May 08, 2025

自転車の取締りで何を防ぐか

img_5b8635d2cf7aab60625729cc63709aa7459483自転車の取締りが変わります。






かねてから報道され、ここでも取り上げてきましたが、道路交通法施行令の改正案が公表されました。来年4月から自転車に反則金制度、いわゆる青キップが導入されます。これについては続報も伝えられています。警察は反則金の導入に際し、パブリックコメントを募集しています。


自転車に反則金が導入、駐車も対象に! 警察庁がパブリックコメント募集中

自転車に反則金2026年4月、道路交通法が大きく改正される。今回の改正では、自転車利用者にも反則金が科されることになる。警察庁は、道路交通法の一部改正に伴い、自転車を含む交通ルールについての意見募集(パブリックコメント)を開始している。

自転車ユーザーや自動車ドライバーに直接関わる内容が含まれており、誰でも意見を提出できる。ここでは自転車と自動車に関わる法改正のポイントを専門家の意見を交えて解説する。

自動車運転者は自転車を追い越すときに安全義務が生じる

今回、反則金の導入が大きく注目される改正だが、自転車を自動車から保護する目的で「側方通過車義務違反」に罰則が新たに設けられる。これは自動車が自転車を追い越す際には、十分な側方間隔の確保が義務化され、違反した場合に罰則が適用される。

側方通過車義務違反

対象行為: おもに自動車運転者が歩行者や自転車などの側方を追い越す際に、安全な間隔を保たずに通過する場合など 反則金:9,000円(大型車)、7,000円(普通車)、6,000円(二輪車)、5,000円(原付車、自転車)

そのいっぽう自転車が自動車に追い越される際、道路の中央付近を走ったままにしてしまうと、改正後は「被側方通過車義務違反」として反則金が科されるようになる。これは「自転車が自動車が追い越されるときに、道路の左側端に寄らねばならない」義務を指し、自転車側にも追い越される際の「譲る義務」が明文化された。

被側方通過車義務違反

対象行為: 車両(自動車等)に追い越される際、安全に側方通過できるよう、道路の左端に寄らなかった場合
反則金: 5,000円(軽車両の場合)

「被側方通過車義務違反」の導入はどんな影響があるのか? 自転車活用推進研究会の小林成基理事長と自転車通勤やレース活動で日常的に自転車に乗る弁護士の湯尻淳也氏に話を聞いた。

追いつかれた自転車は自動車に道を譲らないといけない「被側方通過車義務違反」とは?

自転車活用推進研究会の小林成基理事長コメント

「歩行者の側方を通過する場合の条項に『歩行者”等”』を加えることで『歩行者と自転車』と読ませ、安全な離隔と方法を『クルマ側』に義務づけ、違反の反則金7,000円と2点を新たに規定した改正と対をなすものです。クルマは幅寄せや威嚇してはいけないことになるので、自転車側もふらついたりせず、左側をまっすぐ走れ、ということです。道路の左端が荒れていたり、障害物があって最左端に寄れない場合はなるべく左側を安全確認しつつ走行することになり、その自転車に近づくことはクルマ側の違反ということです」

弁護士の湯尻淳也氏コメント

自転車に反則金「”できる限り”道路の左側に寄ることを規定しており、無理に左側に寄ることを求める趣旨ではもともとありませんが、路肩の整備が必ずしも十分になされていない道路が多数存在する状況も踏まえた運用が望まれます」

今回の改正は、自転車を自動車の幅寄せなどから保護するが主な目的で、取り立てて自転車利用者(特にスポーツバイクユーザー)が不利な取り締まり対象となるわけではなさそうだ。ただし、路上駐車や、自転車通行帯整備など、自転車が安全に通行できるインフラの整備がいま以上に望まれることは間違いない。

