October 05, 2025

なるべくリスクは減らしたい

いま相次ぐ出火が問題となっています。


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リチウムイオン電池から出火し火災になる事例が相次いで報じられています。スマートフォンやモバイルバッテリー、ハンディファン(携帯用扇風機)など身近な製品にリチウムイオン電池は広く使われていますが、そうした製品が電車内などで突然発火したり、建物の火災に至ったりする事例が相次いでいるのです。

リチウムイオンバッテリーは、高温や衝撃に弱いと言われています。携帯用扇風機などを落としてしまうこともあるでしょう。その場で出火するのではなく、時間や日にちを置いて発火することがあるというのが厄介です。落としたことを忘れていたり、大丈夫だと思ったら後日出火するわけです。

誤った捨て方で火災

高温にも弱いとされています。わざわざ高温にすることはないとしても、うっかりモバイルバッテリーをクルマのダッシュボードに置き忘れたため出火したりするわけです。高温でないので無意識に家の窓際に置いて出かけたら、昼間直射日光をあびて火が出ることもありえるでしょう。

最近は飛行機の中で出火した事件もあり、航空会社も警戒を強めています。先日は機内に持ち込めない電動自転車のバッテリーを乗客から預かったら、それが出火し那覇空港で火事になったという報道もありました。火災が起きても、原因の判明は後の場合も多いので、他にも火災の原因になっている例はあると思われます。

5年で2000件超発火事故

なにしろ便利なので、近年はいろいろな製品に使われています。廃棄されたバッテリーが原因で清掃工場が火災になり、長期間ゴミ収集が出来なくなる事態も起きています。いつどんな形で火災になるかわかりません。消費者庁なども広く国民に注意を呼びかけています。

当然ながら電動自転車、電動アシスト自転車のバッテリーも発火の危険があります。すでにこれが原因で突然自転車から火が出るような事例が起きています。背景には、電動アシスト自転車のバッテリーの盗難、正規品でないバッテリーや中古品が流通するような環境もあるのでしょう。

発火事故

盗難でもバッテリーだけ盗まれれば、正規品は相対的に高価ですし、下手をすれば格安粗悪な製品を掴んでしまう可能性もあるでしょう。もちろん、正規品を使っていても、なんらかの拍子に衝撃が加わり、それを意識していない中で充電中に発火することもあるかも知れません。

自転車は屋外保管でも、バッテリーは外して部屋に持ち込んで充電する人が多いと思いますから、今後も出火するリスク、火災になるリスクは否めません。すでにこのブログでは何度も取り上げていますが、海外ではすでに社会問題となっている都市が数多くあります。

リチウムイオン電池の出火リチウムイオン電池の出火

例えばアメリカ・ニューヨークでは既にさまざまな対策を実施しています。規制も強化し、フードデリバリーの配達員が自宅で充電せずに済むように充電ステーションを設置したり、最近では新しいバッテリー規格を制定するだけでなく、すでに使われている、規格に非適合のバッテリーを当局が押収できるようにする計画もあります。

電動のeバイクや電動アシスト自転車は、すでに広く普及しています。もちろん、その大多数が発火するわけではないにせよ、使用する上で不安がくすぶることになるでしょう。格安粗悪なバッテリーの流通を排除したり、正しい使い方を周知徹底していくような施策も必要になりそうです。

リチウムイオン電池の出火リチウムイオン電池の出火

こうした中で、新たな取り組みも始まっています。リチウムイオン電池を使わない電動自転車です。その一つはキャパシタを使うものです。キャパシタは電池と同じように電気エネルギーを蓄える働きがあり、その歴史は古く18世紀中ごろから使われてきました。

電池は化学反応で電気を蓄えるのに対し、キャパシタは電極表面に静電気で電荷を蓄えるため、化学反応が起きません。リチウムイオン電池のような形で爆発的に燃焼して発火することはないわけです。電池と違って、電荷の蓄積が速く、充電(蓄電)に時間がかからない利点もあり、大きな電力を供給するのにも向きます。

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一方で、バッテリーは体積あたりのエネルギーの貯蔵量がはるかに多くなります。このためコンパクトにできるので、多くの製品で使われているわけです。普通に考えれば、キャパシタを使うとバッテリーより大きく重くなってしまうのが欠点ということになります。コストも高くなります。

フランスの新興企業、Anod 社は、リチウムイオンバッテリーの代わりに、ハイブリッドスーパーキャパシタを使った電動アシスト自転車を開発しています。キャパシタを使うことによる利点、すなわち火災のリスクがゼロ、超高速充電、並外れた長寿命をアピールしています。

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もちろん、リチウムイオン電池の高いエネルギー密度やコスト面ではかなわないわけですが、火災というリスクは深刻であり、その点で十分に使われる可能性があると考えています。充電時間にしても、75%充電は15分、フル充電でも25分です。航続距離は同等レベルを確保して保証期間は10年です。

電池をキャパシタに置き換えただけでは不利なので、モーターの改良や回生ブレーキなどを使うことで従来製品のエネルギー消費量を半分程度にすることに成功したそうです。まだ知名度も低く、キャパシタ式の電動アシスト自転車は周知されていませんが、将来的に大きなムーブメントを起こす可能性はありそうです。

トヨタ紡織トヨタ紡織

燃料電池による電動アシスト自転車という方向性もあります。日本のトヨタ紡織などがすでに開発をしています。トヨタの燃料電池車(FCV)に使われている部品を流用するなどして、スポーツバイク向けを想定して市場投入を目指すとしています。こちらも期待できる動きです。

水素を貯蔵する燃料電池だと、まだハードルもありますが、直接水素を使うのではなく、液体メタノールを使用することで、水素の貯蔵や運搬などの課題をクリアした電動バイクも開発されています。こちらも日本のヤマハの、DMFCシステムが知られています。

ヤマハヤマハ

着々と次世代の電動アシスト自転車が開発されているわけです。ちなみに世界で初めて電動アシスト自転車を作ったのもヤマハですが、最初は鉛蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池 ニッケル水素電池などが使われていました。それがリチウムイオン電池に取って代わられたという歴史です。

今後、リチウムイオン電池による火災の問題がどうなっていくかはわかりません。電池の改良や新しいタイプの電池も登場してくるでしょう。そして、それがキャパシタになるか燃料電池になるかわかりませんが、次世代電動アシスト自転車に切り替わっていくことになるのかも知れません。





◇ 日々の雑感 ◇

自民党初の女性新総裁が誕生しました。英国のサッチャー元首相を崇拝しているそうですが、積極財政で財政規律の懸念からむしろトラス首相の二の舞も心配されます。表紙を変えただけで自民党が変われるかも疑問です。

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