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プレート境界に位置しているため地震が多発します。阪神淡路大震災や東日本大震災、能登半島地震も記憶に新しいところです。南海トラフ巨大地震や首都直下地震、千島海溝や日本海溝周辺の海溝型地震の発生も危惧されています。日本中どこで大地震が起きても不思議ではありません。
地震に伴う津波、火山の噴火、豪雨被害なども含めて、世界的に見ても災害の多い国なのは言うまでもありません。地震の予知は無理ですが、いかに災害への備えをしておくかが重要となります。自然災害を防ぐことは出来ませんが、いかに被害を減らすか、減災の視点が重要です。

このブログでも何度か取り上げてきましたが、各地で震災への備えとして自転車を備蓄しておこうという動きもあります。東日本大震災の後には道路に段差ができたり、瓦礫が散乱したり、燃料が入手できないなどでクルマが役に立たず、移動や運搬、情報伝達などで自転車が大いに重宝したという教訓があるからでしょう。
先日は阪神淡路大震災から31年ということで読売新聞に記事が載っていました。
大規模災害で「被災者の足」として活躍した自転車で防災力強化…負傷者らを運ぶレスキューバイクも実用化へ
31年前の阪神大震災では、交通網が寸断される中、身近な移動・輸送手段として自転車が注目された。自転車部品製造が盛んな堺からも約400台が送られ、「被災者の足」として活躍した。
東日本大震災の被災地にも支援物資として自転車が送られたほか、市と民間企業が要救助者の搬送などに使える「レスキューバイク」を開発するなど、「阪神」の経験を出発点に地域ぐるみで自転車による防災力強化が進んでいる。
中世の鉄砲生産によって、鉄の加工技術や様々な製造工程を複数の職人が担う「分業制」が発展した堺市。明治以降、そうしたノウハウを生かして自転車産業が広がり、現在も、市が「サイクルシティ堺」を掲げるなど自転車を活用した街づくりに取り組んでいる。
1995年の阪神大震災の際、市内の製造業者などでつくる「堺自転車製造卸協同組合」は、道路が各地で途絶し、公共交通機関も機能しない中で安否確認や物資の運搬に使ってもらおうと、支援物資として自転車約400台を送った。
ただ、倒壊した家屋のがれきでパンクが相次ぐなど課題も見つかり、2011年の東日本大震災の際は、パンクしにくいタイヤを装着した自転車を準備。すぐに乗れるようパーツではなく組み立てた状態で届けたという。同組合の理事長だった武田正さん(78)は「阪神の教訓を生かし、必要なところに素早く届けられたのでは。少しでも被災者の助けになればとの思いだった」と振り返る。
被災者支援だけでなく救命救助活動にも自転車を活用する試みは、18年の西日本豪雨や24年の能登半島地震の被災地で、土砂崩れで塞がれたり、元々細かったりする道に車両が入れなかった経験がもとになった。
市と地元企業・森井製作所が協力して開発しているレスキューバイクは、三輪で悪路でも安定して走行し、車両が入れない現場近くまで大量の資機材を運び込める。また、運転者のほかに2人を乗せることもできる。電動アシストが付いているため、坂道や長距離の移動でもペダルをこぐ体力を温存できる利点もあるという。
今年度中に完成する予定で、市消防局警防部の新開実・総括参事役は「レスキューバイクで移動や資機材の運搬をスムーズにすることで、最も重要な人命救助にマンパワーを集中させられる」と期待を込める。(026/01/18 読売新聞)
度重なる災害の経験から、使う自転車にも工夫が加えられています。パンクレスタイヤや、電動アシストの導入なども進められているようです。被災地へすぐに届けられるとは限りませんから、あらかじめ災害用の備蓄品の中に自転車を加えておくことも求められるでしょう。
ただ、個人的に気になったのは、後段の「レスキューバイク」です。クルマが役立たない中で、自転車で荷物や人を運ぶための三輪、いわゆるカーゴバイクということになります。しかし写真にあるような低床のフレーム形状や小径のタイヤでは、瓦礫が散乱し、電柱などが倒れている中で、果たして実用的と言えるでしょうか。