自転車・軽車両に新設された反則金 放置自転車にも罰金が課せられる

自転車や軽車両の交通違反に対し新たに反則金が設定される。今回の改正での主な反則金を下記の表に示した。自転車利用者に対して、放置駐車違反や路上駐車が違反の対象になることも見逃してはいけない点だ。

2026年4月1日から予定される軽車両(自転車)に課せられる主な反則金
・自転車道通行義務違反:3,000円
・並進禁止違反:3,000円
・軽車両乗車積載制限違反:3,000円
・軽車両整備不良:5,000円
・自転車制動装置不良:5,000円
・放置駐車違反(駐停車禁止場所等(高齢運転者等専用場所等以外)):12,000円
・被側方通過車義務違反(左側に寄らない行為):5,000円

また、現在、反則金は、「大型車」「普通車又は二輪車」「原付車」の3段階に分かれているが、今回の改正で軽車両(自転車)が「原付車」と同じ金額に設定されている。「明らかに速度が遅く、重量も軽い軽車両(自転車)の反則金は、原付より下になるのが筋ではないか」という自転車ユーザーの意見も聞かれた。ここは専門家の間でも意見が分かれている。

弁護士の湯尻淳也氏コメント

「罰則の重さについては、相手に与える損傷も一考慮要素とはなりますが、一般予防的(一般予防の考え方には諸説ありますが、罰則の存在により一般民衆の行動を自制させ、将来の犯罪の実行を予防するという考え方)な見地も無視することはできないと思います。そして、自転車に関する交通法規については、残念ながらその存在すら知らないとしか思えない様子でルールを無視して自転車に乗っている人が相当程度多数存在します。このような現状からすれば、軽微な罰則では効果が十分に発揮されるのか、疑問の余地があるように思います」

自転車活用推進研究会の小林成基理事長コメント

「放置自転車に青切符を適用することに抵抗を感じます。まともに街角駐輪場も用意せずに違反反則金をとるのは論外です。さらに『まず自動車の路上駐車を無くしてからにすべき』と強く言いたいです」

今回の法改正は罰則規定が主となっており、現状ではインフラ整備、普及啓蒙が足りていないのは明白だ。パブリックコメントで法の運用に関する意見のほか、安全に走行できるインフラの整備と、ルールの普及啓発についてもぜひ指摘したいところだ。

「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集について パブリックコメント応募の方法(以下略 2025年05月02日 Bicycle Club)
パブリックコメントの募集:警察庁


この中で注目されるのは違法駐輪、いわゆる放置自転車にも反則金が設定されるという部分です。自転車活用推進研究会の小林成基理事長も抵抗を感じると発言していますが、これはどうなのでしょう。今でも撤去移送されれば、保管料などの名目で出費を強いられるわけですが、反則金も加わる可能性があります。

自転車に反則金迷惑な放置自転車を良いと言うつもりはありません。1台2台ならともかく、たくさん路上駐輪されれば歩行者の通行の邪魔になりますし、クルマが通れないくらい駐輪されれば、緊急車両が通れない事態も想定されます。1台2台なら移動させるのも簡単ですが、たくさん集まればすぐには移動もさせられないでしょう。

軒先に迷惑駐輪される沿道の商店主なども困るでしょう。さして邪魔になっていなくても、街の美観を損なうという理由で撤去移送するような地区もありますが、実害がある場合、迷惑駐輪という違法行為は許されるものではないとされても文句は言えない部分があります。

ただ、これが適用されると、自転車という乗り物の利点、気軽に移動できて立ち寄りができる、小回りの利くフットワークの良さが大きくスポイルされる可能性があります。どこかの目的地に長時間滞在する場合は駐輪場にとめるとしても、ちょっと店をのぞいたり、立ち寄ったりする場合にいちいち駐輪場とはいかないでしょう。

理事長が発言しているように、クルマの違法駐車が常態化している場所が多いのに、その取締りをさておいて放置自転車の取締りがされるとしたら、釈然としないものがあります。放置自転車というと悪いイメージがありますが、高齢者を含む市民の日常のアシとして必要不可欠な移動手段となっている面もあるはずです。

