June 22, 2025

ニッチな部分に展開する戦略

前回は自転車用のアプリを取り上げました。


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すでにサイクリスト向けには、さまざまなアプリが開発され利用されています。ひと口にサイクリスト向けアプリと言っても、目的や利用シーンなどによっていろいろあります。サイクリスト同士のコミュニケーション用とか、ナビゲーション用、記録や競争用、走った距離に応じて特典が与えられるものなど、多くの種類があります。

カテゴリーが違えば、共存やすみ分けの出来ているものもあります。一方、同じカテゴリーの中では競合するものも多いわけで、一般的には先行しているものが有利になります。いわゆる先行者利益です。そんな中でも工夫をこらして、先行者を凌駕すべく新しいアプリが続々と投入されています。

Bike StreetsBike Streets

先行すれば、そのぶん多くのユーザーを獲得できます。いったんユーザーを獲得してしまえば有利なのは明らかでしょう。新しいアプリに乗り換えるのは面倒だったりするでしょうし、仲間と違うものを使うのでは意味がないなど、いわゆるネットワーク効果が働き、他の選択肢はとりにくくなったりします。

先行してユーザーを獲得したアプリは知名度もアップしてシェアを伸ばしやすく、ブランドとして認知度も向上するでしょう。より多くのデータを蓄積していたり、技術的な面や資金調達などの点でも有利になることが多いとされています。アプリは基本的な部分は無料のものが多く、なかなか差別化は容易ではないでしょう。

Bike StreetsBike Streets

ですから一般的には、同じカテゴリであれば、後発が不利なのは否めません。そこで新たな価値をつけたり、違う側面での優位性を打ち出すなど、使ってもらうために工夫をこらすことになります。一方、同じカテゴリーでシェア争いをするのではなく、ニッチな分野を目指すという戦略もあります。

例えば、“Bike Streets”は、サイクリストに移動を促したり、道案内を提供するアプリですが、ニッチな部分を狙っています。このアプリ、アメリカ・コロラド州のデンバー在住のサイクリストにターゲット絞っているのです。似たようなアプリに対して、デンバーで使うぶんには圧倒的に有利になるようにしています。

Bike StreetsBike Streets

デンバーの人が自転車で移動する際、混雑した道路を回避したり、目的地まで早く到達したりというニーズは当然あるでしょう。加えて、“Bike Streets”は、地元の事業所や公的施設、ショップなどと連携することで、さまざまな特典をユーザーに提供します。

同じ目的、例えばカフェに行くのでも、他のアプリでも道順は出ますが、“Bike Streets”を使っていれば、無料でペストリーがもらえたり、10ドルのギフトカードがもらえたり、何かのアイテムが20%オフになったりするのです。地元のサイクリストなら、こちらを選ばねば損ということになるはずです。



道路のナビゲーションもしますが、元々このアプリの創業者はデンバー在住のサイクリストで、地元の道にとても詳しいのです。ですから、地元の人が走りやすい道路、よりストレスの少ない道路など、単なる機械的なナビでは案内できないような道路を案内できます。これも大きなアドバンテージでしょう。

人々がこのアプリを使って自転車に乗ることでクルマの利用を減らせば地球環境や本人の健康面でメリットがあることを意識していますし、地元の商業施設やビジネスの発展にも貢献します。そして行政に対しては、自転車インフラの充実を訴え、住民の安全の向上を願うという地元密着のアプリなのです。



デンバーでは圧倒的に便利ですが、いろいろな街で自転車に乗る人にとっては不便になります。しかし、普通は地元の街で使えれば十分です。あえてデンバーだけに特化し、ニッチな部分での便利さや優位性を追求し、地元のためのアプリとして理念を掲げています。これは一つのやり方だと思います。

Papaya”というアプリは、一般のサイクリスト向けではありません。シェアサイクルや、最近増えている電動キックボードなどの、e-mobility、ラストワンマイルの物流を請け負う事業者などのフリートオペレーター、整備士などの従業員用のアプリです。

PapayaPapaya

いわば業務用のモビリティ用アプリですが、こういったサービスを展開する事業者が同様の業務アプリを用意しようとすると、意外に開発コストがかかります。こうした事業者にとって、現場の作業員が有効に移動したり作業したりすることが業績に直結するわけですが、さまざまな問題がありました。

PapayaPapaya

そこで、この“Papaya”を採用すれば、業務の効率が上がったり、通信環境が改善されたり、管理コストが削減するなど多くのメリットが得られるのです。導入した事業者や従業員にも非常に好評だと言います。こちらも、ある意味ニッチな市場に特化することで、車両管理のプラットフォームとなることを目指しているのです。

PapayaPapaya

MagicLane”も一般のサイクリスト向けアプリではありません。いわばサイクリスト向けアプリを開発する事業者向けのシステムアプリです。サイクリスト向けアプリは、当然位置情報を使ったり、マッピング、ナビゲーションなどの機能が必要になります。

Magic LaneMagic Lane

こうしたベースとなる機能から開発するのでは時間もコストもかかります。必ずしも信頼性の高いシステムが構築できるとは限りません。そこで、モビリティ用に必要なテクノロジーを網羅し、より簡単に構築できるようにした開発者向けのポータルなのです。

Magic LaneMagic Lane

サイクリスト向けアプリをつくるのではなく、それを提供したいと考えている人に必要な、モビリティ用アプリの機能を提供しようと考えたわけです。これも、見方を変えればニッチなニーズに目をつけたわけで、一つの戦略と言えるでしょう。

Magic LaneMagic Lane

ハード製品としての自転車用品もそうですが、自転車用アプリの世界でも競争は激化しています。ハードと比べれば生産施設などが不要で有利ですが、気軽に参入できるといった分野ではなくなっています。それでも、いろいろな戦略をとることによって、今後も新しい自転車用アプリが登場してくることになりそうです。





◇ 日々の雑感 ◇

トランプ大統領が米軍によるイランの3核施設への爆撃を発表、イランの米軍基地への報復はあるのでしょうか。

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