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長い間、基本的な構造や形は大きく変わっていませんが、その素材や加工技術、パーツの工夫や改良によって進化しています。何十年もの間、自転車に乗っていなかった人が、最近のスポーツバイクなどに乗ると、おそらくその大きな進化に驚くのではないでしょうか。
ただ、一口に自転車と言っても、趣味のサイクリストが乗るスポーツバイクと、一般的な日本人が乗るママチャリとには大きな隔たりがあります。日本人の圧倒的多数は自転車と言えばママチャリのことだと思っていますし、その常識と、趣味のサイクリストの認識にも大きな違いがあるように思います。

ママチャリしか乗ったことがない友人と、たまたま通りがかった自転車ショップ、いわゆるプロショップと呼ばれるようなスポーツバイクの専門店に入ったことがあります。まず、スポーツバイクの想像を超える価格の高さに驚いていました。しかも、そのような価格の自転車を買う人が決して少なくない事実も衝撃のようでした。
部品やパーツの値段にもビックリしていました。例えばホイールの値段が、自分の乗るママチャリが平気で数十台買えるような値段がついていることが信じられないようでした。どこに、それほどの価格の違いがあるのか疑問だと話していました。気持ちはよくわかります。

フレームなどもそうですが、素材の違いやわずかな重量の差、加工精度、設計思想などで大きく価格が違ってきます。その違いに価値を感じる人がいるからこその値段であるわけで、それによってもたらされる効果に興味のない人、関係のない人にとっては、とんでもない高価格に見えるのは確かでしょう。
例えばホイールは重さや性能などによって、漕ぎ出しの軽さ、路面の追従性能、登坂時やコーナリングでのパフォーマンス、ハンドリングのレスポンスなどが大きく向上するとされます。これらにより、より速く走れるようになるでしょうし、ツーリングなどでの疲労軽減効果も期待できます。

ホイールのメーカーは、軽量性以外にも振動減衰技術とか、新素材の活用、リムなどの構造、空力効率、安定性、長距離走行時の快適性、速度向上性能、剛性と柔軟性とのバランス、などさまざまな革新性を訴えて新製品を発表します。そして価格は数千ドル、数千ユーロという価格になっています。
ところで、ホイールで言えば、性能の追求だけではなく新機軸を打ち出すメーカーもあります。例えばイタリアのブランド、
FASTEN です。同社は、
SWS(Switch Wheel System)と呼ぶシステムを開発しました。これは前後のホイールが互換性を持つため、相互に交換可能というものです。

ご存知のように、自転車の後輪にはスプロケットがついています。多段のギアで変速するための仕組みです。スプロケットは後輪の車軸に取り付けられているため、前輪と同じ大きさであっても取り付け幅が違いますし、前後を入れ替えることは出来ないのが当たり前です。
これを新しいシステムでは交換できるようにしました。すなわち、ギアをフレーム側に取り付け、ホイールは完全に前後で同じものにしたのです。ディスクブレーキのローターもフレーム側です。後輪の交換の際に、チェーンを気にする必要もなくなり、素早く簡単に交換できるのがメリットです。

後輪にスプロケットがついているのが当たり前だったわけですから、これは新しい形と言えるでしょう。なるほど素早く交換できそうですし、前後で互換性があれば、ロードレースなどでは有利に働くかも知れません。ユニークなシステムです。実はこのブログでは2021年の10月に既に取り上げています。
自転車は規格が決まっていて、部品は他のメーカーであっても互換性があります。しかし、このシステムだと、フレームの方も変えなくてはなりません。これは業界で初の試みですが、このホイールを使うには、フレームも専用のものが必要となるわけです。

この方式が圧倒的に支持されれば、フレームのほうも変わっていく可能性はあるでしょう。しかし今のところ、このホイールメーカーの新機軸に付き合うフレームメーカーは現れていないようです。そこで今般、同社は新しいシステム用のフレームも開発し自社で販売することにしたようです。
こうした新機軸を打ち出すのも、自転車のシステムの改良ということにはなりますが、業界全体を巻き込むには、それなりのメリット、誰もが認めるような恩恵が必要でしょう。前後輪に互換性を持たせ、ホイールの交換を素早く簡単にすることが、どれほどの価値と判断されるかによるわけです。

ちなみに、スポーツバイクの場合、クイックリリースという機構があり、簡単にホイールごとタイヤを外すことが出来ます。前後輪互換ではありませんが、この機構のおかげでパンク修理などが簡単に出来ます。パンク修理だけでなく、タイヤチューブの交換も簡単です。
しかし一般的なママチャリの場合、この機構を採用しておらず、タイヤが外せません。全く出来ないとは言いませんが、非常に手間がかかる構造になっています。ネジを外すだけのように思えますが、それが簡単には出来ないようになっています。じっくり観察してみるとわかります。
このため、ママチャリのパンク修理は簡単ではありません。タイヤを取り付けた状態のまま、パッチを貼って修理は出来ますが、チューブの交換は非常に困難です。交換する人がほぼいないのでパーツも高めですし、手間賃を払うと相応の値段になってしまい、下手をすると自転車を買い替えたほうが安くなってしまいます。
このことが、ママチャリを修理・メンテナンスしながら乗り続けることの大きな障害となっており、ママチャリを使い捨てのようにする人を増やす結果となっています。パンクしたら駅前などに放置する人も少なくないと言われ、撤去移送しても、持ち主が取りに来ません。

コストダウンのためにクイックリリースを採用せず、固定にしているのでしょう。しかし、この点を改めれば、パンクしても簡単に修理・交換できるようになり、自転車の使い捨てが減るに違いありません。こちらは既に規格になっているわけで、フレームを専用のものにする必要はありません。
放置自転車を減らし、廃棄物を減らし、資源の節約・環境負荷の点でも大きな効果となるでしょう。この改良は十分に可能なのに一向に行われていないのは残念です。これを採用しても、それほど大きな価格の上昇にはならないはずです。一方、修理や交換が簡単になって、頻繁に買い替えずに済むので選ぶ人も増えると考えられます。

ママチャリに乗る人は、クイックリリースのことを知りません。私の友人も知りませんでした。このへんの知識の欠如もあると思いますが、知ればそれを選ぶ人も出てくると思います。ぜひママチャリメーカーは、社会的な意義も考え、前後輪ともクイックリリースを搭載したママチャリを発売してほしいものです。
◇ 日々の雑感 ◇
関東などでも季節外れの真夏日続出ですが、来週は台風が接近し下手をすれば列島縦断です。用心ですね。

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Posted by cycleroad at 13:00│
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