私は法律の専門家ではないので、よくわかりませんが、反則金制度を導入するのに、施行令や規則を決める上で、一応違反行為を網羅する必要があるのかも知れません。ただ、あまり細かくいろいろな違反を定めても、実際問題として無意味な感じがあるのは事実でしょう。

例えば、同じ並びに、『軽車両整備不良:5,000円』『自転車制動装置不良:5,000円』というのがあります。自転車のブレーキとか、軽車両としての自転車の整備不良を放置して走行してはいけないというルールは理解します。しかし、これで摘発されることは滅多にないのではないでしょうか。

ブレーキが効かない状態で自転車に乗れば、すぐに転倒するなり衝突するなりして走行不能でしょう。今でもチェーンに注油などしない人は多く、ギーギー異音をさせている人も見ます。チェーンがトラブルになれば転倒して事故にもなりかねないので整備不良で問題ですが、いちいち取り締まることは可能でしょうか。

放置自転車も含めて、本当に摘発しようと思ったら膨大な人員が必要になるでしょうし、自転車の台数を考えたら、およそ現実的ではありません。すなわち、道交法で定められた違反行為の一つなので反則金の対象事項として列挙はするものの、実際問題として適用されることはない可能性があります。

どんな法律や施行令などにもあると思いますが、違法行為ではあるので載せざるを得ないが、とてもそれを罰するまでは出来ないという事例です。一部の項目だけを制定すれば、それ以外のものは許されているように見えてしまうので、一応決めておかざるを得ないという事例は、各分野にあるはずです。

自転車に反則金これが、街の美観を損なうとして駐輪している自転車を目の敵にするような自治体に利用されると問題が起きそうですが、実際には摘発されない可能性がありそうです。私の推測ですが、現実問題としても、いちいち青キップを切るのは難しいのではないでしょうか。

私が言いたいのは、放置自転車に青キップを切るなら、その前にまず駐輪場所を確保せよと言うことです。駐輪場だけではありません。路上駐輪が多い場所は、それだけ駐輪のニーズが多い場所でしょうから、そのような場所には駐輪スタンドを設けるべきだと思うのです。

歩道であっても、歩行者の通行部分を確保した上で、駐輪スタンドを設置することは出来るはずです。駐輪スタンドを使って整然と駐輪してもらえば問題は起きないはずです。もし、駐輪スタンドがあるのに利用せず、道端に邪魔になるように駐輪する人がいたら、それは沿道の苦情などの要請を受けてキップを切ればいいでしょう。

要は、自転車を駐輪するなら、歩行者や他の交通の迷惑にならないように駐輪せよという当たり前の話です。欧米の都市には普通に備わっているところもありますが、日本でも駐輪スタンドを設置するなどして、徹底させるのが先でしょう。それでも守らない人はキップを切られても文句は言えないと思います。

実際に放置自転車に対してキップを切るのに、所有者はその場にいないわけですから、警告票などを貼ることになるのでしょうか。撤去移送されても、取りに行かない人が多いことを考えれば、わざわざ警告票を持って出頭するでしょうか。その点でも取締りは難しいような気がします。

当然ながら、現時点で放置自転車の罰則はありますが、検挙はしませんなどと言うはずがないので、どうなるかは来年の4月以降にならないとわかりません。もし強引な適用があれば、世論も喚起されると思います。現時点では、パブリックコメントに意見を書くのが良さそうです。

放置自転車が悪くないなどと言うつもりはありませんが、ちょっと道端に駐輪しただけで反則金の対象というのは、いろいろ問題があると思うので、私は既にパブリックコメントで意見を提出しました。下のリンクから、ネット上のフォームに書き込むだけで提出できます。


