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ご存知のように二大政党制なので、政権交代が起きると政策が大きく変わります。人事も連邦政府の高官にとどまらず、ワシントンにいる政府職員、ロビイスト、シンクタンク関係者、政策アナリストなどもごっそり入れ替わり、全く別の政府のようになってしまいます。
前の民主党のバイデン政権から共和党のトランプ政権への交代は、いつもに増して政策の転換の度合いが激しいようです。前政権が重視していた脱酸素政策の転換とか、相互関税などの通商政策、NATOからの脱退を匂わす外交・安全保障政策など枚挙にいとまがありません。
特にトランプ大統領は、民主党の政策をことごとく否定し、批判し、覆してきました。今のイラン戦争だって、オバマ政権が結んだ核合意を否定して脱退したのがきっかけになっています。アメリカ第一主義を掲げ、移民に寛容だった前政権とは打って変わって排斥するような動きになっています。
自由貿易の旗手だったアメリカが、それを放棄するどころか保護貿易に転換したり、グリーンランドの領有を主張したり、ベネズエラへの軍事作戦で政権転覆を図るなど、世界中を混乱させるような政策も少なくありません。もっとローカルな部分での政策変更もあります。
今月7日にトランプ政権のショーン・ダフィー運輸長官が発表したのは、自転車専用レーンの設置をやめ、バイデン政権時に元々割り当てられていた予算を、道路や橋の建設に振り向ける変更です。道路や橋などのインフラに予算をつけるのは否定しません。しかし、自転車レーン設置をやめて振り向ける必要はあるのでしょうか。
ダフィー長官の発表によれば、バイデン政権がつけた予算17億3000万ドル、日本円で2800億円を振り向ける理由は、これが、DEI自転車レーンだからだと言うのです。DEIとは、“Diversity”(ダイバーシティ、多様性)“Equity”(エクイティ、公平性)“Inclusion”(インクルージョン、包括性)の頭文字です。
DEI自体はおかしなことではありません。日本でも重視する企業や団体も増えています。ただアメリカ・トランプ政権ではDEI施策を目の敵にするような傾向があります。2期目の就任早々、トランプ大統領は、連邦政府のDEI施策を終了する大統領令に署名しました。
たしかに、行き過ぎたDEIの推進には疑問も呈されます。例えば大学入試において人種を考慮した措置がとられたり、マイノリティの比率を高めるためのプログラムを実施するなどは、過度にマイノリティを優遇する行き過ぎた公平性であり、マジョリティに対する逆差別だという不満です。

こうしたDEIの推進への批判はありますが、やはり前政権の政策の否定ということでしょう。アメリカの大企業の中には、これまで推進してきたDEIを一転して縮小するところが相次いでいます。トランプ政権が、DEIを嫌うのは移民政策や白人至上主義的なイデオロギーもあるのでしょう。
そして、根元にあるのは民主党に対する敵対心です。前のバイデン政権が推進してきた政策だからこそ、対抗としてそれをひっくり返したわけです。他の政策と同様、民主党やバイデン前大統領、オバマ元大統領が大嫌いなトランプ大統領は、ことごとくそれらをひっくり返したいのでしょう。
実は、DEI自転車レーンとした背景には、バイデン時代のピート・ブティジェッジ元運輸長官が2021年、自転車専用レーンの整備に充てられる一連の助成金は「インフラの改善、サプライチェーンの強化、安全性の向上、公平性の促進、気候変動対策」に役立つと主張したことがあるのです。
「公平性の促進」以外は問題にならなかったのだと思いますが、自転車レーンにこの公平性という言葉を使ったがために、DEI自転車レーンだと槍玉にあげられてしまったようです。ブティジェッジ元運輸長官は当時の雰囲気で何気なく使ったのかも知れませんが、結果として予算は切られ振り替えられてしまいました。
報道陣の前で立ちゴケしてしまいましたが、自身も自転車に乗るバイデン前大統領は脱炭素政策の面でも推進していました。一方トランプ大統領は、脱炭素どころか石油を掘って掘って掘りまくれ!という人ですから、同じインフラでも、クルマ用に道路や橋に予算を振り向けるのは整合性がとれているとも言えます。
バイデン政権時代に建設が着手されている自転車レーンもありますが、今後の進捗、予算の確保は不透明と言わざるを得ません。トランプ政権もインフラ整備は重視しています。ただ、前運輸長官が入れてしまった文言のために、自転車インフラは目の敵にされてしまったようです。

アメリカ連邦政府は、自転車専用レーンの整備によって、道路がはるかに安全になることを公式に認めています。自転車利用者にとって、より安全で快適なサイクリングを実現するため、州および地方自治体は自転車専用レーンの設置を検討すべきであると、連邦道路管理局が以前、声明を出しています。
自転車インフラを整備することで、クルマとの接触、衝突、事故を軽減または防止する効果があることを述べ、クルマのドライバーのメリットとしても強調しています。にもかかわらず、トランプ政権で自転車専用レーンを槍玉にあげたのは、どちらかと言うと、都市部や少数民族の住む地域に恩恵があることも理由のようです。
つまり、民主党の地盤です。自転車レーンにまでこだわるのは、近づく中間選挙もあるのかも知れません。イラン戦争によりガソリン価格が高止まりする中で、むしろ自転車レーンの推進はメリットがあると思います。それほどまで民主党の否定にこだわるのは、アメリカの分断が激しくなっている証左とも言えそうです。
日本では、自転車レーンの整備がDEIと結び付けられて論じられることはありません。しかし、スペースが無いと言いながら、クルマの車線を削ってまで自転車レーンにする気はないようです。トランプ政権とは違いますが、クルマ優先の意識が働いているのは同じなのかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
トランプ大統領はW杯表彰式に参加してご満悦でしたが一方でイラン攻撃は拡大しキーウにミサイル40発です。
Posted by cycleroad at 13:00│
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