December 07, 2025

自転車環境改善のための道筋

日本の自転車走行環境は良いとは言えません。


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何度も取り上げているように、自転車を歩道走行させるという世界から見ると非常識な行政を続けてきた結果、車道には走行空間が乏しいのが問題です。来春から導入される自転車の青キップ制度で、歩道走行が禁止されるのかとか、車道走行は怖いなどと、改めて自転車インフラの乏しさがクローズアップされています。

欧米の都市などと比べて自転車の走行環境はかなり貧弱であり、インフラの整備や行政の取り組みに関しても大きく遅れていると言わざるを得ません。ただ、外国がどこでも自転車に乗りやすいとは限りません。当然ですが、国によって違い、道路環境もさまざまです。

Girls On BikesPhoto by Joonas Lyytinen,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.

南アフリカ共和国も、自転車に乗る環境がいいとは言えません。郊外など路肩が広い道もありますが、自転車レーンなどはほぼ整備されていません。舗装状態も悪く、クルマもスピードを出して走っています。そもそも、自転車に乗る人が圧倒的に少ないので、自転車インフラ整備などと言うのがナンセンスなのでしょう。

場所によっても違いはありますが、500万の人口を擁する大都会ヨハネスブルグでも、通勤に自転車を使う人の割合は全体の1.5%未満です。その大半は他の国から来た移民労働者です。この国で自転車は白人のエリート層の趣味か、貧困層の最後の手段としか見られていないからで、自転車に乗る人が少ないのです。

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悪名高きアパルトヘイト、人種隔離・差別政策は30年前に撤廃されましたが、その影響は色濃く残っています。例えば居住地は、制限が無くなったからといっても、すぐに変えられません。居住区で住民の人種が分かれており、地区によって大きな格差があります。貧富の格差の大きさは世界最高レベルとされています。

食べるのに精一杯で、自転車など買おうにも買えない人も少なくありません。30年前に撤廃されたとは言え、アパルトヘイトによる教育や雇用機会、居住、移動などの差別の影響が色濃く残っているのが実情です。さらにジェンダーの問題もあります。

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中東などのイスラム教の国では、宗教上女性の自転車利用が禁止されていたり、事実上乗れなかったりします。そのような制約はありませんが、南アフリカでは、とくに女性は自転車に乗ったことがないため、乗れない人、乗らない人が多いのです。これはアフリカ諸国では、まま見られることです。

ヨハネスブルグの郊外に住む、Karabo Mashele さんは今32歳ですが、29歳まで自転車に乗ったことがありませんでした。しかし、その楽しさに目覚めた彼女は、この国で自転車に乗る女性を増やしたいと考えました。そこで“Girls On Bikes”という女性だけのサイクリングコミュニティを立ち上げました。

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ヨハネスブルグでは、まだクルマに乗れない年齢の少年達が、自転車を改造してクルマのドリフト走行の真似をする一種のカルチャーがあります。そのような機会も含め、男の子の場合は自転車に乗ることもありますが、ほとんどの女の子は自転車に乗る機会がありません。( ↓ 動画参照)



そこで、Karabo さんは女性たちに声をかけ、まず乗り方を教えることから始めました。さすがに女性一人で乗っていると沿道の男性から好奇の目で見られがちですが、みんなで乗れば怖くありません。さらに兄弟や知り合いの男性が伴走してくれれば、さらに安心です。

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レッスン以外に、月に2回、20代から30代の女性、最大25人程度が参加するサイクリングイベントが出来るまでに成長しました。他の週末には、Karabo さんとコアなグループが男性を交えて長い距離のサイクリングに出かけることもあります。ヨハネスブルグの街でも、少しずつ知られつつあります。

最初の頃は、Karabo さんの出身集落でも、黒人女性が自転車に乗っているのを見て、周囲の人は観光客だと思っていたそうです。ヨハネスブルグで、いまだアパルトヘイトの影響が色濃く残る中で、有色人種の女性が自転車に乗っているのは、政治的な意味も持ちます。



実は、彼女の兄の、Titi Mashele さんが最初に“Banditz Bicycle Club”というコミュニティを立ち上げました。これが一部の黒人コミュニティにおけるサイクリング熱を高めました。彼は自転車ショップも運営しており、妹にも女性のサイクリングコミュニティの結成を勧めたのです。

“Girls On Bikes”は、彼にとっても宝物のような存在になっています。レッスンに来た女性が、やがてグループライドに参加するようになったら、みんな大喜びです。まるで子供が歩き方を覚えていくのを見ているようです。まだメンバーは少ないですが、非営利団体としても登録しました。

Girls On BikesGirls On Bikes

ヨハネスブルグは、決して自転車にフレンドリーな街ではありませんが、彼ら兄妹は自転車に優しい街に変えていきたいと考えています。自転車インフラは全く十分ではありませんが、それを改善するためには、まず自転車に乗る人、特に女性を増やさなければなりません。そこから始めているのです。

日本では自転車に乗る人は多く、スポーツバイクでこそ男性の比率が圧倒的に高いですが、シティサイクル、ママチャリまで含めれば自転車に乗る女性は多く、全体としても自転車に乗る人口の多い国です。乗れる人も多いですし、身近な移動手段として当たり前のように使われています。

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自転車インフラは貧弱と言わざるを得ませんが、南アフリカと違って自転車に乗る人が非常に多い国です。むしろ、こんなに多くの人が使う移動手段である自転車を、安全に乗れるようにするのは民意であり必要なことです。利用者を増やす必要はないので、あとは私たち自転車利用者が声を上げていくしかないと言えそうです。





◇ 日々の雑感 ◇

高校野球の夏の暑さ対策で試合を7回までにする検討、甲子園でなくドーム球場でやる手はないのでしょうか。

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