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日本人の死因上位を占める三大疾病、がんや心筋梗塞、脳梗塞といった病気ばかりではありません。あまり罹患を意識していないような病気もあります。例えばパーキンソン病は手の震え、動作や歩行の困難など運動障害を示す神経変性疾患で、指定難病のひとつで完治が難しいとされる進行性の病気です。
ボクシングの元世界ヘビー級統一王者のモハメッド・アリさんや、バックトゥザフューチャーで有名なハリウッドスターのマイケル・J・フォックスさん、日本の放送作家、作詞家でテレビやラジオでも活躍した永六輔さんなど、著名人が罹患を公表したことでも知られています。

50歳以上で発症することが多く、日本では人口1000人に1人〜2人程度とされています。アルツハイマー型認知症との合併例も多く、脳や中枢神経系に悪影響が及ぶ神経疾患です。ドーパミンを出す神経細胞が徐々に減っていくとされ、それを元に戻すような治療法はまだ確立されていません。
そのパーキンソン病について、“
Medical News Today”に最近興味深い論文が掲載されました。クリーブランド大学病院医療センター神経研究所の研究教育センター所長で医学博士の、Aasef Shaikh 教授らによるもので、
サイクリングが、パーキンソン病によって損傷を受けた神経結合の回復に役立つ可能性があるというものです。

このブログでも、自転車が同じ脳の病気である認知症の予防や進行の抑制に役立つといった研究について、いろいろ取り上げてきました。ただし、ここで注意したいのは、サイクリングがパーキンソン病の予防や進行を遅らせるのではなく、『回復に役立つ』という点です。
もちろん、サイクリングだけで治癒すると言っているわけではありません。今後の研究の進展も待つ必要がありますが、完治が難しいとされる進行性の病気で進行の抑制でなく、『回復に役立つ』とは希望が持てる結果ではないでしょうか。しかもこの効果は、4週間、わずか12回のサイクリングセッションを行っただけで確認されました。

素人が医学的な内容に踏み込むのは控えますが、運動による脳の変化、可塑性のメカニズムは、大脳の基底核にあるのではなく、その外、固定受容感覚系や小脳にある可能性が高いとこの研究では指摘しています。一度乗れたら、何十年乗らなくても自転車に乗れる仕組みは小脳にあるそうですが、それとも関係があるのでしょうか。
パーキンソン病患者にとって、運動が有効であるとの研究は数多く存在しています。ただ、運動が脳にどのように作用するかは、よくわかっていません。この疑問に答える非常に有望で独創的な研究なのだそうです。そして、それが測定可能な脳信号の変化として見られたことが画期的な結果です。

病気によって損傷した脳の部位が、運動によって再び活性化するといっても短期間で病気に有効な結果が得られるわけではありません。長期的に続ける必要があるのでしょう。しかし、その可塑性が計測、つまり、運動を止めてもすぐそれが戻らない、不可逆的な形で役立つということが示唆されたのは朗報と言えるでしょう。
ところで、脳の病気ということでいえば昨今、うつ病や不安症などのメンタルヘルスの問題が増加しています。とくに子どもからZ世代など青少年のメンタルヘルスが多くの国で問題となっています。理由としてスマホやSNSが深刻な影響を与えていることが指摘されています。

いま世界各国で子どものスマホやSNSの利用を制限しようという動きが出ています。もちろん不適切なコンテンツへのアクセスや、詐欺や犯罪に巻き込まれる危険、ゲームやギャンブルなどの依存、いじめ、盗撮、過剰な課金、他の人のインスタなどを見て彼我の差に悩み、うつや自死につながるなど多くの問題があります。
しかし、それだけではなく、スマホやSNSの利用で子どもの脳そのものが危険にさらされていることが問題とされているのです。TikTokなどの動画を延々と見てしまう状態には大人でも陥りますが、脳の重要な発達段階にある子どもや青少年の場合、深刻な脳へのダメージになるというのです。

脳の前頭前野の機能低下、集中力や忍耐力の減退、目標に向けて努力する力を失うなど、脳が大きなダメージを負うことが明らかになってきました。とくに若い世代の脳の発達が阻害されることは、人間としての能力が破壊されることになり、人類の危機だと警告する専門家もいます。さらに最近は生成AIの影響も多大です。
こうした深刻な影響が明らかになりつつあり、スマホやSNSの年齢制限という議論に拍車をかけています。「スマホ中心の子ども時代」を避け、子どもに屋外で自由に遊ばせる機会を増やす必要性が真剣に議論されているのです。スマホ中心で育った子どもは社会の一員となる根幹的な能力を育めない可能性も指摘されています。

多くの国の子どもや青少年の世代で、不安症やうつ病などの脳の病気、精神疾患が増えていると言います。脳へのダメージが蓄積しているのも間違いないでしょう。スマホやSNSの利用をある程度の年齢まで抑制すると共に、すでにダメージを負った脳を回復させ、その健全な発達を促す必要があります。
これまで、自転車は認知症やメンタルにも効くという研究を多々取り上げてきました。パーキンソン病とは少し違いますが、子供や青少年のうつ病やメンタルの問題、そして脳の機能低下からの回復にも有効でしょう。この世代に、スマホの制限と同時に、もっと自転車に乗らせるような施策を進めてもいいような気がします。
◇ 日々の雑感 ◇
大槌町の山火事はなかなか勢いが収まりません。今日予想されている雨で少しでも下火になればいいのですが。
Posted by cycleroad at 13:00│
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