交通ルール遵守が定着するか

沖縄から九州南部までが梅雨入りしました。
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九州南部の梅雨入りは沖縄や奄美より先で、昨年より23日も早いというので話題になりましたが、今後は徐々に各地が梅雨入りしていく、サイクリストには憂鬱な季節になります。さて、そんな時期ですが、今回は最近の自転車関連のニュースの中から目についたものをピックアップしてみたいと思います。
自転車飛び出し急ブレーキで衝突回避…原因は落としたスマホ 暗がりの対向車線から巨大なタイヤ転がり“危機一髪”…大型トラックから2本外れる
東京・品川区で撮影された、ヒヤッとする危険な瞬間。前を走る自転車が突然、車道に飛び出してきたのです。撮影者は「『やばい!』と思って、急ブレーキを踏んで怖かった」と話しました。自転車との衝突はギリギリ回避。後ろを走っていたタクシーに追突されてもおかしくない状況でした。
撮影者によると、自転車に乗っていたのは20歳くらいの女性。飛び出した理由は、スマホの落とし物だったとみられます。撮影者は「スマホのながら運転が少しずつ増えているので、事故が発生しないようにルールを守ってほしい」と話しています。(以下略 2025年5月20 FNN)
スマホを使いながら自転車に乗れば、手が滑って落とすこともあるでしょう。とっさにキャッチしようとして、周囲の交通など目に入らなくなる可能性もあります。スマホを見ながらの走行も危険ですが、このような予期せぬ挙動を引き起こす危険もあるという事例と言えるでしょう。
「モペット」を免許不要の電動アシスト自転車と偽表記し販売か 自動車部品販売会社の社長逮捕
免許が必要な「モペット」といわれるペダル付き電動バイクを、電動アシスト自転車と偽り販売した疑いで、会社社長の男が逮捕されました。
自動車部品の販売会社「オフィスケイ」の社長・名取正紀容疑者は、会社のホームページで免許が必要なペダル付き電動バイク「モペット」を、免許がいらない電動アシスト自転車と偽って表記し、販売した疑いが持たれています。
警察によりますと、2025年2月に家宅捜索が行われたあとも、同じように偽って販売を続けていたということです。名取容疑者は調べに対し、「電動アシスト自転車だと思っていた」と容疑を否認しています。(2025年5月20日 FNN)
ここのところ、モペットで危険走行して検挙されるというニュースが増えていますが、個々の違反者を漏れなく検挙するのは大変です。違法な販売者を取り締まるべきだと書いてきましたが、悪質な販売者が逮捕されたようです。電動アシストだと偽り、危険な違法者を増やしている業者の更なる摘発を期待します。
「自転車だと思っていた」が無免許運転で逮捕 “改造自転車”は自転車かバイクか? 電動バイクの新たな課題
JR上野駅前の繁華街で外国人が無免許運転で逮捕されました。警察官から乗っていた自転車が電動化されていたことを問われたものです。
従来のペダル付バイク、いわゆるモペットとは違った車両で、運転者の責任が問われた事件となりました。
改造車を運転する責任が問われた事件
警視庁上野警察署は2025年5月18日、ウズベキスタン共和国国籍の無職33歳男を、道路交通法違反(無免許運転の禁止)で逮捕しました。“自転車のような電動バイク”の無免許運転ですが、これまでと異なる問題が浮彫りになっています。
男は同年5月8日午前8時35分頃、東京都台東区上野4丁目付近の道路を走行中に警察官からの職務質問を受けたことがきっかけで、自転車が電動化されていることを指摘されました。現場は交通量の多いJR上野駅前の繁華街です。
今回の逮捕は、本来運転免許が必要な電動車を、免許不要のアシスト自転車や特定小型原付と思い込んで運転したケースとは異なる事件でした。男が乗っていたのは、もともとは人力の自転車として製造された車両です。
それだけで無免許運転に問われることはありませんが、今回は自転車に電動モーターを後付けで搭載することで、ペダルをこがなくても前進させることができる「改造車」であることが問題でした。こうした後付け装置は「電動自転車モーターキット」「自転車電動ブースター」として大手通販サイトで販売されています。
