日本では、無意識にもまだまだクルマ優先当たり前という考え方が続きそうです。

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同様のライドイベントが日本で起きないのも無理はありません。ただ、世界的には事故で人命が失われていること、環境負荷、渋滞なども含め、クルマ優先への疑問が広がってきています。ほかのことと違って、この分野での日本の遅れが意識されることは少ないですが、知っておくべきことではないでしょうか。





◇ 日々の雑感 ◇

陽気がよくなってきて自転車で出かけるにも絶好の季節ですが、「春に3日の晴れなし」なのがネックでしょうか。

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