「道路交通法施行令の一部を改正する政令案」等に対する意見の募集について


氏名や住所などは任意なので必ずしも記入する必要はありません。簡単ですので、意見のある方は提出してみてはいかがでしょうか。ちなみに、放置自転車に対して、まず駐輪スタンドのインフラを整備すべきだとする私の意見に賛同される方は、必要な箇所をコピー&ペーストして、利用していただいても構いません。


歩道を走る自転車は全員「反則金6000円」?…日本の危険な道路で始まる「青切符取り締まり」への最大の懸念

自転車に反則金逆走、信号無視、「ながらスマホ」とは事故リスクが違う

警察庁は2026年4月から、自転車の交通違反に対して「青切符」を導入する方針だ。反則金の対象として、スマホの「ながら運転」や信号無視など113の違反行為が挙げられている。

自転車評論家の疋田智さんは「事故に直結する危険な違反を重点的に取り締まるメリハリが必要だ」という――。

確かに「危険自転車」は目に余る

4月24日に警察庁から「自転車のルール違反にも青切符を導入し、反則金を徴収する」とのリリースが出された。5月24日までパブリックコメント(意見公募)を実施したうえで、来年4月1日から運用を始める方針だ。

この連載でもたびたび書いていたとおり、私は「導入やむなし」と思う。というより個人的に大賛成だ。自転車のルール違反はこのところ目に余るから。その結果、交通事故の中の自転車事故の率は、このところうなぎ上りとなっている。

今回の警察庁案は113項目の具体例について、反則金の額が提示された。発表当日は、テレビのニュースやワイドショーで流れ、翌朝の新聞にもかなりの大きさで報じられた。

「スマホを見ながら」で1万2000円

自転車に反則金自転車の「青切符」の反則金額は原付バイクをベースとしたとのこと。違反内容に応じて3000円から1万2000円だという。いくつか見ていこう。最高額は、スマホがらみだ。

▼ 携帯電話使用等(保持)1万2000円

じつはスマホながら運転は「事故に結びつくような危険な運転」の場合、赤切符が切られるという。赤切符すなわち刑事処分である。この青切符は「そこまでじゃないが、とにかくスマホ見ながらはダメ」ということらしい。

その他、金額ごとに見ると、こんなところになる。

▼ 信号無視、逆走、歩道走行は、6000円
▼ イヤホン着用運転(必要な音が聞こえない状態で運転する行為)や傘差し運転、一時不停止、車間距離不保持は、5000円
▼ 並んで走る行為や2人乗りは、3000円
……など。

こういうのが113項目ある。私はこれらを見ているうち、次第次第に「あ、ダメだ、これは」と思ってきた。

自転車に反則金

多くの生徒・学生が「違反者」に

テレビ画面の中で多くのキャスターは「これからはこうなります」と、淡々と進行するばかりだった。その後どうなるかがまるでない。このあたり、私は本当に不思議なんだが、普通の想像力を働かせれば、こんなのが有名無実に陥るのはすぐに分かるだろう。

たとえば反則金3000円の「並んで走る行為」。地方の高校生なんかがよくやってて、迷惑といえば迷惑だが(法律でも自転車の並進は違反)、これを全部取り締まるの? と思う。

反則金5000円の「車間距離不保持」などは、高校や大学の自転車部なんて全員違反だ。人気マンガ『弱虫ペダル』の登場人物たちももれなく反則金。ことさらに113項目に挙げることが必要だろうか、これ。

自転車に反則金

歩道を走る自転車を全て取り締まる?