電動車は免許不要の新しい乗りものとしての支持が拡大しています。その一方で、原付バイクの法定速度30km/hを超える走行性能を有する車両でも、免許の必要性が明確にされないまま販売されてきました。そうした車両が関係する人身事故が社会問題化することで、販売時の問題点が指摘され、完成車では状況が改善しつつあります。
しかし、人力自転車を電動化する後付け装置は、踏力をモーターの駆動力に置き変える方式や、踏力とは別に、タイヤへ回転を伝えることでアシスト力を付けるさまざま方式で売られています。
これらは自転車を電動化するという点に着目すると、電動自転車や電動アシスト自転車と呼ぶこともできます。後付け時のアシスト比率は明確ではなく、もともと改造自転車のため方向指示器や前照灯も整っていません。
販売サイトで免許の要否が明示されていなくても、運転者が最高速度を予測して免許などの適切な対応を織り込んでおく必要があります。
逮捕時の車両について男は「後付け装置は自分で購入したものではなく、譲り受けた車両に取り付けられていた」と説明し、「自転車だと思った」という内容の供述をしています。担当した上野警察署は無免許運転の容疑について「一般原付自転車以上の二輪車を運転したもの」と、公表しています。今後の捜査の進展によっては原付の無免許では終わらない可能性もあります。
電動化した改造自転車を公道走行させることは、全面的に運転者が責任を負うことになる現状。新しい乗りものの利用と販売に一石を投じる摘発です。(2025.05.21 乗りものニュース)
こちらは、一見よくあるモペットの違反かと思えばそうではなく、普通の自転車を電動に改造するキットが出回っており、それによる違反走行の摘発です。また新たな違法改造自転車という手口が明らかになった形です。いたちごっこの面もありそうですが、これも厳重に取り締まっていってほしいものです。
自転車にまたがって嘔吐していた会社員の女(38)を“飲酒運転”で逮捕 当初否認も追及され「居酒屋でビールを飲んだ」と認める 福岡市中央区「ロケット公園通り」
21日夜、福岡市中央区の市道で、酒を飲んで自転車を運転したとして、38歳の会社員の女が逮捕されました。
福岡県警中央警察署によりますと、21日午後10時半ごろ、福岡市中央区小笹の通称「ロケット公園通り」で、自転車にまたがったまま嘔吐している女を、パトカーで警ら中の警察官が発見し、救護しようと声をかけました。
その直後、その場から女が自転車で逃走したため、停止させた上で呼気を調べたところ、基準値の4倍近いアルコールが検出されたため、酒気帯び運転の現行犯で逮捕しました。逮捕されたのは、近くに住む会社員の女(38)です。
女は逮捕時、「酒を1杯しか飲んでいない」と容疑を否認していましたが、その後、警察が追及したところ、「居酒屋でビールを飲んだ」「自転車で帰宅する途中だった」などと話し、認めたということです。警察で、飲酒の量などを調べています。(2025/05/22 福岡TNC)
自転車の酒気帯びの検挙も後を絶ちません。こちらの会社員の女性、自転車にまたがったまま嘔吐すれば飲酒運転をしていましたと言わんばかりの行為です。降りて吐いていればよかったという話ではありませんが、吐くほど飲んでも自転車に乗ろうとしてしまうわけで、誰でも飲めば違反しかねないことに留意すべきでしょう。
【自転車】取材中に“1人も”一時停止せず…知っている?来春から始まる「青切符」 自分の身を守るためにルールを守ろう
自転車の「ながらスマホ」で反則金1万2000円 「青切符」導入で安全意識は高まるか 県民の意見と自転車運転の現状を調査
チャリで「信号ムシ6000円」の反則金も!? 「イヤホン5000円」案も浮上… 何歳から? 即時青キップ? 来春から自転車違反の取締り強化へ
相変わらず、自転車の青キップ、反則金制度が来年から始まることについての記事が多くなっています。これらはごく一部に過ぎませんが、各地、各方面で関心が高まっていることを反映しているのでしょう。取材中に“1人も”一時停止せずとありますが、現状で違反者が多いのは間違いなく、開始時の混乱も懸念されます。
来年から自転車も対象になる「青切符」って、そもそも何? そのおかげで「前科」にならない!?
