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バッテリー火災を受け、経済産業省が方針を発表しています。ただ、安全表示義務に違反している疑いがあるメーカーや事業者を、連絡に3回以上返答がない場合に公表するというだけです。危機感を持つ人は、公表されたメーカーのバッテリーは買わないかも知れませんが、どのくらいの人が経産省の発表に注意するかは疑問です。
モバイルバッテリーの違反疑い業者を公表へ “適合確認”連絡に3回以上返答がない場合12月から3カ月ごとに更新 経済産業省
モバイルバッテリーの発火事故が相次ぐ中、経済産業省は安全表示義務に違反している疑いがあるメーカーや事業者を公表することになりました。ネット通販で入手した製品による死亡や火災などの重大事故は、4年で556件に上り、うち90件がモバイルバッテリーによる事故です。
モバイルバッテリーをはじめとする電気製品などの販売には、安全であることを示す「PSマーク」の表示が義務づけられ、経産省がメーカーや輸入事業者に対し、基準に適合しているかを確認していますが、連絡がつかないケースが増えているということです。
経産省は、3回以上連絡しても返答がない事業者について、12月から「連絡不通事業者」として公表します。リストは四半期に一度更新し、危険な製品の流通防止につなげたい考えです。(2025年11月12日 FNN)
バッテリー火災による被害が問題となる中で、歯止めをかける意図はあるのでしょう。本当は、社名発表ではなく、明らかに市場価格より安く格安の粗悪品を販売するような業者には罰則を設けて販売を差し止めるくらいしてもいいような気がしますが、法改正も必要ですし、事実認定も難しいのは確かでしょう。
火災になるような欠陥があっても、リコールしない業者もあると聞きます。クルマなどと違って、ユーザーへの連絡方法が無いことが多いので難しいとしても、人命にかかわることですから、テレビCMや新聞広告を出してもいいはずです。ただこれも、単価も低く、中小企業などの場合は難しいこともあるのでしょう。
自転車のバッテリーの発火事故も起きています。街中で突然発火する事例も報じられました。家屋などの火災のニュースが伝えられるのは日常茶飯事ですが、報道ではその事実と死傷者の有無が報じられるだけです。原因は警察と消防の現場検証を待つ必要があるのでしょうし、判明した時にはニュースにはなりません。
そのため、自転車のバッテリーによる火災が、ボヤも含めてどれほど起きているかはわかりません。被害の広がりも不明なので、モバイルバッテリーはともかく、電動アシスト自転車のバッテリー火災については、あまり大きな問題として意識されていないのが実際のところでしょう。
ところが、海外では違います。このブログでも何度か取り上げてきましたが、自転車用のバッテリーによる火災が深刻な社会問題になっている都市があります。国によって状況が違いますが、多くの死傷者が出ていることが明らかになっている例も少なくありません。
こうした状況を受けて、例えばアメリカ・ニューヨーク市は、独自に自転車のバッテリーの充電スタンドの整備を始めています。電動自転車を使ってデリバリーをする配達員向けです。自宅のアパートで充電せず、街角の充電スタンドならば、万一発火しても住宅火災にはならないからです。
もちろん、バッテリーの販売や流通の規制強化も検討されたり、法制化されたりしていますが、一つの自治体だけでは、その効果が見込めない面もあります。そこでニューヨーク市は、ギグエコノミー労働者を保護するため、
配達員の労働環境を全面的に見直すことにしました。
市議会に提出された法案では、Uber、DoorDash、Grubhub といった市内で展開するプラットフォーム業者に対し、安全で正式な認証を受けた電動自転車を配達員に提供する責任を課しました。配達員に責任を負わせるのではなく、プラットフォーム業者に提供する責任を課すという新しい施策です。
配送プラットフォームの運営業者は、基本的に配達員と飲食店のマッチングをするだけです。そのプラットフォームを提供して手数料を得る商売ですが、ギグワーカーである配達員にさまざまなしわ寄せがいくことが問題になっています。事故やケガの保障は本人負担で、休業手当もなく、安定した仕事量も保証されません。