一番の疑問点は、反則金6000円の歩道走行だ。たしかに法律上は「自転車は車道が原則、歩道は例外」ということが決まっている。また歩道はその例外規定においても徐行(時速7.5キロ以下)となっている。

しかしだ。現状は、誰もが知ってるとおり、ほぼすべてのママチャリが歩道を走っているし、徐行なんて誰も守っちゃいない。ということは、全員、青切符の対象なのだ。これをどう取り締まるというのだろう。だいたい取り締まる側の警察官が圧倒的に足りていない。

おそらく来年4月の施行日には新聞テレビ巻き込んで大キャンペーンで「今日から青切符です」「○○交差点では、次々と違反自転車が止められました」なんて、いつものパターンで報じられるだろう。

で、おおよそ2週間騒いだらおしまいだ。その間、歩道走行するママチャリ同士で「反則金6000円も取られちゃったわ」「運が悪かったわねぇ」なんてことが頻発する。

そもそも日本の車道は危険すぎる

そもそも車道に出ようにも、車道の左端は違法駐車だらけで、それを避けて走らねばならない。中には自転車専用レーンを塞ぐようにして駐車している車もあり、危なくて仕方がない。まずは違法駐車の取り締まりが先決だろう。

自転車に反則金さらにいうなら「自転車走行スペース」の整備が欧米他国に較べて貧弱すぎる。ママチャリライダーたちが「恐くて車道が走れない」と感じるのは、今のままでは当たり前なのだ。

それに「運が悪かった」などという取り締まりは、最悪最低の取り締まり方だろう。摘発された人は「今後はこうしよう」「安全のために」と思うだろうか。絶対に思わない。

そもそも今回の青切符は「自転車事故を減らす」のが目的のはずなのに、今回の青切符案は、その目的に合致しているとは思えないのだ。

「絶対ダメなヤツ」から取り締まるべき

自転車に反則金今回の青切符導入に際して一番必要なのは、取り締まりのメリハリである。事故に直結する危険な違反は、厳然としてある。それは「スマホながら」「逆走」「信号無視」「遮断踏切侵入」などだろう。

必要なのは、どうしてもこれだけは摘発しないと事故が減らないという「絶対ダメなヤツ」の選別だ。そういうのを、3つ、4つ指定して、そこを重点的に取り締まることだろう。

歩道走行や、併走、傘差しなどは「しないに越したことはない」が、今はまだいい。だいたい113項目もの違反行為を誰が覚えられるというのか。取り締まる現場の警察官に、傘スタンド「さすべえ」はどうなのか、イヤホンの解釈はどうか、私の前で説明してみろと言いたい。

そしてなにより「違法モペッド」の問題はどうなのか。街中に電ジャラス自転車が蔓延しているのを放置して「歩道走行の取り締まりです」なんてどうかしているとしか思えない。

刃物を持った殺人鬼が街中で徘徊しているのに、立ち小便を取り締まってる警官がどこにいる。私が考える青切符取り締まり重点項目はこの5つだ。

自転車に反則金1 スマホながら運転
2 逆走(右側通行)
3 信号無視
4 遮断機がおりた踏切侵入
5 一時停止の無視

番外 飲酒(これは論外で赤切符)
番外 違法モペッド(これも論外だが、自転車じゃなくオートバイ問題)
(2025/05/02 PRESIDENT Online)


時々取り上げていますが、自転車評論家の疋田智さんの記事が載っていました。彼も113項目もある反則行為に対し、現実的ではない、有名無実だと指摘しています。高校生などがよくやる併進、これを全部取り締まるのかと疑問を呈しています。その点は私も同感です。

この部分についての私の意見は、上で書いたように、施行令として出す都合上、一応網羅しなければならないということではないかと推測します。113項目というだけでなく、自転車利用者の多さを考えても、全部取り締まれっこないのは明らかですし、そうならないでしょう。

絶対に危険なものから取り締まるべきというのは、その通りだと思います。上の記事でも5つほど挙げていますが、このあたりにも異論はありません。113項目も取り締まれないことは明らかですから、取捨選択の問題ですが、当然警察としても、優先順位を考えて、実際にそれに近くなるような気がします。


関係ある? 来年から法定速度が30km/hに大幅引き下げ 生活道路を走る自転車ユーザーにとって注意すべきこととは

生活道路2026年9月から、住宅街などを通る道幅の狭い道路、いわゆる「生活道路」での法定速度が、現在の時速60キロから時速30キロに引き下げられます。安全面が強化されるのはうれしい一方、乗りものとしての自転車に影響はあるのでしょうか?

