July 08, 2026

自転車をプラットフォームに

自転車の団体はいろいろあります。


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各競技団体はもちろんですが、自転車の活用を推進するとか、自転車の交通安全を進める、自転車で健康増進を目指す、インフラの整備を訴えるなど、いろいろな活動をする団体が多数存在しています。国際的にも、自転車を提供することで移動や貧困からの脱却を支援するNPOなども複数存在します。

国によっては自転車に乗る女性の人権を主張したり、歴史的な自転車を保存したり、自転車の安全な乗り方を啓発したり、自転車にのる楽しさを広めたり、自転車の修理やメンテナンスを教えるなど、さまざまな目的を持った団体があります。自転車イベントを開催したり、人々が楽しむ機会を広げる団体も無数にあります。

Bike for PeaceBike for Peace

その中で、こちらは少し毛色が変わっています。“Bike for Peace”、「平和のための自転車」という団体です。世界平和を希求する団体はたくさんあります。自転車関連の団体も無数にあります。しかし、自転車と平和を結び付けた団体というのは、ほかに聞いたことがありません。

Bike for Peace”はノルウェーを拠点とする平和団体です。世界中で平和のためのライドイベントを企画したり開催したりしています。他の多くの平和団体と連携したり、教育機関などとも協力し、世界平和、非暴力、紛争の解決、そして核兵器の廃絶に関する活動を推進しています。

Bike for PeaceBike for Peace

平和の実現を目的にする思想は理解できます。しかし、それと自転車を結び付けているのがユニークです。世界平和を実現するためには、唱えているだけではダメです。多くの人々の賛同を得て、平和のための活動を実行し、そこに多くの人に参加してもらい、世界に広げていかなければなりません。

そのために使うのが自転車なのです。“Bike for Peace”は、世界中で平和のために講演やワークショップなどを行っています。また各地で自転車のライドイベントを開催し、多くの若者たちに簡単な手順で地域の平和活動に参加する場を提供したり、その考え方を広げているのです。



Bike for PeaceBike for Peace

年齢、性別、身体状況に関わらず、すべての人にとって社会的かつ健康的な活動としてサイクリングを推進することに力を入れています。同時にそれは平和のための自転車イベントでもあるのです。いわば、平和活動を進める方法の一つがサイクリングということになるでしょう。

彼らは、自転車を平和のためのプラットフォームとして使うと表現しています。もちろん、講演やワークショップ、あるいはデモ行進なども考えられますが、ライドイベントであれば、老若男女が参加しやすいですし、関心を集め、サイクリングを楽しむことが平和の大切さをアピールする活動にもつながるというわけです。

Bike for PeaceBike for Peace

世界平和は普遍的なメッセージですが、それとキャンペーン活動に参加するかは別の話です。ただプラカードを持って通りを行進するだけでは、必ずしも参加意欲やモチベーションが続かないでしょう。タイムリーで注目の集まるテーマなら別ですが、世界平和はそのメッセージ単体では、もはや珍しくもありません。

そこでライドイベントなどを使って、参加者を集め、サイクリングを楽しみながら、平和を追求する行動に結びつけているのでしょう。なるほど、なかなか上手い方法かも知れません。こうした活動を通して、国家レベル、世界レベルで、平和の実現へのムーブメントを広げていこうとしています。



“Bike for Peace”は、地域や国家、言語や文化を超えて、平和のために活動しています。世界の人々には言語をはじめ、文化や習慣などさまざまな違いがありますが、自転車に乗るという行為は同じです。たとえ言葉が通じなくても、一緒にサイクリングを楽しむことが出来ます。その点でも持ってこいの手段と言えそうです。

一般的なライドイベントだけではなく、ユーラシア大陸を横断する総距離、11,470kmにも及ぶツアーなども企画しています。通過する各国で、それなりに脚光を浴びたり、報道されたりもするでしょうから、格好のアピールになるでしょう。徒歩やバスで移動するのとは違い、自転車がうってつけなのも間違いありません。

Bike for PeaceBike for Peace

アメリカ大陸横断もしましたし、1978年以来、“Bike for Peace”は世界125カ国以上で平和と友好のためのサイクリングイベントを開催しています。さらにツアーの途中では、前のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世、今のローマ教皇フランシスコとも面会しています。

ソ連の元事務総長アンドレイ・グロムイコ氏、元国連事務総長ブトロス・ブトロス・ガーリ氏、ミャンマー国民民主連盟のアウンサンスーチー氏など、数々の著名な政治、宗教、文化の指導者とも面会しました。もちろん各地で、各国の市民との交流もしています。



Bike for PeaceBike for Peace

“Bike for Peace”は核兵器廃絶も訴えています。2024年のノーベル平和賞を受賞した日本被団協の人たちとも面会したり共同で講演会などを開いています。実は、まだ実現していませんが、“Bike for Peace”自体が、これまで幾度となくノーベル平和賞にノミネートされてきているのです。

核兵器反対の運動と世界各地の紛争に対する非暴力的な解決策の模索といった活動が評価され、2015年にはガンジー財団国際平和賞を受賞しています。また、2023年には、平和と軍縮の推進活動が認められ、国際平和機関(IPA)の“Sean MacBride Peace Prize”(ショーン・マクブライド平和賞)を受賞しました。

Bike for PeaceBike for Peace

“Bike for Peace”はノルウェーを拠点とする団体ですが、ノルウェーと言えば、ノーベル平和賞を授与する主体です。しかし同時にNATO加盟国であり、その核の傘にある国でもあります。当然ながら核については論争がありますし、そのジレンマに悩まされる面もあります。

ただ、そうした背景とは別に、“Bike for Peace”は平和、軍縮、核兵器の無い世界を一貫して訴えています。バイクライドでは、核保有国であるロシア、中国、アメリカ、イギリス、フランス、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の9カ国に対し、核兵器を廃棄するよう訴えています。



現状で核兵器を放棄させるのは困難でしょう。相互確証破壊(MAD)という議論もありますし、実際に多くの核兵器が存在します。しかし、核兵器が存在する限り、いつか必ず使われると懸念されています。核兵器の使用確率がゼロであると答えた専門家は一人もいません。

核廃絶は遠い道のりかも知れません。権威主義的な国もありますから、廃棄させることは不可能にも思えます。しかし、“Bike for Peace”は世界の人々に核廃絶運動を広げ、大規模なネットワークを構築したいと考えています。政治的に難しくても、多くの人々の総意が集まれば状況を動かす可能性もあるでしょう。

Bike for PeaceBike for Peace

同時にあらゆるテロリズムに反対し、テロや戦争で負傷した人、中央アジアなどでの核実験で被爆した人を支援することも目的としています。こうした活動を広げていくための手段が自転車なのです。「私たちは自転車で戦争に反対し、核兵器に反対します。自転車はそのためのプラットフォームです。」と述べています。

こうして見てくると、平和と自転車が結びつくことに違和感がなくなってきます。たしかに活動の手段として有効でしょう。自転車のための団体はいろいろありますが、何かのために自転車を使うという視点もあっていいと思います。案外、いろいろな活動に自転車という手段は使えるかも知れません。





◇ 日々の雑感 ◇

スポーツに介入したトランプ大統領は何をかいわんやですが、FIFAもどうにかするべきなのではないでしょうか。

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