ですから、運営業者に安全な電動自転車の提供義務を課すというのは、今までにない思い切った、踏み込んだ対応と言えるでしょう。ギグワーカーの労働環境や労働条件なども問題ですし、是正は求められますが、バッテリー火災は人命にかかわる事態で喫緊の課題ということを重く見ているわけです。
配送プラットフォーム業者は、電動自転車を
サブスクリプション方式で提供するレンタル業者等の会員費を補助したり、下取りプログラムなどを通じて、ジャンク品ではなく、安全要件を満たし正式に認定された電動自転車を購入させるといった方法があります。遵守させる責任は業者にあると明記され、費用負担を求めています。
まだ可決されたばかりなので、完全に施行はされていませんが、費用負担を始めた業者もあります。ニューヨーク市では、しばしば発火する粗悪なバッテリーを搭載した電動自転車で溢れていると言われています。配送プラットフォーム業者には、今すぐ行動を起こすべきだとの世論の圧力がかかっています。
ニューヨーク市交通局は、電動自転車下取りプログラムを始めており、安全基準を満たさない電動自転車や違法なモペットを路上から排除することに注力しています。対象の事業者の配達員は、未認証の電動自転車や路上走行が認められていないモペットを下取りに出し、認証済みの電動自転車とバッテリーを受け取れます。
ニューヨーク市では、今年に入ってからだけでも、市内で130件ものバッテリー火災が報告されたこともあり、真剣に取り組んでいます。ネットで格安バッテリーをいくらでも入手できる時代ですから、その流通を止めるのは容易ではありません。そこでせめて火災が多い配達員だけでも自転車を制限して火災防止を狙っているのです。

イギリス・
ロンドン市でもこれと似た規制が進められています。自転車バッテリー火災の急増を受け、Uber Eats、Deliveroo、Just Eat といったフードデリバリーの業者は、すでに配達員に公道走行が認められ、認定された車両を使用させることを義務付けています。
こちらも配達員直接ではなく
プラットフォーム業者に対する規制ですが、各業者は、顧客や配達員の安全を最優先にすると表明しています。ロンドンでは今年だけでも181件のバッテリー火災が起きており、業者は市民からの厳しい声、世論からのプレッシャーを感じているのは間違いないでしょう。
日本では、まだあまり自転車のバッテリー火災は大きな問題とはなっていません。火災は起きている可能性がありますが、フードデリバリーのプラットフォーム業者に対する風当たりが強くはなっているわけではありません。このような規制が今すぐ必要と言うつもりはありません。
ただ、日本でも自転車バッテリーから出火する事例は増えつつあるようです。その背景には格安粗悪なバッテリーの利用が一因としてあるでしょう。そしてそれは、ネット通販や、フリマアプリ、ネットオークションによる劣化した中古の入手が広がっていることが影響しているはずです。

さらに、このような流通が増える背景には、電動アシスト自転車のバッテリーの盗難があります。バッテリーだけを盗むのは比較的容易ですし、ネットオークションやフリマアプリを使えば簡単に換金できます。バッテリーの盗難の増加は日本でも顕著です。
バッテリーの盗難で、所有者は余計な金銭的な負担を強いられます。フリマなどから安い中古を買いたくもなるでしょう。さらに火災のリスク、死傷するリスクまで負うことになります。これは理不尽であり、社会的にも損失です。ですから、せめて自転車用バッテリーの出品を規制してはどうでしょうか。
バッテリーの換金が困難になれば、バッテリーの盗難も減るでしょう。粗悪な製品や劣化した中古を買わずに済みます。どうしても必要になった人には正規メーカーがリーズナブルな価格で提供すればいいと思います。悪循環を阻止するためにも、自転車バッテリーの出品禁止を検討してもいいのではないでしょうか。
◇ 日々の雑感 ◇
クマ被害は在日アメリカ大使館が日本滞在の米国人に注意を呼び掛けるまでになっており憂慮すべき事態です。
Posted by cycleroad at 13:00│
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