来年から30km/hに引き下げられる「法定速度」って?

2024年7月、政府は住宅街などを通る道幅の狭い道路、いわゆる「生活道路」での法定速度を、現在の時速60キロから時速30キロまで引き下げる改正道路交通法を閣議決定しました。新たな速度制限は2026年9月からスタートします。

生活道路での最高速度が大幅に引き下げられることで、歩行者や自転車利用者にとっては安全面の強化が期待されます。その一方で、乗りものである自転車を運転する際にも、何か影響はあるのでしょうか。

そもそも、道路における危険の防止や交通の安全と円滑、そして交通に起因する障害の防止を目的とした道路交通法では、大きく分けて2つの最高速度が存在しています。

ひとつは道路標識などで明示されている、いわゆる「制限速度(指定速度)」です。標識や路面に書かれた速度が上限となるので、それ以上の速度で走行してはいけません。もちろん自転車もこの標識に従う必要があり、制限速度が時速20キロの道路では、それ以下で走らなければいけません。

もうひとつは、政令で道路や車両の種類ごとに定められた「法定速度」です。これは速度制限の標識がない道路で適用される上限速度で、現行では一般道を走行する場合、クルマ・バイクは時速60キロ、原付バイクは時速30キロまでと定められています。

2026年9月からスタートする道路交通法の改正では、この「法定速度」が焦点になっています。では自転車に法定速度が定められているのかというと……じつはクルマやバイク、原付バイクと違って、最高速度(法定速度)は定められていません。

生活道路つまり、速度制限の標識がない道路で、自転車は上限なくスピードを出せるということになります。

ただし、「人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」と定められている道路交通法第70条(安全運転の義務)をはじめ、様々な条項に違反することがあれば、取り締まりの対象になります。当然ですが、生活道路を周りの人が不安になるようなスピードで走ることはアウトです。

実際の自転車の速度を見てみると、いわゆるママチャリ(シティサイクル)の平均速度は時速15キロほどと言われており、高速走行に特化したロードバイクの場合、競輪選手やプロのレーサーなら平均時速40キロ、最高時速70キロを出すことも可能かもしれませんが、一般的には平均時速25〜30キロ前後になると言われています。

ということで、ただ普通に自転車に乗る分には生活道路での最高速度の引き下げによる影響は限定的なものでしょう。ただ、近年の電動アシスト自転車(e-BIKE)の進化には目を見張るものがあり、使い方によっては自分が思っている以上のスピードが出てしまう状況も無くはありません。

国内で流通しているe-BIKEには、時速24キロを超えるとアシストしなくなる制限が設定されていますが、下り坂などではアシストが切れていてもスピードが増すことがあるので注意が必要です。e-BIKEの種類によっては、ハンドルまわりのスイッチ(コントロールパネル)に現在の走行速度が表示されるタイプもあるので、実際どれほどの速度で走っているのか、気を付けることができるでしょう。

例としてe-BIKEを挙げてみましたが、自転車はエンジンとなる乗り手の能力と車体性能によっては、かなり速く走ることができる乗りものです。ママチャリでさえ出そうと思えば時速30キロを超えることは可能でしょう。つまり、大事なのは乗り手の意識という事になります。道路はあらゆる人が利用する場所であり、生活道路は特に歩行者やほかの自転車が多い場所です。

自転車はクルマやバイクなど乗りものの中では「弱者」だとしても、歩行者が相手では「強者」になります。法定速度の引き下げをきっかけにあらためて、スピードの出し過ぎには注意しましょう。(2025.05.04 バイクのニュース)