警察庁は自転車による交通違反に対して、2026年度から反則金納付の対象となる、いわゆる「青切符」を導入することを発表しました。
とはいえ、いきなり青切符と言われても知らない人には何のことやら。あらためて青切符について確認しておきましょう。
自転車に関わる赤・青・黄の違反切符
2026年4月1日から「自転車運転による交通違反への青切符導入」が実施される方針であることが警察庁より発表されました。これまで自転車の違反については「指導警告(イエローカード)」と「赤切符」が適用となっていましたが、そこに「青切符」が追加されることになります。
とはいえ、いきなり「青切符」と言われても、免許を持っていない人にとっては果たしてどんな意味を持つものなのか、意外と知られていないかもしれません。あらためて「指導警告」や「赤切符」、そして「青切符」について確認しておきましょう。
まず大前提として、この3つの書類等についてはいずれも交通違反を犯した際に警察から交付されるもので、裏を返せば交通ルールを守っていれば、いずれもお目にかかることはないでしょう。
ただ、これまで当たり前のように自転車で行っていた行為が、知らないうちに違反の対象になるという可能性もあります。いざというときのために知っておいて損はないでしょう。
ざっくりした説明ですが、交通ルールに対する違反の重大性によって使われる種類が変わり、「指導警告」<「青切符」<「赤切符」の順に重くなると思っていて問題ないでしょう。
「指導警告」はイエローカードとも呼ばれ、ルール違反を見咎めた警察官からその場で注意を受けるとともに、場合によっては氏名や住所、電話番号などを控えられ、違反の日時や場所、違反内容などが記載された「自転車指導警告票」を渡されます。あくまで厳重注意という意味合いで、罰則は伴いません。
来年度から自転車に適応される「青切符」は、正式名称を「交通反則告知書」と言い、比較的軽い交通違反に交付されます。
そもそも、交通違反を犯してしまった場合はその事実を明らかにしたり、裁判を通じて最終的に刑罰を決めるための、いわゆる「刑事手続き」が必要になります。
ただ、すべての交通違反で手続きを行うと、裁判所や警察、そしてドライバーにとって大きな負担となるので、軽微な交通違反については手続きを簡略化して、期限内に反則金を納めれば裁判を受ける必要がなく、刑事罰も課されない(前科がつかない)という「交通反則通告制度(反則金制度)」が生まれました。
そこで使われている用紙が青いため、通称「青切符」と呼ばれています。自転車においては、信号無視、一時不停止、ながら運転、2人乗りなど、113もの違反行為が青切符による取り締まりの対象となっています。
対象年齢は16歳以上で、もし青切符を受け取ったら交付から8日以内に、提示された反則金を銀行や郵便局で納めなければいけません。支払わなかった場合は「刑事手続き」に変更されることになり、検察官が起訴すれば裁判になり、違法行為があったと裁判官が判断すると刑事罰が科されることになります。
そして「赤切符」は、正式名称を「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式(交通切符)」と言い、赤い用紙が使われます。悪質な交通違反や危険運転などが認められた際に交付され、反則金ではなく罰金が科されます。青切符とは異なり、刑事上の処分も科せられ、刑事裁判(略式裁判)による罰金刑は犯罪歴となり、いわゆる前科扱いになります。
自転車においても酒酔い運転や妨害行為などの24種類の危険な違反は赤切符の対象となります。青切符では16歳未満は対象外でしたが、赤切符は14歳以上が対象です。
自転車が青切符の対象になることについて、指導警告と赤切符の中間を設けることで取り締まりしやすくなり、自転車ユーザーの肩身が狭くなるという見方もできるかもしれませんが、その背景には、交通事故全体は年々減少傾向にあるのに自転車が関連する事故が一向に減らないという実情を忘れてはいけません。
そして自転車が関連する事故の原因の多くが、自転車ユーザーのルール違反に起因しているということも見過ごせない点です。交通ルールをしっかり理解・順守して、赤・青・黄色の用紙を見ることがないサイクルライフを心がけたいものです。(2025.05.23 バイクのニュース)
