.
.
.
.
.
自転車が絡む交通事故の多発、非行の入り口となる自転車盗、あふれる放置自転車の問題などいろいろあります。最近は普及が著しい電動アシスト自転車、e-bike によるバッテリー火災の問題もそうでしょう。日本では、比較的少ないですが、世界的には多くの都市で社会問題になっています。
このブログでは何度も取り上げましたが、リチウムイオン電池の熱暴走による火災は消火が困難であり、人が死傷する火災が多発しています。欧米では盗難防止の観点などから、自転車を室内保管するのは珍しくありませんが、夜間これが発火して火事になるわけです。玄関付近に置く人が多く、逃げ道をふさぐ形になるのも問題です。

原因は、純正でない格安・粗悪、劣化したバッテリーの利用、温度が高くなる場所での充電、落下させたり水に濡らしたりしたバッテリーの利用などが挙げられます。バッテリーだけ盗んでネットで売りさばくような犯罪が蔓延し、盗まれた人が高価な純正品ではなく、非純正や中古などを購入しがちなことも要因とされています。
各国・各地域で対策も進められています。条例で禁止するなどして粗悪品の流通を阻止しようとするところもありますが、個人売買のフリマサイトまで規制するのは困難です。バッテリーだけを盗むのは簡単で、格安品の需要が高くて換金しやすく、窃盗犯にとって効率がいいことも要因でしょう。

ニューヨークなどでは、フードデリバリーの配達員の自転車の発火が多いため、フードデリバリー業者に対して規制して、純正バッテリー搭載の自転車を供与させたり、配達員が家で充電しなくて済むよう、街角に充電ステーションを設けたり、いろいろな対策をしています。
ほかにも対策は進められていますが、なかなか根本的な解決策はないのが現状と言えるでしょう。正規品を使っていても、つい落としたりすることはあります。しばらくは普通に使えているのが、ある日突然発火して火事になったりするのも厄介です。そんなバッテリー発火問題ですが、新たな動きもあります。

eバイクの寿命が2倍に、次世代「半固体電池」を搭載するRevv1 EVO
eバイク(電動自転車)に乗っている人なら、それを所有する上で大きな悩みの1つが、長いバッテリーの充電時間であることを知っているだろう。筆者のeバイクは、充電に通常6時間ほどかかる。私は2台所有して使い分けているが、こうした運用は一般ユーザーには非現実的だろう。50〜70kmほど走ったら、リチウムイオンバッテリーをフル充電するために、夜通し充電器につないでおく必要がある。
しかし、もうそんなこともなくなる。米国カリフォルニア州を拠点に電動自転車の製造・直販を行うRide1Upは、先日発表した「Revv1 EVO」というモペッド型のeバイクに、蓄電において大きな飛躍となる「半固体電池技術」を導入した。これは一般的な使用者に、より長い耐用年数、より速い充電、そして安心感という3つの利点をもたらすことを意味する。
eバイクの所有において、これまで最も重大な障害はバッテリーのサイクル寿命(バッテリーの残量がゼロの状態から100%まで充電し、それから再びすべて使い切るまでの充放電の流れを1サイクルと換算し、それが何回可能であるかを示す指標)だった。eバイクに搭載されている多くの一般的なリチウムイオンバッテリーは、500回ほど充放電を繰り返す(500サイクル)と、満充電する能力が劣化する(電池容量が低下する)。しかし、この次世代の半固体電池は、その限界を打ち破り、容量が低下するまで1200サイクル以上の充放電が可能だ。
つまり、一週間に2回ほどeバイクを充電する人であれば、現在の標準的なバッテリーなら4〜5年で容量が低下し始めることが予想される。それと同じ条件で、Revv1 EVOは10年以上の期間、電池容量を維持できるように設計されている。実質的にバイクの寿命が2倍になると考えれば、長期的には賢明な投資となるはずだ。
さらに、従来のバッテリーは、物理的な損傷や極度の高温に弱い傾向がある。半固体電池技術は、バッテリー内部の化学反応を変え、安定性が大幅に向上する。Revv1 EVOのバッテリーは厳密な試験をクリアしている。乗り手にとって、これはバッテリーが過熱・発火する危険や、日常的な通勤やトレイルライディング(山道や未舗装路を走破するスポーツ)で受ける衝撃や振動による悪影響が、はるかに少ないということを意味する。これにより、ガレージに保管する際の安心感も格段に高まるだろう。
我々は、デバイスが使いたい時にいつでも使える状態にあることを求める世界に生きている。バッテリーの急速充電には通常、トレードオフが伴う。充電速度が速いほど発熱が増し、それによって時間の経過とともにバッテリーの劣化が進んでしまう。
Revv1 EVOはそんな常識を覆す。先進的な温度安定性のおかげで、バッテリーの寿命を縮めることなく、わずか2時間の超急速充電が可能になった。朝の通勤後に充電を開始すれば、昼食前にはフル充電が完了している。
スマートフォンのバッテリーは寒い季節になると早く消耗することに気づいたことがある人なら、この半固体電池がより幅広い温度に耐性があることも知ってほしい。蒸し暑い夏の午後でも、身が引き締まるような冬の朝でも、このバッテリーの電力供給は変わらずスムーズで安定しており、残量低下の予測がしやすい。加えて、正確なバッテリー残量を表示するインテリジェントなバッテリー管理システムを備えているため、航続距離に対する不安も軽減されるだろう。私は自分が所有するeバイクで、坂道を登っている時や向かい風の中を走っている際に、バッテリー残量の表示が急激に数パーセントも下がってしまうことを何度も経験した。
このeバイクは、バッテリー技術が、我々のライフスタイルの要求に追いつきつつあることを示すものだ。Ride1Upは、より軽量で、より安全で、より耐久性が高いバッテリーを優先的に採用することで、今だけでなく将来的に、より快適に乗れるeバイクを提供する。最近、この種類のバッテリーが他のモデルにも搭載されるという話を耳にした。それらすべてのeバイクに試乗するのが楽しみだ。
Ride1Upは現在、米国向けにRevv1 EVOの先行予約を受け付けており(出荷は2026年8月開始予定)、価格は2395ドル(約38万円)となっている。(2026.05.13 Forbes Japan)

