February 14, 2026

被害軽減は根本解決ではない

自転車の事故防止を考えている人たちがいます。


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言うまでもないことですが、世界全体で毎年多くの交通事故が起き、人命が失われています。そして、より脆弱な立場にいる自転車利用者や歩行者が多く事故の犠牲になっているのも確かです。この状況は改善されるべきであり、変えていかなくてはと考えている人は世界中にいます。

台湾の電子機器メーカー、Terasilic 社のCEO、Shih-An Yu さんもその一人です。彼は自転車の安全というと、ヘルメットや視認性を高める衣服などしかないのは、前時代的すぎると考えています。クルマの世界では、センサーやカメラ、IoTや運転支援、自動運転やコネクテッドテクノロジーが進化しているのと対照的です。

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そもそもヘルメットは事故を防ぐ道具ではないと彼は指摘します。不幸にも事故に遭ってしまった場合、頭部への被害を軽減するのに役立つ可能性があるだけです。事故を防いだり減らすことは出来ません。交通安全のためにヘルメットを着用しましょうと日本でも呼びかけられていますが、被害の軽減と事故の防止は違います。

自転車やマイクロモビリティなどは、生身の身体がむき出しになっているぶん、事故に遭ったら深刻な被害は免れません。クルマはボディに守られていますが、多くの自転車やマイクロモビリティにはそれがありません。自転車で事故の被害を軽減するのは難しいため、事故を防いだり、回避する必要があります。



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クルマの世界では近年、急速に技術が進歩しています。カメラやレーダー、センサーなどで周囲を検知し、衝突軽減ブレーキ、車線維持支援、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などでドライバーの運転をサポートする先進運転支援システム、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)と呼ばれるような技術です。

なるべく交通事故が起きないことを目指し、事故の発生の可能性を減らすためのものと言っていいでしょう。さらに近年はクルマの自動運転に向けて、IoT、5G、AIなどの技術を使い、クルマをネットに接続して遠隔監視や制御、安全性を向上させる技術基盤も急速に進歩しています。



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こうした技術を自転車にも使うべきだと考えているのです。Terasilic 社は、特にミリ波レーダーなどを使って、自転車走行の安全性を向上させようとしています。それは、ヘルメットのような衝撃保護ではなく、事故の回避を志向しています。これこそが根本的な交通安全につながるのは明らかでしょう。

ヘルメットは不要とか、着用するなと言っているわけではありません。しかし、ヘルメットでは事故を防げません。事故を起こさせない、回避するための仕組みが必要であり、特に生身の身体をさらしている自転車には、当然あってしかるべきです。その技術はクルマ用の技術革新により、十分可能になってきているというのです。



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Terasilic 社はコンシューマー向けではなく、クルマで用いられているようなグレードのレーダーモジュールをOEMで供給し、レーダーインテリジェンスを自転車に導入することに注力しています。現状で自転車の世界では、主に事故の被害軽減しか考えられていませんが、事故の防止に転換していくべきと訴えています。

今後3〜5年以内に、このような自転車の事故防止、アクティブセーフティは差別化要因から必須要件へと移行すると見込んでいます。自転車に加えて、マイクロモビリティの市場も拡大していますが、そこにも事故防止に寄与する機器が装備されていくようになると考えています。



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アイルランドのスタートアップ企業、Luna Systems 社も自転車や二輪、マイクロモビリティ用のAI 駆動型カメラや安全のためのハードウェアの生産を拡大するため、最近150万ユーロの資金を調達しました。Luna 社もクルマ業界で発達・採用されている、ADAS技術を自転車の世界でも役立てることを目指しています。

クルマ業界でのADAS技術の普及でコストも大きく低下しつつあります。自転車にも流用するチャンスです。事故防止に使えるのであれば、使わない手はありません。最近はAI も急速に進歩していますから、周囲を確認できるだけでなく、危険を察知し、それを警告して回避させるようなことも出来るでしょう。

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例えばクルマを運転している時、左右のミラーやルームミラーが無かったら、右左折したり出来るでしょうか。自転車にもミラーがあれば便利です。それも物理的なミラーではなく、カメラを使った確認装置がベターです。クルマにはミラーのような原始的装置だけでなく、ADAS技術を使った先進装置が装備され始めています。

もちろん、使うかどうかは利用者の判断ですが、自転車にも周囲の確認だけではなく、乗り手の危険を察知して警報してくれるインテリジェンスな装置を取り付ける選択肢があるべきと考えています。クルマより本質的に脆弱な自転車にこそ、より先進的な技術を搭載したシステムを搭載すべき、あってしかるべきだというわけです。

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それはミラーのように周囲の状況を確認するだけではありません。大型車両の死角に入った際に警告を発したり、後方のブラインドスポットを検知したり、後方車両の接近を検知する機能もあります。単なる景色ではない安全のための情報を提供する装置です。その有効性が認知されれば利用する人も増えていくに違いありません。

さらに、街中のどこで事故が発生しているかデータを収集し始めることが出来ると考えています。これは、すぐには実現しないかも知れませんが、将来的に事故を予測して防止するようなシステムにも発展するでしょう。特にヨーロッパの自転車利用率の高い地域ではデータ蓄積が見込めます。



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まだ自転車の装備として能動的な事故の防止・回避という考え方は浸透していませんが、こうした製品は、その重要な第一歩になると考えています。すでに、まだ初歩的なものですが、後方カメラなどを搭載するサイクリストも出てきています。こうした機器が急速に普及していってもおかしくはありません。

全世界の交通事故による死亡者数の4分の1以上は自転車利用者と歩行者です。いま現在、自転車の事故防止は前時代的なものでしかありませんが、新しい技術を使えば、その安全性が大きく向上する可能性があります。ヘルメットのような被害軽減ではなく、本当の意味での事故防止、事故の回避が考えられ始めています。





◇ 日々の雑感 ◇

スノーボードハーフパイプ男子で戸塚優斗選手の金メダル、山田琉聖選手の銅メダル、平野流佳選手の4位も立派ですが、複数個所の骨折を押して出場し7位入賞の平野歩夢選手の健闘も大いに称えるべき結果と思います。

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