私も青キップと普通に書いていましたが、言われてみればクルマの免許を持っていない人には縁遠い制度なのはその通りでしょう。さすがに耳にはしていると思いますが、理解しているとは限らないわけです。制度の開始に際しては、そもそもの反則金制度についての周知、説明も必要になってくるのも確かでしょう。
自転車傘さし運転は反則金5,000円へ では固定の傘スタンドは?【TBSアーカイブ秘録】
来年(2026年)4月から自転車の違反にも青切符が適用されます。傘差し運転は反則金5,000円。では片手運転ではなく傘をハンドルに取り付けた場合はどうでしょう?(アーカイブマネジメント部 疋田 智)
自転車にも青切符
先月(2025年4月)警察庁から「自転車青切符」について、113の具体例と、それぞれの反則金が発表されました。昨今の自転車の事故の多さに警察もやっと重い腰を上げたという格好ですが、113の違反項目の中に「傘差し運転」というのがあります。
反則金5,000円(警察庁案)ということですが、片手運転の傘さしは非常に危ない。しかし、これをハンドルに取り付けた場合はどうでしょう。これも「傘差し運転」に入るのでしょうか。
なにわのオバちゃんの必需品
自転車の「傘スタンド」が最も普及しているのはおそらく大阪です。いわゆる「なにわのオバちゃん」たちにとって、傘スタンドは夏は日傘に、雨の日は雨傘に、と大活躍です。
しかし、法律上のククリはどのようなものでしょう。これ、警察に聞いてみると、次のような返事が返ってきます。「片手運転で傘をさすのでなければ、規制の対象外、すなわち合法ですが、他の規制の対象になる可能性があります」
これ「他の規制の対象」の部分が深いのです。調べてみると、傘スタンドは少々アクロバティックな形でグレーだということが分かってきます。
「普通自転車」というカテゴリー
傘スタンドのことを語るには、まず「普通自転車」というカテゴリーのことを知る必要があります。車両の区分には、図の通り、軽車両というものがあり、その軽車両の中に「自転車」と「普通自転車」が存在します。その普通自転車の区分には、ママチャリから、ロードバイク、MTB、折りたたみ自転車など、さまざまな「普通の自転車」が含まれるのですが、その普通自転車のレギュレーションはこうです。
注目ポイントはここ。「普通自転車は鋭利な突出部がなく幅60cm以内でなくてはならない」。これが傘スタンドに大いに関わってくるのです。
傘スタンドで傘をさすと「普通自転車」ではなくなる
「鋭利な突出部」については議論の余地が残るところですが、傘スタンドを付けた自転車は傘をさすとあきらかに60cmのレギュレーションを超えてしまいます。すると、傘をさしたスタンド付きの自転車は「普通自転車」ではなくなってしまうのです。「普通自転車」ではなく、ただの「自転車」。
こうなると何が違うか、一切の歩道通行ができなくなるのです。
歩道通行が一切できなくなる
「自転車は車道が原則、歩道は例外」というのは、自転車安全五則でも、最初に示されているとおりですが、この「例外」とされるのが、【1】自歩道標識がある場合、【2】お年寄り(70歳以上)と子供(13歳未満)、【3】道路工事など車道が著しく危険である場合、の3つです。しかし、いずれであっても「普通自転車」でなくては、歩道通行は許されないのです。
傘スタンド歩道通行摘発などより前にやることが
傘スタンドをつけるママチャリはほぼ100%歩道を通ります。しかし、それが一切許されなくなる。それが傘スタンドの法律上の立ち位置です。車道を通ればいいのですが、そうするオバちゃんは少ないと思われます。しかし、どうでしょう。傘スタンドで傘をさすというのは、片手放しでの傘差し運転よりははるかにマシ、はるかに安全です。それより何より取り締まるべきは別にあるのではないでしょうか。
まずは片手放しの傘さし運転を取り締まるというのもあるでしょう。しかし、それ以上に、信号無視や、逆走、スマホながら運転。そして、いま首都圏近畿圏で大流行の違法電動モペッド。こういう本気で事故につながる違法自転車を、まず取り締まることが先決ではないでしょうか。(2025年5月19日 TBS)
反則金制度の開始に伴い、現在普及している傘の固定装置が問題になる可能性は十分考えられます。なぜか特に大阪で利用者が多いことが知られています。手に持つと反則金、装置で固定すれば免れるものの、そのまま歩道走行すれば違法になるということですが、これを知らない人は多いはずで、周知が求められそうです。
自転車の「青切符」は成功する?それともまた?【TBSアーカイブ秘録】