Ride1Up はアメリカのe-bike メーカーですが、世界最大の自転車メーカー、
Giant も開発や製品の投入に関わっており、今後自社ブランドの電動自転車にも搭載を始める予定だそうです。単なる一部企業の製品とか試作品ではなくメジャーなブランドの製品、そして市場全体へと普及が広がる可能性があります。
電動自転車や電動アシスト自転車は、この10年間でも大きく成長してきました。モーターが強力になり、ソフトウェアがスマートになり、価格は低下しました。しかし、最も重要な要素と言うべきバッテリーに関しては、容量を増やす動きはあったものの、基本的には変化していませんでした。

それが、リチウムイオン電池ではなく、半固体電池になるという大きな変化です。トヨタなどがEVへの搭載を計画している全固体電池とは違います。全固体は以前から次世代の電池として登場するとは言われてきましたが、クルマの世界でも全固体電池は、まだ時間がかかりそうです。半固体電池はその中間というべき製品です。
記事では半固体電池による性能面や利便性の向上を中心に書かれていますが、リチウムイオン電池が半固体電池になることによる大きなメリットが、発火の危険性の低下でしょう。これまでのように火災になるリスクが大きく減ることが期待されるのです。

リチウムイオン電池は、電解質が液体でした。しかし半固体電池は電解質がゲル状であり、強い衝撃を受けても液漏れしにくく、ショートの原因となる電解質の流出を防ぎます。仮にショートが発生しても、その周囲に強い保護膜を瞬時に形成し、防火壁のように働き、異常がバッテリー全体に広がる熱暴走を防ぐとされています。
半固体電池はリチウムイオン電池より寿命が長く、交換費用が低減されます。同じバッテリーを長期間使い続けることも可能になるでしょう。容量も比較的大きくなり、さらに充電時間が高速化されるため利便性が増します。寒冷地での性能も向上するため、これまで使いにくかった地域でも使いやすくなるとされています。

こうしたメリットが得られる上に、発火の可能性が減り安全性が高くなるとしたら、電動自転車の利用者にとっては大きな福音と言えるでしょう。現在のリチウムイオン電池と全固体電池の間であり、まだ完璧に安全とは言えませんが、今と比べてかなりのアドバンテージがあります。
今のところ課題は製造コストです。現状ではリチウムイオン電池より高いですが、量産されるようになれば安くなるでしょう。自転車以外にも半固体電池のモバイルバッテリーなどが登場してきています。航空機への持ち込みが規制されたり、電車での発火が報じられたりしていますので、全体として生産は増えると見込まれます。

今年後半にはアメリカの、Ride1Up だけでなく、Giant からのモデルも登場し、地元の台湾や欧州でも発売されることが予想されています。来年以降は他の地域や他のメーカーも追随すると見られています。電動スクーターなどの他の小型モビリティにも搭載が進むでしょう。2029年にはコスト面でも競争力を持つはずです。
半固体電池が普及すれば、電動自転車のバッテリー火災が完全に無くなるとは言い切れませんが、かなり改善していくことが期待されます。自転車による社会問題の一つが技術面から解決に向かい、利用者にとって火災のリスクが減る、少なくとも懸念が軽減することになりそうです。
◇ 日々の雑感 ◇
和平協議は継続し合意成立に数日と見通しが示される一方で双方が攻撃の応酬とも伝わるのが懸念されます。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(0)