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今月4日にアメリカ・テキサス州ヒルカントリーを襲った洪水もそうです。かなりの降水量を観測、警戒されていましたが、河川の洪水に加えて高潮の影響や鉄砲水が起きたことで、川の水位がたった45分で8メートルも上昇するという惨事となり、少なくとも135人が亡くなる米国史上でも有数の洪水被害となりました。
この中には、グアダルーペ川沿いやその付近で100年近く運営されているキリスト教系の女子生徒向けサマーキャンプの27人が含まれています。警報も発せられましたが夜中であり、あまりに水位の上昇が速かったため、キャンプをしていた生徒たちは逃げきれなかったようです。
一方で、駆けつけた地元の消防や警察に加え、沿岸警備隊や国土安全保障省のスタッフなどにより、数百人単位の人々が救助されました。その後も全米各州に加えてメキシコからも、多くの救助チームや州兵が現地に入り、たくさんの人の救助に尽力しました。
翌週にはトランプ大統領も現地を視察し、今まで見たことのないような壊滅的な大惨事と述べ、同時に州や連邦政府の対応について、「素晴らしい仕事をした」と賞賛しました。このような悪夢が二度と起こらないよう、歴史的な措置を講じるとも表明しています。( ↓ 動画参照)
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州や連邦政府の救助隊、FEMAなどのスタッフだけでなく、多くの民間人のボランティアが駆けつけ、被災者の支援などにあたりました。ボランティアのコーディネートにあたったスタッフの元には、初日から多くの志願のメッセージが届き、翌々日には1000人を超える人たちから申し出があったと言います。
特に被害のひどかったカー郡では、多くの人が被災者の捜索や支援、物資の運搬などにあたりました。リアンダーのビッグ・サンディ・クリーク地区では、各地から集まった1000人以上のボランティアが、取り残された人々のため物資の入手などを支援しました。
この地区では、川の氾濫でコミュニティに通じる唯一の橋が破壊されてしまいました。水没しなかったクルマもありましたが、橋が崩壊したため、この地区へ隣接地域からの支援物資を運ぶためには使えなかったのです。徒歩で渡るしかなくなり、地区が孤立してしまった形です。
そこに、一人のボランティアが現れました。Evan Wayne さんです。彼は電動アシスト付きのマウンテンバイクで駆け付け、そのMTBにトレーラーを連結して川を渡り、物資を届けたのです。最初の2日間で彼は毎日100往復以上し、合計60マイル(約97キロ)以上を自転車で走りました。( ↓ 動画参照)
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チェーンソーなどの捜索・復旧のための道具から、水や食料、医薬品、そのほかの生活必需品まで、片っ端からトレーラーに積み、被災者や支援スタッフに届けました。つい前日までは彼のペットの犬用のトレーラーでした。金ノコで屋根を切り落とし、バンジーコードで荷物を支えるようにしたのです。( ↓ 動画参照)
クルマが使えない中、川を超えて物資を運んだ、Evan Wayne さんのおかげで多くの人が助けられたのは間違いありません。地区の人は、彼のことを“Bicycle hero”と呼びました。 橋が失われ孤立する集落のため、まさに英雄的な働きをしたのは誰もが認めるところです。
物資だけでなく、情報のやり取りも手伝いました。携帯電話の基地局がダウンするなどで使えないこともあったからです。孤立した地区において、川を超えて何度も往復できる能力があったのは、当初彼だけだったのです。このことも大きな力になりました。
ちなみに、電動アシストのマウンテンバイクの充電のため、ソーラーパネルも所有していました。趣味の自転車とペット用のトレーラーなど、道具がバッチリとはまった形です。その後、彼の働きが評判となり、電動アシスト自転車の災害時の有用性にも注目が集まりました。( ↓ 動画参照)
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日本でも、東日本大震災の発生後、被災地で自転車が重宝されたことが報じられました。瓦礫が散乱した道路ではクルマやトラックが使えない場所が多かったからです。積載能力は高くないものの、物資の運搬、スタッフの行き来、情報の伝達など多方面で威力を発揮しました。
震災後は、災害用の備蓄物資として自転車を加える自治体が増えました。クルマが使えないことが多い災害時には、自転車の機動力が大いに役立つことが震災で証明されたからです。あまり大きくは報道されませんでしたが、日本各地の自治体が採用しました。
ただ、私はその報道に注意していましたが、備蓄する自転車のほとんどはシティサイクル、ママチャリでした。日本で自転車と言えばママチャリだと思っている人が圧倒的多数ですから、仕方ない面はあります。あとは、倉庫でのスペース効率を考えて折りたたみ自転車にしたところもありました。
なかには、ママチャリのタイヤをウレタン注入によるパンクレスタイヤにしたところがあったくらいでしょうか。もちろん、瓦礫の散乱する舗装道路なら、シティサイクルでも用は足りるかも知れませんが、橋の落ちた川の河原を渡ったり、土砂崩れの泥の上を超えるといったケースを考えた時、ママチャリでは心もとない気がします。
やはりMTBがベターなのは間違いないでしょう。最近は電動アシスト付きも増えているので、それも視野に入ります。今回の事例では、トレーラーも活躍しました。自治体の災害対策にケチをつけるつもりはありませんが、ママチャリは見直してみたほうがいいのではないでしょうか。
いつ、どんな災害に見舞われるかわかりません。もちろん、せっかく用意しておいたMTBも必ず役立つとは限りません。さらに、ある程度乗りこなせるスキルも必要でしょう。平時から、自治体のスタッフや消防団などに運用を想定した備えも求められるかも知れません。
日本でも水害や地震などで集落が孤立する例が見られます。必ずヘリが使えるとも限りません。いざという時の可能性も含めて考えておくべきでしょう。今回のテキサスの事例を参考にして、災害用の備蓄自転車をアップデートしておく手もあるのではないでしょうか。
◇ 日々の雑感 ◇
昨日カムチャツカ半島付近で発生した大地震による突然の津波警報には驚きましたが収束しつつあるようです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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