こちらは、青キップの件とは別ですが、政府は住宅街などを通る道幅の狭い道路、いわゆる「生活道路」での法定速度を、現在の時速60キロから時速30キロまで引き下げる改正道路交通法を閣議決定し、2026年9月からスタートするというニュースです。

生活道路道路標識などに表示され、規制される制限速度以外に法定速度としてクルマなどは時速60キロ、原付バイクは時速30キロというのがあります。実は、自転車に対しては法定速度が無いことから、スピードの出しすぎを心配していますが、道幅の狭い生活道路で、いくらロードバイクでも、30キロ以上出す人はいないでしょう。

幹線道路などならともかく、生活道路では、いつ子どもの飛び出しなどがあるかわかりませんし、30キロですら出さないと思います。スピードを出せるかではなく、出したら無謀です。事故になれば自分も困ります。もしいたとしたら法定速度はともかく取り締まるべきなのは明らかです。

自転車が生活道路でスピードを出すかどうかはともかく、生活道路でのクルマの法定速度が引き下げられるのは、歩行者や自転車利用者にとって朗報だと思います。生活道路を猛スピードで走り抜けるクルマがあるのは確かです。それが違法となり、生活道路では30キロとなれば交通安全に寄与します。

ここでも何度か取り上げてきましたが、ヨーロッパなどでは、都市部での制限速度を20マイル(約32キロ)に制限するのが当たり前のようになってきています。住宅街でなく商店街やオフィス地区であったとしても、交通事故を防ぐために有効だとわかっているからです。人命優先という考え方が当然になってきているのです。

生活道路スピードが上がるにつれ、クルマによる事故の被害は比例するのではなく、幾何級数的に上がることもわかっています。時速30キロ程度以下であれば、事故による深刻なダメージを受けるリスクが相当に減ります。クルマの移動の利便性でなく人命を優先すべきだと、ヨーロッパなどでは当たり前になってきているのです。

特に朝のラッシュ時など、渋滞する幹線道路の抜け道として生活道路を疾走するクルマを見る場所があります。急いでいるのでしょうが、不幸な事故が起きかねません。法定速度を下げたからと言って、こうしたドライバーが無くなるわけではないにせよ、交通事故防止に向けた一歩にはなると思います。

スピードを出すクルマは歩行者に加えて自転車利用者に対しても脅威になりますが、歩行者に対しては自転車も脅威になりえます。スピードを出すかは別としても、スマホ見ながらとか一時不停止、歩行者に危害を与えかねない違反はあるわけで、それらは青キップで取り締まるべきでしょう。





◇ 日々の雑感 ◇

メキシコ湾を「アメリカ湾」に変更したトランプ大統領、今度はペルシャ湾の呼称を「アラビア湾」に変更する方針だそうです。命名好きなのでしょうか。東京湾をトランプ湾に改名するのを関税の交渉カードに出来ませんかね(笑)。

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この記事へのコメント
いくつか、関連の報道を見ていて気になる点は、ゾーン30規制の自転車に対する影響などの、ごく一部を除き、自転車に対する規制内容は従来と変わらないのに、新たに規制が始まるように取られるような内容が多いこと。
 小中学校の先生ですら、「自転車は左右どちらでも、走りやすいほうを走れ」と指導するような現在、「なんで今まではOKだったのに」というだけで改善しないことになるのは、火を見るより明らか。
 こんな時こそ、正しい通行方法を解説するのが報道の役割ではと思う。
Posted by ひでさん at May 10, 2025 23:33
ひでさんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

たしかに報道等を見ていても、メディアの自転車の通行の理解度が低く思える場合もあり、あまり期待できません。発表を報道するだけで、正しい通行方法などを解説することには及び腰なのかも知れません。
わざわざ専門家に聞いて解説するほどのニュースではないとの判断もあるのでしょう。
警察が報道発表する時に、もう少しそのあたりに配慮して、正しいルールを同時に広報するような姿勢をとるべきなのかも知れません。
Posted by cycleroad at May 11, 2025 12:03
 
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