来年4月から自転車の青切符制度がスタートします。ですが、考えてみれば、これまでも「自転車の取り締まり強化」みたいなことは繰り返されてきましたよね。今回もまた同じ?それとも?自転車博士(Ph.D.環境情報学)でもある疋田記者が解説します。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)
自転車にも青切符
先月(2025年4月)警察庁から「自転車青切符」について、113の具体例と、それぞれの反則金が発表されました。昨今の自転車の事故の多さに警察もやっと重い腰を上げたという格好ですが、考えてみれば、こうした「取り締まり強化」って以前から何度も何度も思い出したように繰り返してきましたよね。
その度に「取締り」の映像がニュースで流れ、あるときは「ブレーキなしピスト」がターゲットだったりしましたし、「自転車安全五則を守ろう」なんてキャンペーンだったりもしました。
でも「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、流行りが終われば元の木阿弥、と、そう思いませんでしたか? 今回もそれと同じなんでしょうか。
無法自転車には「はじまり」がある
自転車のマナーの悪さは、じつは1970(昭和45)年の道交法改正時にまで遡ります。このときに条件付きながら「自転車の歩道通行」が認められました。歩道上は左右の規定がありません。そして、自転車は、左右デタラメ、車道も歩道もOKと、「ヘンな自由」を得てしまったのです。
そこから自転車は徐々にルールやマナーを守らない存在となり、あまりに目にあまると「取り締まり強化」「厳罰化」が言われるようになったのです。
教育の方向がとんちんかん
学校教育でも、自転車の教育をしようとしました。しかし、教える内容は「横断歩道は自転車をおりて」「右折左折などのハンドサインを出しましょう」みたいな大人もやっていないことばかり。
熱心な学校は「8の字走行をする」「ジグザグ運転をする」みたいな練習もします。これらの技量を競う全国大会があるからです。
熱心なのはけっこうですが、こういう曲芸みたいな技量が、はたして交通安全や事故減少に効くかどうか。ちょっと疑問です。
今回ばかりはちょっと違う?
なかなかうまくいかなかった自転車ルールの徹底。そこには自転車ならではの事情がありました。それは従来の取締りは「赤切符か見逃しか」のふたつしかなかったからです。つまり、自転車の取締りは、赤切符を切られて(その後起訴されて)前科がつくか、無罪放免のどちらか、極端な対応しかできなかったのです。
ところが今回は違います。昨年(2024年)3月の閣議決定を受けて、クルマと同じような行政処分、つまり青切符を切ることが可能になったのです。青切符の反則金なら、手続きが簡単です。
113項目は多すぎる?
では青切符が切られる具体的な違反例はどんなものなのでしょうか。先月の警察庁発表(案)では113項目。スマホながら運転(反則金1万2,000円)から始まり、歩道走行(同6,000円)、傘差し運転(同5,000円)などが含まれます。
しかし、中には泥はね運転(同5,000円)、警音器(ベル)使用制限違反(同3,000円)など、少々「?」なものもあり、これ全部守れる? 覚えること自体が大変、という側面があるといえるでしょう。
優先順位を決めないとなおらない
現状を鑑みると、たとえば「自転車の歩道通行」を取り締まろうとしても無理でしょう。ハンドサイン(合図不履行)もかなり無理です。誰も守ってないし、そもそも取り締まるだけの警察官が足りません。ここは113項目などと言わず、事故に直結する数項目を重点例とするべきではないでしょうか。
よくいわれるように「スマホながら運転」などは最悪です。それ以外に、厳しく取り締まるべきは「事故に直結するもの」。たとえば「逆走」「信号無視」「遮断踏切侵入」あたりでいいのではないでしょうか。それ以外は、また次の機会に、と。でないと、またいつものようにグダグダになってしまいます。
そうそう飲酒運転は?飲酒は最悪最低で青切符どころか赤切符です。(2025年5月21日 TBS)
こちらもニュースではありませんが、自転車の取締りの歴史が載っていたので引用しておきます。私も何度か書いていますが、自転車は本来車道走行だったと知らない人は多いはずです。今般の青キップ導入で自転車の取締りに画期的な変化をもたらし、通行に秩序が確立するのか注目されるところです。
