November 19, 2025

欧米諸国に学ぶべき道路政策

日本は欧米を見習うべきことがまだたくさんあります。


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その一つが自転車政策でしょう。今や日本との差は大きなものになっています。例えばパリは、クルマがスピードを出して街中を走行し、路上駐車が多いなど悪名高いクルマ都市でしたが、今では子供にとって自転車に優しい都市のヨーロッパランキングで2位のアムステルダムとコペンハーゲンを抑えて首位となっています。

自転車先進都市とされる両都市を抑えての首位ですから、相当に自転車環境の整備が進んだことがわかります。これは2024年のパリ五輪に向けた投資や、社会党のイダルゴ市長による450億円をかけた自転車レーンの整備が大きいとされています。単なるレーンでなく物理的にセパレートされた高規格のものも多いといいます。

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コペンハーゲンも負けてはいません。自転車用に街の信号が同期され、ラッシュアワー時でも時速20キロで走行する自転車は、ずっと青信号で走れる「グリーンウェーブ」が導入されるなど、自転車インフラは、もっと高いレベルに到達しています。

自転車の街というイメージの薄いロンドンでも、現在400キロを超える自転車レーンが整備され、周辺部からロンドンの中心へ向かう8本の自転車専用道路も完成しています。これらの施策により首都での交通事故死亡者数は、10年間で30%減少しました。市内で自転車が利用された移動量は2019年から20%増加しています。

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ヨーロッパでは昨年、「欧州自転車宣言」が採択され、EU全体で自転車活用を推進するという歴史的な意思表示がなされました。これまでで最も野心的なEUレベルの自転車政策イニシアチブの1つであり、EU全体で自転車利用を戦略的優先事項として認識するために36の公約を定めています。

もはや一部の先進的な都市の話ではありません。自転車利用者、関係者だけによるものでもありません。都市レベルではなくEUレベルで都市の自転車走行インフラの整備を進め、環境負荷を軽減し、市民の健康を増進し、欧州で意外にも深刻となっている大気汚染を低減し、人間優先の安全で持続可能な交通を推進しているのです。

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EU各国の運輸大臣全員が、自転車政策を強化するという書面に署名し、あらゆるレベルの行政機関に自転車利用促進策の導入を促すなど、自転車はもはやクルマの補完ではありません。ヨーロッパでも数十年にわたり、クルマ産業の振興が図られてきましたが、今やそれは転換されているのです。

クルマの利用者にとっては不満もあるでしょうが、もはや国民のコンセンサスとして自転車インフラの整備が進められています。例えばECF、ヨーロッパ自転車連盟の新しいCEOは、元FIA(クルマの国際自動車連連盟)の事務局長でした。クルマと自転車の対立という段階ではないのです。

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ヨーロッパの都市では、日本と比べて必ずしも道路が広くありません。古代ローマ時代からの区画が残る旧市街も多く、むしろ狭いこともあります。それでもクルマの車線を制限し、人々が自転車で安全に走行できるよう、自転車レーンなどのインフラの整備が進められているのです。

日本人には理解しにくい部分ですが、ヨーロッパでは、もはやクルマではなく自転車を都市部での交通の中心に据えることが当たり前という考え方になりつつあります。道路に余裕があればレーンを整備するという考え方ではありません。そして可能な限り完全に物理的に分離されたレーンの整備も目指されています。

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交差点や信号機で自転車を優先したり、クルマの制限速度を低くしたり、駐輪インフラを拡充したり、といった施策も進められています。自転車購入補助や自転車通勤手当の充実、安全教育の義務化など、あらゆる方策がとられています。もちろん、一朝一夕にできるものばかりではありませんが、その方向性は明確です。

日本では、自転車が車道を走ると邪魔者扱いです。完全にクルマ優先です。これは高度経済成長期からの考え方であり、少しでも移動や輸送の効率を上げる、すなわちクルマ優先が当然という考え方です。クルマを走りやすくするため、自転車を歩道走行させ、車道の拡幅一辺倒でした。

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しかし、戦後すぐの頃ならともかく、いまやクルマ優先の道路整備が最適解とは言えません。都市の道路のキャパシティーを超えるクルマであふれ、渋滞が常態化しています。長い年月をかけて土地を買収し道路を拡幅しても、すぐにクルマが流入し、渋滞の解消どころか悪化することも少なくありません。

個々に違いはありますが、日本の都市の道路は、都市を通過するだけの車両が過半とも言われます。もちろん必要なクルマ交通もありますが、乗用車には平均して1.2人しか乗っておらず、クルマ用の道路を拡幅しても、都市にこれ以上の経済的な恩恵をもたらすとは言えません。

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限られた都市の空間でもある道路に違法駐車するクルマも多く、社会的に大きな損失となります。渋滞による経済的損失も莫大です。日本では欧州のように環境負荷が意識されることは少ないですが、場所によっては大気汚染や騒音公害もありますし、何より交通事故による人命の損失という大きなデメリットがあります。

もちろん、クルマでの移動や輸送を全部自転車で代替しろなんて言うつもりはありません。ただ、渋滞を減らすには、占有面積の小さい自転車の利用を向上させたほうが効果的です。クルマ一辺倒ではなく、自転車の走行環境も整備するメリットは小さくないはずです。何より安全性が向上し、国民の福祉に寄与します。

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ヨーロッパのトレンドとして、もはや都市部でのクルマ優先は過去の遺物になりつつあります。クルマ用の車線のスペースを置き換えて、自転車の走行空間を整備すべきというのが当然のコンセンサスなのです。日本が欧米から見習うべきことは、まだまだ多いと思いますが、ぜひ自転車政策も参考にしてもらいたいと思います。





◇ 日々の雑感 ◇

かなり気温が下がってきました。秋はあっという間に去りもう冬です。自転車に乗る服装も完全に冬モードですね。

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