.
.
.
.
.
すでに公道上で実証実験が行われており、アメリカなど都市によっては自動運転タクシーなどのサービスも提供されています。法整備など社会的な面や、技術の高精度化などの課題はあるものの、交通事故の減少、バスや物流の人手不足への対応といったメリットも多く、今後も全面的な実現に向けて進んでいくでしょう。
その技術開発に各社がしのぎを削っています。それらには違いもありますが、周囲の状況を把握するためのカメラやセンサーなどの技術、状況を判断して地図データやGPSなども参照し、ハンドルやアクセル・ブレーキなどを操作するAIの技術などが必要なところになるのでしょう。
周囲の状況を探知して把握するために使われるのが、カメラや各種センサー、LiDAR(ライダー)などということになります。LiDAR は、レーザー光を照射し、その反射光が戻るまでの時間から対象物までの距離や形状を高精度に測定するリモートセンシング技術です。
ところで、その、LiDAR やカメラ、他のセンサー類を自転車に搭載する実験を始めたところがあります。
ドイツはデルフト工科大学の
研究チームです。“
TU Delft SenseBike”というプロジェクトを始めました。当然ながら、普通はクルマに搭載して自動運転の実験をするわけですが、このチームは自転車に載せています。

自転車を自動運転にするのは現実的ではないでしょう。クルマ用の技術を応用すれば可能だとは思いますが、必要な機器が多くなりますし、電力も必要です。相当の重力になりますし、安定して停止するためには3輪以上にする必要もあるでしょう。クルマに近づくわけで、自転車を自動運転にする意味が薄れます。
では、なぜ自転車に、LiDAR などを載せるのでしょうか。チームのサイトを見ると、公道上という交通状況下で自転車がどのように反応し、走行しているかのデータをとるためだとなっています。実は、自転車の走行データというのは圧倒的に少なく足りていないと言います。


交差点などに設置したカメラなどを使った交通量のデータはあるでしょう。しかし、個々の自転車走行の挙動や反応といった個別のデータはほとんどありません。例えば、自転車同士が行き会った時、そのスピードや距離、回避の反応やブレーキをかけるタイミングといったデータはないわけです。
自転車に乗っている人は無意識にでも反応しているわけですが、その詳細はなかなか説明できません。実際には相手を認識して、その挙動を把握し、とっさに回避動作をとったり、停止したりするはずです。しかし、いちいち考えていませんし、ケースバイケースで挙動も変わってくるでしょう。
相手の属性によっても判断や行動は変わってくるかも知れません。判断する人の経験や脚力、交通ルールの把握度などによっても違ってくる可能性があります。それをケースごとに細かく答えろと言っても無理です。そこで、実際にそういう状況になったときの客観的なデータを取得する必要があります。
自転車同士の動きだけではありません。同じ場所を通行するにも、人によって挙動は違うかも知れません。標識を見落としやすいとか、見通しが悪い、他のものに気を取られやすいなど、その場所特有の事情もあるでしょう。事故が多発する場所に隠れた原因が見えてくるかも知れません。


このような自転車の公道での走行データは、LiDAR などを使って、刻々の場所の状況のデータと個々の走行記録から取得するしかないわけです。これは自転車が走行しやすいインフラ整備などに役立つだけではありません。今後、自動運転を実現していく上でのクルマにとっても有用なデータとなるはずです。
人によって、同じような場所でも自転車での挙動が変わったりすることもあるでしょう。自動運転のクルマに、自転車の反応のデータを学習させれば、より安全な動作が期待できそうです。自動運転のクルマを含めた近未来の交通インフラ全体にとって、今後重要なデータの一つになってくる可能性があります。


自転車に、LiDAR 搭載と言うと、怪訝に思う人は多いと思いますが、そう考えると今までデータがなかったほうが不思議に思えてきます。個々の場所で、個々の人がどういう走行をするか、つまりAIならぬ人間の頭脳の特性やクセ、気づかなかったウィークポイントが見えてくるかも知れません。
今どきはAIがいろいろな場面で利用され、大いに役立っています。しかしAIもデータがなければ解析出来ません。自転車そのもののデータはあっても、それに乗った人間がどのような走行をするか、広範なデータはなかったわけで、このプロジェクトによるデータをAIが解析すれば、新たな知見が得られる可能性もあります。
自動運転のクルマにとって、周囲の道路の状況以上に、往々にして不規則な動き方をしがちな自転車の行動の予測は難しい反面、重要な要素となってくるはずです。このような地味な研究をする人たちのおかげで、近未来の自転車走行環境の安全性が向上する可能性があります。期待したいところです。
◇ 日々の雑感 ◇
昨日は埼玉で100ミリ超の猛烈な雨で冠水、車の水没が相次いだそうです。正にいつどこでも起きうる災害です。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(0)