私個人は震災を経験したわけでもないですし、自転車製造のプロの開発する「レスキューバイク」に異論を唱えるのはおこがましい限りですが、正常な状態の道路で使うならともかく、この画像のような形状の自転車が、被災地での走行に果たして有効だろうかと疑問を感じます。
昨年7月にアメリカ・テキサス州ヒルカントリーを襲った洪水についても取り上げましたが、橋が崩壊したり洪水による瓦礫が散乱する中、役に立ったのは、電動アシスト付きのマウンテンバイクでした。MTBにトレーラーを連結して、最初の2日間だけでも毎日100往復以上し物資を届けた人が話題になりました。
ヒーローが活躍する為の道具( ← 取り上げた時の記事)
当然ながら、被災した場所や道路状況などにもよりますが、災害時の自転車の活用について議論をする海外の掲示板やSNSなどを見ても、MTBやファットバイクとトレイラーというスタイルが一番適しており、応用も利くのではないかという意見が多いようです。いざとなれば、自転車を抱えて障害物を乗り越えられます。
上述のテキサスの洪水では、たまたまMTBとトレーラーを持っていた人が駆けつけ、多くの人が助けられました。個人で災害時のためにパンクレスタイヤなどを装着した自転車を用意しておくのは困難ですが、災害用に備蓄しておくならば、この組み合わせが妥当という結論になりそうです。
自転車は移動や運搬以外にも役に立つ可能性があります。近年は電動アシストが増えていますが、さらに一部に、自転車のバッテリーに、USB-C の充電ポートを備えるモデルが登場しています。ふだんは手持ちのモバイル機器などの充電に使えて便利です。
これが避難所などにあれば、災害時にスマホの充電に仕えて有用なのではないでしょうか。もちろん、基地局が被災してダウンしてしまえば通信は途絶してしまいますが、最近は衛星通信のサービスも出てきています。総務省も低軌道衛星の協調運用事業などの整備に予算を拠出しています。

さらに、自転車に接続して発電するジェネレーターなどがあれば、避難所での電源として使えます。スマホの充電だけでなく、ポンプの電源が失われてトイレが流せないのも衛生上大きな問題になります。人力で発電するならば、脚力を使うのが最善です。ここでも自転車が役に立つ可能性があるでしょう。
そして災害時の避難にも役割を果たすことが期待されます。東日本大震災では、避難するクルマが集中して渋滞し、逃げ遅れた人が命を落としたと言われています。もし、クルマでなく自転車で避難していたら、渋滞に避難を妨げられなかった可能性があります。

その後、この教訓からクルマではなく徒歩や自転車での避難が呼びかけられましたが、あまり浸透しなかったようです。東日本大震災の数年後、被災地で再び大きめの地震があり、津波注意報が発令された際に多くの道路で渋滞が発生しました。全く教訓が生かされていない事態に、関係者は青くなりました。
もし、避難所で避難生活となった時、クルマがあるとプライバシーが保たれるなどのメリットが見込めます。そのことが広く知られたため、クルマで避難したくなる気持ちはわかります。家がダメでも、せめてクルマを残せれば、その後の生活にも役立つとの考えもあるでしょう。
しかし、避難の途中で命を落としたら元も子もありません。確実な避難を優先すべきであり、一定の速さと機動性があり、渋滞も回避できる自転車は有力な手段です。このことが浸透しておらず、クルマでの避難が繰り返されてしまうことに関係者の危機感があるのは間違いないでしょう。
この事象の是正は容易ではありません。説明すれば理解してもらえるとは思いますが、クルマで逃げたくなるのは人情です。津波警報の正確性や速報性が上がったとしても、これでは減災につながりません。高齢者や身体に障害のある人など、本当にクルマでの避難が必要な人にとっても深刻な問題です。

なかなか決定的な解決策はありません。でも個人的に思うのは、定期的に自転車で実際に避難する訓練をさせたらどうでしょうか。自転車での避難がむしろ速くて有効であることもわかりますし、どのくらいの時間がかかるか実感できます。頭で理解するだけでなく経験しておくことが必要です。
何度も繰り返し自転車避難の訓練をしておけば、渋滞を回避して安全な避難所にたどり着くことの重要性も実感でき、本当に避難が必要になった時、自転車のことが思い浮かぶはずです。あとは、クルマがなくてもプライバシーが確保できるように、避難所にパーティションや簡易テントなどの装備を充実させることです。

国にもよるでしょうが、欧米などの避難所の設備は日本と比べ、各段に充実していると聞きます。滅多に使わない装備になったとしても、世界有数の災害大国である日本の避難所の設備が、お粗末なままなのは道理に合いません。避難生活の厳しさも理解されているのですから、この点は早急に改善すべきでしょう。
いずれにせよ、日本が災害大国という事実は変えられません。災害があるかも知れないのではなく、いつ来るかの問題です。忘れた頃どころか頻繁に起きている国なのですから、自転車の活用も含め、備蓄や設備の充実、避難方法の徹底など、できることを早急に進めていくべきではないでしょうか。
◇ 日々の雑感 ◇
事実上の選挙戦が始まりました。短期間で準備する職員も大変、雪国では投票所に行くのも大変となりそうです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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