外国人にも自転車の交通ルール周知へ 「ライドルールプレート」贈呈
自転車の安全な乗り方について外国人にも学んでもらおうと、オンラインで学習できるQRコードが記載されたプレートが神戸市内のレンタサイクルに取り付けられました。
贈呈式では、県警が制作した「ライドルールプレート」が、神戸市内でレンタルできる電動アシスト自転車「コベリン」に取り付けられました。県警は、自転車の安全な利用方法を動画やテストで学んでもらう通称「チャリプロ」を県内の小学生から高校生を対象に実施しています。
この取り組みの一環で、神戸を訪れる国内外の人にも安全な乗り方を確認してもらおうと、レンタサイクルの前かごに「ライドルールプレート」を設置。日本語、英語、中国語、ベトナム語に対応した4つのQRコードが記載されています。
贈呈式の後には交通安全教室も開かれ参加したおよそ120人の留学生たちが実際にQRコードを読み込み、それぞれの言語で注意点を学びました。ライドルールプレートは、神戸市内の「コベリン」およそ250台に順次取り付けられるということです。(2025.05.19 サンテレビ)
ローカルの地味なニュースですが、在留外国人は自転車のルールを学ぶ場も乏しいですし、日本語が出来なければ、ほぼ何も知らずに乗っている人も多いに違いありません。レンタサイクルの貸し出し時だけでなく、在留外国人に対する交通ルールの周知は全国的に必要な取り組みなのではないでしょうか。
◇ 日々の雑感 ◇
平年並みだと来月上旬には続々と梅雨入りすると思われますので、今週末あたりは貴重な機会かも知れません。

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Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(3)
cycleroadさん,こんにちは.
自転車の違反に所謂青キップ,この実効性については私も非常に疑問に思っております.自転車の台数は膨大な上に警察官の数は限られていますから,1台の違反自転車に関わっている間に後から違反だらけの自転車がドッと押し寄せたら公平,公正な取締り,摘発が可能なのかという点が先ず第一です.
ここ数年,警察庁等は自転車に専用ヘルメットや自転車保険の義務付け徹底に躍起になっていますが,事故を防ぐための本質的な対策,特に車道の左端に近い左側走行を基本とする自転車の交通ルールの正常化に注力すべきです.
自転車の歩道通行を前提にした無駄に広過ぎる歩道は半分削って車道の一部に転換し,そこを自転車専用レーンに充てれば簡単な筈の主要一般道路は私の見る限りでもかなりの巨利になります.
巨利=距離の誤変換でした.お詫びし訂正します.
かの自転車ツーキニスト氏の言う❝違法電ジャラス自転車❞の事故,民事責任は保険でも救いが無く,被害者にも加害者にも絶望的なようですね.私は元からあのようなシロモノには興味も関心も持ち得ません.
一方,過去38年間続いてきた京都府は美山地区における自転車ロードレースも来たる 5月31日, 6月 1日の大会を以て終止符が打たれるとの事.2年前に死亡事故のあったツール・ド・北海道も再開の見通しは立たないままで,大変残念に思っております.
自転車が1つのスポーツとして多くの子ども等に夢や希望や目標を与えられる存在にできることが,私の願いです.
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
青キップによる取締り開始時には多かれ少なかれ混乱が生じるだろうとは思います。物理的に全てを検挙できないのはその通りでしょうし、公平さが失われる懸念もあります。
ただ、それは現行のクルマの青キップでも似たようなものなわけですし、ある程度は許容するしかないのでしょう。
すでに発表され、これだけ関心が高まっている以上、警察も威信をかけて取り組むと思われます。徐々に浸透していくのではないでしょうか。
私も何度か書いていますが、警察はヘルメット着用をゴリ押しするのではなく、もっとほかにやるべきことがあるという点については、同感ですね。
自転車レーンの整備や交通ルール・秩序の正常化、違法電動自転車の摘発などもおっしゃる通りだと思います。
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