May 03, 2026

自転車を活用できる町づくり

日本でも近年、自転車の活用に目が向けられています。


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一般的にはあまり知られていませんが、2018年には「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会」という団体が発足しました。当初は294の自治体でしたが、2025年10月の時点では、全国1741の市区町村のうち、419もの自治体の首長が参加しています。

山村や農村、漁村で、あまり自転車に縁のない自治体も多いですから、これは相当な数だと思います。日本全国、かなりの地区をカバーしています。極端に言えば、ある程度の人口を擁する自治体で、自転車の活用を考えていない自治体のほうが少ないのではないかと思うくらいです。

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自転車の活用を掲げることは悪くありませんし、言うだけなら簡単です。周囲に自転車の活用を掲げる自治体が増えている中、自分たちも宣言しなければ乗り遅れるとの危機感、あるいは横並び意識が働いているのかも知れません。とにかくたくさんの自治体が参加しています。

日本で自転車は気軽で身近な移動手段であり、台数だけでいえば有数の自転車大国ですから、多くの自治体がその活用に取り組んでいてもおかしくはありません。しかし、一部を除いて、どう自転車を活用して、まちづくりを進めているのか見えてこない自治体が多いのも確かではないでしょうか。

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インバウンドを含めた観光客を誘致したいという、自転車を前面に押し出した観光振興策にだけ目が向いている自治体も少なくないように感じます。しかし、その内容はお寒い限りであり、近隣の自治体もやっているからと形だけであり、どこが自転車活用なのか首をかしげたくなるようなものも少なくありません。

もちろん、有名なサイクリングロードがある自治体や、わかりやすくどこかを一周するような観光資源のある自治体など、それを広くアピールしようとしているところもあります。ただ、それはごく一部であり、ほとんどの自治体は、サイクリング目的で観光客が訪れるような市区町村ではありません。

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形だけと言うと語弊がありますが、駅前などに一部レンタサイクルを設置し、行楽ガイドを少し発行したくらいで、「自転車の町」を名乗っているような自治体も少なくありません。地元の住民ですら、自転車の町とアピールしているとを知らず、聞いて驚く人が多かったりします。

「自転車の町」などとアピールするなら、せめてもう少し自転車インフラの整備を進め、地元の住民の多くが自転車に乗り、自転車に乗りやすい場所だと実感するような町にすべきではないでしょうか。自転車向きの目立った観光資源が無いのに自転車による観光振興を目指すだけが『活用』ではないはずです。

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地元の住民が自転車に乗りやすいと感じ、実際に乗っている人が多ければ、行楽客も自転車の利用を考えるかも知れません。域内の観光名所を巡るなどのサイクリングツアーも成り立つ可能性があります。自転車客誘致ありきではなく、まず自転車に乗りやすくすることが、活用の前提ではないでしょうか。

そのためにはまず自転車インフラの整備が必要でしょう。それも、乗らない人が机上で考えたものではなく、実際に走りやすい、安全と感じられる、有機的につながっていて便利な自転車道のネットワークが求められます。それは交通事故を減らし、市民の利便性を向上させる、地方自治の本来の主旨にも合致するはずです。

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整備に加えてメンテナンス、維持管理も重要です。せっかくのインフラも、路面が凸凹だったり、草が生い茂っていたり、違法駐車スペースと化しているような残念な場所が少なくありません。せっかくインフラを整備しても、それがきちんと稼働するようにしなければ、宝の持ち腐れでもあります。

事故を誘発するような場所、実際に多発するような場所は改良も必要でしょう。明らかな不備があるのに、いつまで経っても放置されているような場所も存在しています。かえって走りにくい場所に遭遇することもあります。仏作って魂入れずではありませんが、きちんとメンテナンスしてこそ住民サービスと言えます。

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理想ばかり述べているようですが、それを目指している自治体もあります。これまでも、世界の例をいくつも取り上げてきましたが、今回取り上げるのは、アメリカ、ニューメキシコ州アルバカーキです。ここでは、自転車報奨金制度を導入しています。市民からの通報を受け付ける制度です。

自転車レーンの維持管理の不備、ゴミやひび割れ、穴、雑草などから、交通標識やライン、マーキングの改善、レーンへの違法駐車など、実際に通行していて問題と感じたことは何でも通報できます。ネットを通じての通報なので、実際の場所から写真を添えて提出することも簡単です。

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そしてその中から有益な報告をした人には、報奨金が支給されます。自分がふだん通る場所を改善してほしいというのは当然の動機ですが、さらに報奨金が支給されたら、報告のモチベーションにもなるでしょう。金額は25ドルと高くはありませんが、市民の声を聴こうとする姿勢は市の好感度アップにもつながるはずです。

これはアルバカーキに限りません。サンフランシスコでも同様の制度の導入が検討されています。今のところ違法駐車などの危険行為に対してだけですがニューヨークでも導入されましたし、オースティンも自転車レーンを塞ぐクルマに対する通報を受け付けています。少しずつ広がりつつあるのです。



日本では近年、下水道の老朽化から道路の陥没事故が起きていて、その点検や補修が急務となっています。しかし、下水道の点検は地下に潜って下水道の中を調べる必要があります。多大な手間と費用と時間がかかるでしょう。自治体にとっては頭の痛い問題です。

自転車レーンやサイクリングロードも同じインフラですから、維持管理のために点検しようと思ったら、地上とは言え、やはりそれなりのコストがかかります。人手も必要です。しかし、アルバカーキのような報奨金制度をつくれば、市民が日常の走行の中で点検してくれ、報告してくれることになります。

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後は素早くその場所に向かい、補修など必要な作業を行うだけです。いつも違法な路上駐車車両がいる場所なら、警察に取り締まってもらったり、取締り重点箇所として注意喚起などもできるでしょう。雑草が伸び放題ならば、それで見通しが悪くなって事故が起きる前に、素早く刈り取って防止することもできるはずです。

電力会社が漏電を防ぐため、電柱に作られたカラスの巣を素早く取り除くために専用のアプリを作って、市民からの投稿を募集し、ポイントなどのインセンティブを提供する例もあります。域内全ての点検を行うコストを大幅に削減できるからです。自転車走行環境の点検も十分に可能なはずです。

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実際に市民からの通報を受け付けている自治体もあります。有名なのは千葉県松戸市の、「すぐやる課」です。ちょっとした道路の補修から、ハチの巣の駆除、動物の死骸の撤去など、市民の苦情や要望に、すぐ応えるという課です。全国的にも知られるようになり、全国300以上の自治体の首長が賛同し同様の部署を設置しています。

点検の手間やコストが省けて、事故防止につながり、地元住民に喜ばれ、自治体のイメージアップにもつながります。自転車の乗りやすさにつながり、「自転車の町」を名乗っても、住民は納得するでしょう。このようにインフラを充実させ、そのメンテナンスを行き届かせることこそ、自転車の活用につながるのではないでしょうか。





◇ 日々の雑感 ◇

ゴールデンウイークで自転車で出かける人もあるでしょう。天気があまりよくない日もありそうなので注意ですね。

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