September 03, 2026

最後だけでなく最初にも問題

.jpg物流のラストワンマイルが問題になります。


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商品輸送の中で、中継を経て届いた最終の配送拠点から顧客企業や個人宅などに荷物を届ける区間がラストワンマイルです。中間の輸送と違って、小口配送の必要や時間指定があったり、都市の渋滞や荷下ろしスペースの確保、ドライバーの不足や高齢化、再配送の増加や環境負荷など、さまざまな課題があります。

このラストワンマイルの課題を解決するため、物流業界ではさまざまな取り組みが行われています。例えばラストワンマイルをカーゴバイクで配達する企業が増えています。自転車を使えば小回りが利くので荷下ろしスペースが確保しやすく、運転免許を持たない人でも配達員ができるなどさまざまなメリットがあります。

ATTA

この取り組みについては、このブログでもいろいろと取り上げてきました。環境負荷も小さいですし、その点でトラックを使うより企業のイメージアップにもなります。大手の宅配業者などでも、都市部のラストワンマイルについてはカーゴバイクで配送するところが増えています。

カーゴバイク以外にも、自律走行するロボットや小型モビリティが使われたり、ドローンを使って空から届けるなど、多くの解決策が模索されてきました。この部分のイノベーションだけでも、大きな予算をとって研究開発されてきました。

Toyota Logistic Design Competition 2026

ところで、ラストワンマイルが課題としてクローズアップされることは多いわけですが、それに比べてファーストワンマイルが全く考慮されていないことに違和感を持った人たちがいます。イタリアのボローニャ大学で、工業デザインを専攻する4人の学生です。

Irene Ponteduro さん、Edoardo Govoni さん、Filippo Murotti さん、Matteo Marinaro さんの4人です。彼らはアフリカ・ケニアのバナナ農家向けに、ファーストワンマイル問題の解決策を考えました。ここではバナナですが、作物を運び出す最初のワンマイルにも問題があることを指摘したのです。

ATTA

ケニアのバナナ農園では、収穫作業や出荷のトラックまで運ぶのが大変だというファーストワンマイル問題があります。重いバナナをほとんど整備されていない不整地を通って運ぶ必要があります。辛い肉体労働で時間もかかります。途中でバナナに傷がつくことも少なくなく、それは経済的損失に直結します。

ATTA

そこで彼らが考え出したのが、フォークリフトと一体化したカーゴバイクです。これを使えば収穫や運搬がラクになります。バナナの実のなった高い位置からの積み下ろし作業の助けにもなります。ケニアの農園で使っても、バナナ畑の狭い通路を通り抜けられます。丁寧に運搬して傷がつくことも回避できるでしょう。

ATTA

このプロジェクト、あるいはこの人力の収穫作業貨物自転車は、“ATTA”と名付けられました。このスタイルは、熱帯などに生息し切り取った葉を持ち上げて運ぶ、ハキリアリからインスピレーションを得たからです。ハキリアリは学名で、ATTA 属に属すとされることからきています。

この“ATTA”は、アフリカ全土の物流課題を解決するグローバルコンペティションであるトヨタ・ロジスティック・デザイン・コンペティション2026に応募され、製品デザイン部門で1位を獲得しました。世界中から学生や新卒者などが集まるコンペです。

ATTA

アフリカの課題解決のコンペなので、カーゴバイクが使われたのでしょう。エンジンで動くような農機と違って、カーゴバイクなら小規模農家でも購入しやすいですし、燃料を使わないためランニングコストも小さく、メンテナンスも自分でできます。現実的でリーズナブルな解決策となるはずです。

それにしても、フォークリフトと一体化させるとはユニークな発想です。これまで、ありそうでなかった組み合わせかも知れません。今どきなら、ITとかAIを使ったり、電子部品を駆使した製品を構想しがちですが、現実的で実用的な提案となっていることも評価されたのでしょう。

ATTA

これまで手作業だったのを、リフトを使って丁寧に収穫・運搬することで、ファーストワンマイルで傷がつくなどして廃棄せざるを得なかった作物が大幅に減ります。これまで、30〜50%が失われていたというので、大きな違いになるはずです。過酷な作業が軽減された上に、経済的にも大きなメリットです。

ATTA

フォークリフトの部分は、独自のプーリーシステムで人力で上げ下げ出来ます。エンジンやバッテリー、外部電源などは不要です。力を使うわけではないので、一人であっても充分に作業できます。トヨタのコンペで製品デザイン部門で1位を獲得したのも頷けます。

ATTA

この“ATTA”、ケニアのバナナ農家以外でも役に立ちそうです。日本でも中山間地などで、収穫や運搬環境の整っていない農地があるでしょうから、欲しい農家はあるかも知れません。ファーストワンマイルの課題解決という意味では、まだまだ知られていない、埋もれた問題もあるのではないでしょうか。

ATTA

フォークリフトと統合したカーゴバイク、言われてみればなるほどと思いますが、普通はなかなか思いつかないでしょう。でも、これをヒントにすれば、ダンプカーとか、ブルドーザー、クレーン車(ユニック車)など、自転車と統合できそうなものは、まだまだありそうです。





◇ 日々の雑感 ◇

青森でもレベル5の特別警報が出されましたが台風24号と秋雨前線で東北〜九州の広い範囲で大雨が長期化する予報です。非常に激しい雨に警戒が呼びかけられており、最近大雨被害が各地で相次いでいるので心配です。

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