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何かのニーズが生まれたり、技術開発によって可能になったりなどの背景から、新しいアイテムが誕生することがあります。こちらの製品は、ベルギーのプロの自転車競技の選手、Bjorg Lambrecht さんの事故死をきっかけに開発されました。
Lambrecht さんはツールドポーランドのレース中に、コンクリート製の暗渠に衝突し、22歳の若さで亡くなりました。プロのレースでは時速70キロものスピードが出ますが、事故に遭った時、ヘルメット以外には身体を保護するものがありません。彼の死をきっかけに、
Aerobag 社が設立されました。

この会社の製品、その名も、
Aerobag は、レース用のビブスと一体化したレーサー向けのエアバッグです。センサーが衝突を検知すると、取り付けられたCO2カートリッジがTPUエアバッグをわずか0.002秒で膨張させます。このエアバッグで首や胴体、脊椎、臓器などを保護しようというわけです。
重さは約500グラムで、一度開いてしまっても、新しいCO2カートリッジを取り付ければ、再び使うことができます。すでに生産準備に入っており、選手が個人で購入するのではなく、既存のジャージなどに統合される構想になっており、アパレルメーカーとの提携が進められています。

オートバイ用に、似た発想のジャケットなどは売られていますが、プロの自転車レーサー用のエアバッグは新しい製品です。実際にレースで使われるようになるかは今後の展開次第なのでわかりません。もちろんレーサー用なので、同様のものが一般のサイクリスト向けに普及するかは未知数です。
ちなみに、ヘルメットの代わりをするエアバッグもあります。ヘルメットをかぶらなくても、首に巻いたりバッグパックを背負えば、事故の時に瞬時に膨らんで頭部を保護します。ヘルメットのように頭が蒸れたりしませんし、ヘルメットも必要な時だけ機能すればいいと考えれば、一定のメリットはありそうです。

ただ、何社かが製品化しましたが、倒産する会社もあったりなど、あまり売れているとは言えないようです。ニーズがあるからと言って、それが普及し使われるかどうかは、また別の話ということなのでしょう。クルマのエアバッグは標準的な装備として普及していますが、それ以外のエアバッグ製品の販売はイマイチのようです。
衝突時に瞬時に膨張するエアバッグの技術、被害の軽減効果は、クルマに搭載されてその有効性が立証されています。使ったことのある人は多くないと思いますが、存在は多くの人が知っています。この技術を他に応用しようと考える人が出るのは自然なことと言えるでしょう。

ところで、あのフォード社の創始者・ヘンリーフォードは、消費者は自分が欲しいものを知らないという趣旨のことを言ったといわれています。もし当時、人々にどんな移動手段が欲しいか尋ねたら、もっと速い馬が欲しいと答えただろうという話です。
今までに無い製品は、普通の人は思いつかないわけで欲しがるはずがありません。ただし、今までに無かったからといって、それを創ってみせれば欲しがるとも限りません。世界初の量産車と違い、エアバッグは既によく知られた技術をベースにしているのに、それもアピールにはならないのでしょう。
その意味からすると、こちらのエアバッグも、実現出来たからといって欲しがる顧客がいるのか、個人的には疑問を感じます。次世代のデザインエンジニアを称え、育成、支援するための国際エンジニアリングアワードとして有名な、
JAMES DYSON AWARD2025にエントリーしたアイディアです。
“
Project REBIRTH”と名づけられた作品で、航空機用のエアバッグです。でも、機内で膨らむものではありません。Aerobag と同様に、エアバッグで囲うことで衝撃を和らげ、航空機内のすべての人命を救おうというものです。言葉では伝わりにくいですが、画像を見ていただければ一目瞭然でしょう。
最初に見たとき、失礼ながら笑ってしまいました。何かのギャグかと思ったのです。しかし、上述のようにアワードに応募した作品であり、至極まじめなアイディアです。技術的には可能なのかもしれません。ただ、本当に実現するのだろうかと首を傾げるのも確かです。
真面目に考えても、航空機を覆うようなエアバッグならば、相当の重量になりそうです。万一の時、衝撃を吸収するのに役立ったとしても、航空機事故の起きる確率から言って、これが使われるのは稀れであり、そのために装着しておこうと航空会社が考えるかという問題があります。

航空会社は、少しでも機体を軽くしたいと考えます。最近、アメリカで肥満症治療薬が大ヒットし、使う人が増えたせいで、乗客を含めた航空機の重量が軽くなっているといいます。このおかげで燃費が改善し、航空会社の収益が伸びたと報告されています。それだけ重量にはシビアです。
航空機の大きさ・重量と衝撃の大きさに耐える素材で、相応に大きなエアバッグになりますから、起動装置なども含めて相応の重量になるでしょう。航空機に搭載されるでしょうか。例え技術的には衝撃を和らげることができたとしても、エアバッグのヘルメットと同じで、どの会社もが使うようになるとは限りません。

消費者は自分が欲しいものを知らないのは確かとしても、今までにない新発想・新機軸が示されたからといって欲しくなるとは限りません。新しいものを創り出す人たちには敬意を表しますが、発想やアイディアがよかったとしても、技術的に優れていたとしても、実際に売れるかどうかは、なかなか期待どおりにいかないと言えそうです。
◇ 日々の雑感 ◇
高市人気で自民単独過半数の勢いだそうです。高市首相の思惑通りとなり政権基盤は安定するのでしょうが、今までの与野党伯仲で自民党が譲歩し、ガソリン減税や手取りを増やす政策などが進展した構図は崩れそうです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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