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自転車のパーツもそうです。見た目や自転車全体の構成として近年、大きく変わったようには見えません。しかし、個々の部品については近年の技術革新により、改善や改良がなされてきました。素材や加工技術も大きく向上していますし、見た目の形は、そう変化がないように見えても不断の改良が継続されています。
フレームやタイヤ、駆動系のパーツもそうですが、サドルも改良が重ねられてきました。最初は硬い鉄製のベースに革を張ったものでした。しかし、それだと決して乗り心地がいいとは言えません。慣れの部分もありますが、もっと乗り心地が良く出来るはずと考えるのは自然です。

その形状が工夫されたり、シリコンゲルを注入するなど素材面でも試行錯誤が繰り返されてきました。ロードバイクなどスポーツバイクのサドルは薄くてペダリングの邪魔にならないことが重要視されます。あまりフカフカでクッションの効いたものだと、ペダルをこぐ脚の力が削がれてしまい伝わりにくくなるのは否めません。
一方で、初心者を中心にお尻が痛くなるという大きな欠点があります。レーパンを履いたり、慣れれば軽減するとは言え、やはり痛みが一番出る部分であり、不満の多いところです。あまりのお尻の痛さに、スポーツバイクに乗ることを断念したり、続けるモチベーションが削がれたりすることもあります。

そこで、お尻の痛みを軽減するという目的だけでも、いろいろな改良が加えられてきました。このブログでも過去に多数の製品を取り上げてきました。独特の形状や素材など、それぞれのアイディアを加えて製品が開発され、今でもショップに行けばたくさんの製品が並んでいます。
さて、お尻の痛みに、また新しい答えを出したメーカーがあります。ドイツの自転車部品メーカー、
Personomic です。もともと手をスキャンして3Dプリントで形成したハンドルのグリップをラインナップしていましたが、その技術をサドルにも応用しました。
自分の身体に合わないサドルによる痛み、フラストレーションは、サイクリストの2/3が感じていると言います。それに完璧な解決策があるのではないかと考えているのです。それは、顧客一人ひとりにカスタマイズして3Dプリントでサドルを製造するという方法です。
注文すると、身長や体重から乗る自転車の種類、ライディングスタイルに至るまでの調査票が届きます。ユーザーの自宅にあるような道具でお尻のサイズや坐骨の位置などを測り、それをAIによって評価します。これによって、顧客一人ひとりに最適なサドルを提供するというのです。

実際には、一つひとつを3Dプリントするわけではありません。あらゆるお尻の形に適応するために32種類のパーツが用意されています。AIが独自のアルゴリズムにより、それらを組み合わせて一人ひとりに最適なサドルを組み上げてユーザーへ送付するのだそうです。
ぴったり合わないと思われた場合は、顧客が完全に満足するまで手間を惜しまず交換すると言います。この方法は一つひとつ3Dプリントするより実用的な方法であり、コストも抑え現実的と判断されたのです。32種類のバリエーションを用意することで、個別プリントとの差は非常に小さくなり、違いがわからないのだそうです。

このバリエーションを組み合わせて形成する方法ならば、製造や配送にかかる時間が1/4に減らせるのもメリットです。満足できなかった場合の交換も容易になります。一つひとつ3Dプリントしていたら、返品された製品は全て廃棄せざるを得ず、コストも増加してしまいます。
もちろん、顧客一人ひとりの個別のサドルを3Dプリントで製造するのがベストということになるでしょう。本当は、それがいいのですが、特注品となってコストが高くなってしまうため、このスタイルになったわけです。限りなく個別カスタマイズに近い出来栄えが提供できると判断されました。

ある面、一人ひとりにカスタマイズされたサドルというのは、究極ということになるかも知れません。しかし、もっと違う考え方をした人もいます。アメリカ・ミネソタ州はソーク・ラピッズという都市に住む、Jack & Anita Herold さんです。“
QuickSet”というサドルを発明しました。
二人は、1時間も乗っているとお尻が痛くなるのは、ずっと同じ形のサドルに跨っているからだという事実に思い至りました。お尻の同じ場所がサドルと接しているため、圧迫される場所が変わらないからです。そこでサドルの幅を変えるによって、お尻の違う部分に当たるようにすることを思いつきました。

たしかに映画館の椅子や、自宅のリビングの椅子でも、ずっと同じ姿勢だとお尻が痛くなるでしょう。無意識にでも適当な時間で姿勢を変えているはずです。姿勢を変えることで、お尻の体重のかかる部分が変わりラクになります。自転車のサドルも同じことでしょう。
ただ、自転車のサドルは限られた大きさです。姿勢もライディングポジションの関係上、一瞬ならともかく、あまり大きくは変えられません。そこでサドルの幅を変えることにしました。いちいち工具を使っていたのでは面倒すぎます。ワンタッチでサドルの幅を変える機構を考案しました。

たしかに言われてみれば、そうかも知れません。なるほどと思います。なぜ今まで気づかなかったのでしょう。サドルがペダリングに合わせて動く機構はありましたが、自在に幅を変えて、お尻とサドルの密着ポイントを変えるというのは、新しい発想と言えるでしょう。
例によって、現在
クラウドファンディングで資金調達しています。私は、Personomic のサドルもそうですが、こちらの“QuickSet”も試したわけではないので、その効果はわかりません。しかし、どちらも一定の説得力を持っているように思えます。両方とも、なかなか面白いアイディアと言えるでしょう。
そして、どちらも見た目には従来のサドルと別段違うようには見えません。でも、実際には大きな発想転換や、改良がなされているわけです。今後、自転車の大枠としての仕組みやスタイルは大きくは変わらないでしょうが、一つひとつのパーツや機構は、これからも不断の改良が続けられていくに違いありません。
◇ 日々の雑感 ◇
ロシアとウクライナでは双方のインフラ攻撃の応酬が激化しているようです。トランプ大統領はロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、先週末、「近い将来、戦争は終わるだろう」と発言していますが、果たして終わるのでしょうか。
Posted by cycleroad at 13:00│
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